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うつ病うつ病
うつ病とは
うつ病は実は全年齢のあらゆる方にとって、珍しくない疾患です。
うつ病には性差があります。比較的女性に発症しやすいリスクがあると言われており、年齢も比較的20代の人での発症しやすさはあるが全年齢に起きうるという疾患の特徴があります。
しかし、うつ病の生涯有病率は10%前後であると報告されており、多い報告では生涯有病率が17%であるという記載もあり、その高さに驚かれる方も多いのではないでしょうか?
もちろん海外と日本での有病率の違いはありますが、海外ではおよそ10人に1人、日本人では13人に1人はうつ病にかかると言われており、性差や年齢差や年齢での起きやすさはあれど、実は誰にでも発症しうる疾患がうつ病なのです。
うつ病って誰がなるの?
うつ病は誰しもがかかりうる疾患です
ストレスや人間関係での悩みや仕事や家庭での疲れなど、私たちの身の回りには悩みやつらいなと感じることは実は多いのかもしれません。
ですが、このようなストレスが重なってタイミングやその時の体調によっては、心の不調や身体の負担へ繋がってうつ病にかかってしまう事もあるのです。
実は13人に1人程度の人が罹ると言われているうつ病。
決してうつ病は、心が弱い、怠けているという評価ではありません。ストレスが心と体に与える影響は、本人ですら気が付かないうちに大きくなっていることもあるのです。
つらい時には、心療内科や精神科・メンタルクリニックへ相談をしてみませんか?
うつ病ってどんな症状?
最初はうつ病と気が付きづらい症状もあります
うつ病は、憂うつな気持ちや落ち込んだ気持ちが継続することが診断としても重要です。
しかし、憂うつな気持ちが唯一でかつ、一番つらい症状である必要はなく、食欲や体重の変化、思考や決断力の低下、活力や集中力の低下、睡眠の変化、罪責感、自殺企図・死についての反復思考などのさまざまな症状についての有無も診断には重要になります。
しかし、これらの症状は日常生活の中で自覚されていないことも多く、またやる気が起きなくて朝起きられない、鉛の様に体が重く感じてしまう等、患者様お一人お一人の症状の表現は様々です。
日常生活で現れやすいサイン
- 身体が鉛の様に重くて、朝がつらい
- 朝起きることがつらい、会社に行けない
- 家事などやらなくてはいけないことがなかなか手につかない、あるいはできない
- 食欲が減った、食べる気力が湧かなくなった
- 何をするにも楽しくない
- 考え事をしていることが多く、ネガティブな事が頭から離れない
- 自分が生きている事や、生活していることに意味が感じられない
- 表情が減った、無表情である
- イライラや不安の感情が突発的に起きやすく、コントロールが効かない時がある
- 人と会ったり、人が楽しんでいる姿を見るのがとてもつらい
- 自分が消えてしまえたらとふと感じる時がある
症状について
精神面の症状について
- 憂うつな気持ち
- 絶望感
- 悲しい気持ち
- 空虚感・無価値感
- 意欲の減退
- 興味の低下あるいは喪失
- 喜びの減少
- 罪責感
- 思考がまとまらない
- 集中が続かない、集中できない
- 決断ができない
- 焦る気持ちが強い
- 涙がふと流れてしまう事がある
身体面の症状について
- 不眠・眠れない・寝付けない
- 過眠・寝すぎてしまう
- 朝起きられない
- 家事が手につかない
- 仕事に行けない
- 食事が減った・体重減少
- 食事が増えた・体重増加
- 極端な食事内容(お菓子・炭水化物等)
- 倦怠感
- 頭重感
- 消化器症状・胃腸の違和
上記のような症状が
長引くと…
-
1出社ができない、遅刻してしまう
不眠症や朝の倦怠感がきかっけで、体がだるく出社ができない遅刻を繰り返してしまう可能性も。その結果、だらしない生活態度が悪いなどの評価に繋がり余計に仕事場や人間関係がぎくしゃくしてストレスが大きくなってしまう事も。 -
2家事が手につかない、だるくて朝起きられない
倦怠感や意欲の低下のために、起床や家事の取り組みがなかなか進まないことも。家族を含めた家庭内での評価がストレスになって、夫婦や人間関係がぎくしゃくしてしまう事も。 -
3集中できない、考えがまとまらず失敗やミスが起きてしまう
集中力の低下、決断ができないなどの影響で、仕事でのミスが増えたり失敗を経て会社での立場が悪化してしまったり、間違った選択をしてより事態を深刻なものにさせてしまう事も -
4職場・家庭での人間関係でぎくしゃくしやすい
病気に伴う精神面の症状や身体面の症状ではあるが、本人の性格や怠けであると間違って捉えられてしまいやすく、周囲の環境と一層ぎくしゃくしやすくなってしまう。
うつ病の注意点について
憂うつな気持ちは、誰しもが感じる感情ではあるが、不釣り合いな程長く継続する場合には要注意
失敗やミスをしたり、疲れが溜まってだるさを強く感じたり、不得意や苦手なことが多くあると嫌だなと感じ、時には自分の自信が低下してしまったり…などという事は、日常生活や社会生活を送る上で、実はよくある事かもしれません。
しかし、そのような落ち込みや意欲の低下、倦怠感の症状が、状況から離れたりしている状態にも関わらず継続したり、場面にそぐわない程強くネガティブな感情が出てしまう時には、もしかしたらそれはうつ病かもしれません。
場面にそぐわない状況や不適切な強さのネガティブな感情や体調の影響のせいで、余計にミスをしたり体が思う様に動かないなどの状況をどんどん深めてしまう可能性もうつ病にはあります。もし、「あれ?」なんかいつもと違うな、困っている・悩んでいるなどの症状を呈している時には、医療機関を含めた専門機関へご相談されることをお勧め致します。
うつ病はだるい・疲れやすい、眠れない・眠りが足りないという症状である方も
うつ病の症状は最初は気づかれにくく、疲れやすい・だるい、眠れないなどの症状で困って医療機関へ受診され、うつ病と発覚する方も多いのが特徴です。だるくてしんどい、だるさで頭が働かない、だるいし疲れているのになかなか眠れないなどの症状を感じられている方は、もしかしたらうつ病かもしれません。
もちろん、診察を経ないとうつ病と分からない場合も多く、実はうつ病と似た症状を呈する躁うつ病やそのほかのメンタル疾患が関連している場合も少なくありません。
また、落ち込みや疲れやすいという症状ではなく、イライラしたり焦りが強くじっとできないなどの症状が強い方も見えます。
まずは、自己判断なさらず心療内科,精神科,メンタルクリニックなどの医療機関迄ご相談頂けましたら幸いです。
うつ病は思春期以降に、ぐっと発症しやすい
うつ病は、どの年齢においても発症しやすい傾向がありますが、特に思春期を超えたタイミングや20代での発症率はとても高いと言われています。
もちろん、高齢者でのうつ病の発症もありますので、認知症との鑑別は時として重要であることもあります。
また、年齢や世代によっては、うつ病の症状に傾向がある場合も
比較的若年層では、睡眠や食欲での症状を訴えられる方もいる一方で、中年の方には意欲や精神的な症状が強く出現されている方が多いのも特徴です。
女性と男性、うつ病の性差とは
うつ病は女性の方がかかりやすいと言われており、女性のうつ病の有病率は男性の有病率の2~3倍であると言われています。
「DSM-5」うつ病の診断基準は
DSM-5でのうつ病の診断基準には特に9つの精神症状や身体症状についての確認がなされています。
①その人自身の言葉か他者の観察によってしめされる、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
(絶望や空虚感・悲しみを感じるという本人の表現や、涙を流しているように見える等の他者からの観察等)
②ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて・あるいはほとんどすべての活動における興味または、喜びの著しい減退
(本人の説明や申告、または他者の観察によって示される)
③食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加がある
(体重の変化が、1か月で5%以上であるなどの変化)
④ほとんど毎日の不眠または過眠
⑤ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止
(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがない(焦燥)とか、のろくなった(制止)という主観的感覚ではないもの)
⑥ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
⑦ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感
(妄想的であることや、場面に不釣り合いな程度であることも。ただし、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)
⑧思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる
(その人自身の説明による、または他者によって観察される)
⑨死についての反復思考、特別な計画はないが反復的な自殺念慮または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画
※上記①~⑨のうち5つ以上が同じ2週間に存在し、かつ、5つのうち一つは①あるいは②である。
という事がうつ病の診断に重要な症状となります。
うつ病の診断には、5つ以上の特徴的な症状だけではない点も重要
5つ以上のうつ病・抑うつエピソードの症状の満たすだけではなく、それらの症状が社会的・職業的・または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしているという事がうつ病の診断にはとても重要です。
つまりは、その症な症状のために、出社ができない家事ができない、決断ができず仕事が進まない、人間関係を含めた社会生活、食事などの日常生活が送れないなどの支障が起きてしまっていることが、うつ病としての診断には欠かせません。
うつ病以外の原因となる、疾患や原因の除外も忘れない
5つ以上のうつ病や抑うつエピソードが、物質の生理学的作用や副作用、更には他の医学的疾患によるものではないことや、躁うつ病や統合失調症などの精神疾患ではないという事が大切です。
まずは自己判断で完結させずに、医療機関に相談をしてみよう
上記の診断基準は、自己判断ではなかなか判断しづらい部分もあると思います。また、うつ病という病気のために、自分のせいで迷惑をかけている、自分ができないのがいけないと、自分を責めて考えてしまっている方もいて、ご本人の自覚症状だけでは十分な判断ができない時もあるのです。
まずは、つらい症状や悩みが継続してしまっている時には、心療内科・精神科・メンタルクリニック迄ご相談いただけましたらと思います。
「ICD-10」うつ病の診断基準は
ICD-10 ではうつ病の診断に際して、「うつ病エピソード」を明示しております。うつ病エピソードを前提として、以下の①~⑩の症状のうちどれが満たすか、また合計いくつ該当するかに応じて、”軽症”・”中等症”・”重症”に概ね分類されます。
また、うつ病の診断に当たり、軽躁病エピソードや躁病エピソードを満たす症状が無い事、そして器質性疾患による原因でないことや、物質や薬物の影響による症状ではないことが重要であるとされています。
まずはうつ病によくみられる、典型的な症状を以下に挙げました。
特に、①~③の3つの症状の有無はうつ病の診断の上でも重要です
ICD-10でうつ病診断に関する大切な3つの症状
①抑うつ気分がほぼ一日中継続する、また抑うつ気分は状況にほとんど影響されることはない
②興味と喜びの喪失がある。通常なら快楽をもたらす活動ですら興味と喜びの喪失がある
③活動性の減退による易疲労感・倦怠感の増大、エネルギーの低下
上記以外の、うつ病診断に関係する”付加的症状”とは
④集中力と注意力の減退、決断力の低下
⑤自己評価と自信の低下、自信喪失
⑥罪責感と無価値観、自責感
⑦焦燥あるいは制止を呈する、精神活動性の変化がある(思考の制止や空転しがちな焦りなど)
⑧自傷あるいは自殺に対する反復した観念、あるいは何らかの自殺行為
⑨睡眠障害
⑩食欲不振、食欲の変化と体重変化
の7つに分けて診断基準を組み立てています。
「ICD-10」軽症うつ病エピソード
うつ病の典型的な症状①~③のうち2つ、更にはそのほかの症状である④~⑩の症状のうち2つが、約2週間程度継続して、いずれの症状も著しい程度ではなく、その症状により、生活や活動に大きく困難を感じるが、完全に機能ができなくなるといった程度ではないことが特徴です。
「ICD-10」中等症うつ病エピソード
典型的なうつ病症状①~③のうち2つ以上、更にはそのほかの症状④~⑩の内少なくとも4つ以上が、約2週間程度継続することが特徴で、時として著しい程度の症状であったり、社会的・職業的・家庭活動が著しく困難であることが特徴です。
「ICD-10」重症うつ病エピソード
典型的なうつ病症状①~③がすべて該当し、更にその他の症状④~⑩が5つ以上満たし、いくつかの症状が重症である状態が約2週間継続します。日常生活を含めた、社会活動や家庭活動が制限されて継続が困難である事が特徴です。
うつ病の原因とは
うつ病の原因としては、気質や環境更には遺伝などの要因が絡んでいることが挙げられます。
気質要因につきましては、神経症的特質とされる、落ち込みやすさ、ネガティブな感情を何回も思い出したり反芻して反省してしまう等の特徴があります。否定的感情とも呼ばれうつ病を発症する危険要因として確立されており、様々なストレスに対して抑うつを呈してしまう可能性が高まります。
環境要因では、幼少時期の体験や苦労などのエピソード、更には複雑な人間関係や落ち着いた環境でない、ストレスの多い環境などのさまざまな状況が抑うつの引き金となってしまいます。
遺伝要因では、第一度親族にうつ病の患者がいることは、その人のうつ病の発症のリスクを高めてしまいます。また遺伝率は40%であるとも報告されており、うつ病の遺伝との関係性が指摘されています。
うつ病の脳科学的な発症の原因について
ストレスは確かに日常生活でも避けられない事案でもあります。ひとたびストレスがかかると、脳のシグナルを通してコルチゾールというストレスホルモンが働き、体はストレスに対応をしようとします。と同時に、コルチゾールは脳細胞への傷害性も高く、脳細胞はある程度のダメージを受けてしまいます。
ストレスが、継続的に強く働き続けるとコルチゾールが継続的に働き脳細胞がダメージを受けてしまう事があるのです。また、脳細胞は脳細胞間を通して、セロトニンなどの神経伝達物質であるカテコーラミンが働きますが、このような脳の細胞の変化のために、神経伝達物質であるセロトニンなどの物質が上手く働かなくなったり、調整が困難となり、抑うつ症状や不安の感情のコントロールが困難になると考えられております。
うつ病がどのようにセロトニンなどの神経伝達物質の調整のバランスや働きにどう影響を与えるのかという明確なメカニズムにつきましては、まだ研究の段階で詳細なメカニズムは分かっておらず、今後のうつ病と脳神経、更には伝達物質との関係についての更なる解明に期待されます。
うつ病のエピソードの例
うつ病の症状や経過はお一人お一人異なります。ここではあくまでも症状の経過を分かりやすくするための例として典型的なうつ病の症状を盛り込んでエピソードを作成してみました。
最近残業が続いていました。毎日遅くまで残って資料をまとめ、疲労が蓄積していました。最近、自宅に帰っても仕事のことが気になったりするなど、疲れているのに睡眠が取れないなどの日々が続いていました。一方で、仕事中のだるさや眠気なども強まり、段々とミスが増えて、先日は上司からもミスの多さについて指摘されてしまいました。自分への自信は低下し、落ち込みが日々深まるとともに、仕事中のだるさや集中力の低下から余計に焦りを感じ始め、ついには朝からだが鉛の様に重く感じ、ベッドから起き上がれなくなってしまいました。
最近子育ても忙しく、夫婦の家事や仕事に対する考え方や価値観のすれ違いがあり、なかなか上手くいかないなと悩んでいることが続きました。子供の手も一層かかるようになり、子育ての中で思い通りにいかないなと悩むことも増えています。一方で家事の事や仕事への理解に対する夫婦の間でも不満や諍いも多くなってしまい、お互いに感情的になってしまう事も増えました。ある時、ふと家の中で家事が手につかず、涙が止まらない、家事をやらなくてはと思っても体が動かず、自分の価値や今後について悲観的になってしまい、そのようなネガティブな考えが頭から離れないなどの症状が出現して継続してしまいました。時にはいっその事、離婚してしまおう、子供を置いて逃げ出したいとも思う事さえ繰り返し出現してしまいます。
上記作成してみましたエピソード例はあくまでも参考にしていただけましたらという目的での作成例ではありますが、ICD-10 でいうと中等度から重度の判断になるかと思います。もちろん、このような状況になるまで受診を待って欲しいという訳では一切なく、少しでもこのような状況中にみられる一部兆候や類似の感情が出現してしまっている時には医療機関迄お気軽にご相談いただけましたらと思います。
うつ病の急性期・継続期・維持期とは
うつ病には急性期があります
うつ病には急性期症状があります。この時には、抑うつや気分の落ち込みや、焦燥や制止といったその他のうつ病の症状が一番強く表れているときです。この急性期の時期には急激に症状が進行しやすい人もいるために、急性期に差し掛かった時には多くの人たちは、社会生活が大きく破綻しかけているか、破綻していることが継続しており、より一層周囲とのぎくしゃくや違和感が増幅している精神的にも最も辛い時ではないか考えられる時期にあたります。
このような状況であっても、無気力や思考の停止のために、冷静に自分を俯瞰することが困難である為に、心療内科や精神科・メンタルクリニックなどの医療機関に相談するという選択肢すら、自分でなかなか判断ができなくなってしまう程、混乱してしまっていることもあります。
その場合には、周囲や家族などの医療機関への相談への勧めが本人の治療への足掛かりとなることも少なくありません。また、このような時期には、「頑張りすぎないで」「しっかりと良くなるまで待とう」「今はゆっくり休む時だよ」といった家族の働きかけは、本人が治療に取り組んだり、回復への体調作りへの助言となることも多いのです。
うつ病の継続期は
うつ病の継続期は、急性期の辛い時期からだんだんと症状が落ち着いてきたタイミングを指します。
特に急性期には薬物治療や十分な休息などの治療を組み合わせることで、次第につらい症状がだんだんと緩和されてきます。
それと同時に、食事や睡眠、更には少しづつ外出ができるなどの、波があったり完全ではないものの、少しづつ症状の回復が見られるようになります。この時期には、体調や気分に追うじて外出や取り組めることを無理ない範囲で試してみたり、できる限り生活のリズムを崩さないなどの生活面への配慮を継続することがとても大切になります。
特にこのタイミングで大切な事は、急に治療をやめてしまわない事です。特にお薬での中断は注意が必要で、症状の回復の効果が止まってしまったり、再度うつ病をぶり返してしまったりなどの大きなきっかけに繋がりやすいです。
あくまでも、治療の効果に伴う、本調子とは言えない回復状況ですので、引き続き治療を継続して、つらいうつ症状への対応や生活面への配慮を継続していく事が、特にうつ病の継続期では大切になります。
焦ってしまう事もあるかもしれませんが、まずは、お薬を減らすことよりも、うつ病を良くする事が大切な時期でもあるのです。
うつ病の維持期には
うつ病の維持期では、継続期でのうつ病の改善の兆候を経て、良い状態が継続している状態を指しています。この時期には会社や家事などの社会生活や行動が継続的に行えていることも多いのですが、残業や夜勤など負担が強くかかりやすい場面は控えるように医師から指示がされている方も多いかもしれません。
特に、維持期には、これまでの生活や行動への影響を取り戻そうと、自然と焦りやすく、無理して頑張りすぎてしまいやすい傾向や心情を持たれる方は多い印象です。また、同時に「まだ治療している」「まだ通院や治療が必要な状態である」と思われたくないといった心情の傾向も強くなってしまうような印象を感じます。
継続期と比べて薬物治療による改善・回復感覚の実感はあまりないかもしれませんが、この維持期の薬物治療の効果は、「良い状態を維持すること」「再発のリスクを減らす事」にあります。
一定期間の通院治療や経過観察は、その後の再発や悪化のリスクを減らし、万一再度悪化した場合にも早急に対応することで重症化を防ぐことが可能です。お薬治療も同様に、継続期は一定期間内服を継続して、その後ゆっくりと漸減して中止していくことが望ましいとされています。
うつ病の状態や生活での様子が落ち着いている場合には、確かにそれは良い方向へ向かっていることでもあります。ただし、うつ病はしっかりと治す上でも、焦りは禁物なのです。時に、周囲の働きかけや家族の理解や見守りが、この維持期間には重要になることもあるのです。
名古屋市のひだまりこころクリニック名駅エスカ院は名古屋駅から直結の名古屋市中村区の心療内科・精神科・メンタルクリニックです。うつ病の診断治療も行っておりますのでお気軽にご相談くださいませ。名古屋駅の太閤通口直結のエスカ地下街にありますので、お仕事やお買い物の予定、他にもご家庭のご都合に応じて受診して頂きやすい心療内科・メンタルクリニックです。
ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
治療について
うつ病の治療について
うつ病の治療には、適切な休養・薬物療法・精神療法などが挙げられます。
初発であれば、5人に2人程度は3か月以内に症状が回復し始め、5人に4人が1年以内に症状が回復し始めると言われています。
しかし、症状がぶり返す、再発歴がある、症状の回復が不十分である状態などのエピソードのあるうつ病の方は治療効果への反応だけではなく、再発のリスクも一層高まってしまうと考えられています。
治療法1 : 適切な休養
うつ病では適切な休養も重要です。特に十分な睡眠や体力の回復は、メンタル面への安定化も促す効果があるのです。 疲れている・倦怠感が強いからしっかりと休むという事は肉体を休めて体力を回復させるだけではなく、次第に不安定な精神面や落ち込みの強さを緩和してくれるのです。 もちろん会社勤めや家事を休むためにはいかないという状況の方も多いと思いますし、お一人お一人のうつ病の症状に応じて提案される治療となります。
治療法2 : 薬物療法
抗うつ薬と呼ばれるお薬治療が一般的ですが、不安症状や睡眠症状に応じて、抗不安薬や睡眠薬が併用されることがあります。 特に抗うつ薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)だけでななく、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)やS-RIM(セロトニン再取り込み阻害作用ならびにセロトニン受容体調節作用)、TCA(三環系抗うつ薬)、四環系抗うつ薬、5-HT2Aがあります。内服後効果が出るのに2週間から4週間程度かかりますが、脳神経や伝達物質の調整に働きかけて抑うつ症状や不安症状の改善緩和を図る治療薬となります。また、良い状態を保つ効果もありますので、うつ病の症状が良くなってもすぐに中止するのではなく、ゆっくりと減薬をしてから減らすという事もうつ病を繰り返させないという点でも大切です。 また、睡眠薬や抗不安薬も抗うつ薬の効果がきちんと現れるまでに併用したりするなどの方法で症状をコントロールしながら治療に取り組んでいく事もあります。
治療法3 : 精神療法
うつ病にかかってしまうと、自分の自信の低さや無価値観などの強いネガティブな考え方が、不適切な程強く身についてしまっていることもあるのです。 必要以上に自分を卑下したり、自分を否定したりなどの影響のために、より社会性が損なわれてしまったり、新たなストレスへの対応力の低下にも大きく影響してしまっているのです。うつ病の治療や症状が回復し始めたタイミングで、極端な自己の考え方の見直しがあれば通院を通しながら見つめなおしたり、社会性やストレス適応力、生活への助言を行う事があります。
対応の仕方
うつ病にかかってしまった急性期には休養や治療が大切
うつ病にかかってしまった時には、本人すら焦ったり、否定してネガティブに考えすぎてしまったりなどの状況があるかもしれません。 そのような時には、ゆっくりと休むことや治療に集中することに対して強く抵抗を感じてしまう事も多いと思います。 周囲から、しっかりと治療をすることの大切さや、今はしっかりと休んで体調を整えることの必要性などのアドバイスは、本人にとって、より落ち着ついて治療に取り組むことができる安心感にも繋がります。
よくあるご質問
うつ病が再発するおそれはありますか?
うつ病がぶり返しやすい病気であるため、再発を予防することが大切です。
抑うつ症状が改善し、気分が軽くなってきたと感じるタイミングでは、「治療をやめたい」と思う方が多いかと思います。
しかし、処方する薬には「症状の改善、状態をよくする」という働きに加えて、「状態を維持する」という効果もあります。
個人差はありますが、症状の改善がみられても、およそ半年から1年間は薬の服用を続ける必要があります。また、うつ病になりやすい「ものの見方・考え方」など自分の考え方のクセを知ることで、自分なりにものの見方を調整して、再発を予防することも大切です。
うつ病の薬って安全でしょうか?副作用ってありますか?
抗うつ薬の種類にもよりますが、吐き気、便秘、下痢などの消化器系症状や、眠気、排尿困難、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります。
SSRIでは、飲み始めに、吐き気やむかつきなどの消化器系の副作用があらわれることがあります。
また、SNRIでは、排尿障害(尿が出にくい・出過ぎる・我慢できないなど)のほか、消化器系症状や頭痛、血圧上昇もみられます。NaSSAでは眠気が比較的多く、そのほか体重増加などもみられています。
三環系・四環系抗うつ薬は、アセチルコリンという神経伝達物質の働きを抑制するため(抗コリン作用といいます)、便秘、排尿困難、口が渇くなどの副作用があらわれることがあります。
これらの副作用は飲み始めに多くみられますが、次第におさまってきます。
うつ病治療はどれくらいの期間がかかるのですか?
個人差がありますが、3ヵ月ほどで症状の改善がみられるといわれています
症状の改善がみられる期間は約3ヶ月と言われていますが、再発を防ぎ、元の生活を取り戻していくためには、数ヶ月から1年ほどかかる場合もあります。
なお、治療期間の目安としては、以下のように時間が必要となります。
・十分な休養を取りながら、薬の服用を開始し、うつ病の症状が軽くするための期間
約6〜12週間
・安定した状態を維持していく期間
約4〜9ヶ月
・徐々に日常生活に戻っていく期間
約1年〜
心筋梗塞とうつ病には何かしらの関係がありますか?
心筋梗塞発作後3ヵ月以内にうつ病またはうつ症状が発症する頻度は、20~45%との報告もあります。
逆に、もともとうつ病を有する人は、うつ病でない人に比べて心筋梗塞を起こす可能性が大きいという報告もあります。その為、心筋梗塞とうつ病には関連があると考えられています。
アトピー性皮膚炎とうつ病に関係はありますか?
ストレスはアトピー性皮膚炎の発症・悪化因子のひとつです。
そしてアトピー性皮膚炎にかかっていること自体がストレスとなって心理的な苦痛や、社会的機能の低下、QOLの低下を引き起こし、治療のコンプライアンスやセルフケアが障害されています。
つまりアトピー性皮膚炎とうつ病は互いに悪循環を引き起こしていることになります。
2022.04.202023.05.16
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