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認知療法|歴史,適応,方法,特徴,有効性について

2024.06.012024.06.01

精神療法、心理面・思考、認知行動療法

心のつらさを和らげる方法、治療とは

心のつらさを和らげる方法にはさまざまな方法があります。その中でも認知療法という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。感じている気分や行動は、ものの考え方や受け取り方に影響すると言われています。そこに着目した治療方法が認知療法です。

今回は、認知療法についてその歴史、適応、方法、特徴、有効性、行動療法と認知行動療法との違いなどについて詳しく解説します。

認知療法の歴史

認知療法は、1960年代にアーロン・ベックによって開発された治療法です。当初はうつ病の治療に焦点を当てられており、その後、他の精神疾患や問題行動・あるいは望ましくない行動や考え方にも適用されるようになりました。以下に、認知療法の歴史を順に詳しく説明します。

アーロン・ベックの発展

アーロン・ベックは、1960年代初頭、うつ病患者の治療を行う際に精神分析療法を用いていました。しかし、彼は患者さんが持つ否定的な思考パターンがうつ病の原因と関連していることに気付きました。この考えに基づいて、彼は「認知療法」を開発し、思考や信念の修正を通じてうつ病の症状を緩和しようとしたのです。

認知療法の理論化と普及

ベックの認知療法は、他の心理学者や臨床家によってさらに発展し、理論化されました。アーロン・ベック、アルバート・エリス、アーノルド・ラザラス、マーティン・セリグマンなどが、認知療法の理論や技法を発展させたのです。彼らの業績により、認知療法は精神疾患や問題行動の治療において広く使用されるようになりました。

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行動療法との統合

認知療法は、行動療法と密接に関連しています。1960年代から1970年代にかけて、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)と呼ばれる統合的なアプローチが生まれました。CBTは、認知療法の思考や信念の修正と、行動療法の行動パターンの変化を組み合わせることで、広範囲の精神疾患や問題行動を治療します。

エビデンスベースのアプローチとしての確立

認知療法は、多くの臨床試験や研究によってその効果が実証されています。これにより、認知療法はエビデンスベースのアプローチとして確立され、うつ病や不安症、強迫症、摂食障害などの治療において広く推奨されるようになったのです。

多様な応用例

現在、認知療法はさまざまな分野や問題行動に適用されています。うつ病不安症だけでなく、ストレス管理、睡眠障害、身体疾患との関連付け、摂食障害、さらに職場ストレスなどにも応用されています。

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うつ病の認知理論

うつ病の認知理論は、うつ病の発症や症状の維持において、個人の認知過程が重要な役割を果たすという考え方です。ここでは、うつ病の認知理論について詳しく説明します。

三徴の認知構造

うつ病の認知理論は、個人が自己、世界、未来という三つの認知的な側面を持っているという考えに基づいています。これらの認知構造は、個人が自己や周囲の状況、将来に対する考え方や信念を形成する上で重要な役割を果たします。

否定的な認知パターン

うつ病の患者さんは、否定的で独特の認知パターンに陥りやすいと考えられています。典型的なのは、自己に対する否定的な認知、世界や周囲の人への否定的な認知、そして将来に対する否定的な予測といったことが特徴です。例えば、うつ病の患者さんは、自己に対して無力感や価値の欠如を感じることがあります。また、周囲の人や世界に対しては、価値がないという考え方や希望のない未来を想像するのです。

認知の歪み

うつ病の認知理論では、このような否定的な認知パターンは、認知の歪みによって生じる面があると考えられています。認知の歪みとは、客観的な事実や状況を独特な管変え方で解釈する傾向のことを指します。典型的な認知の歪みには、過度な一般化、過小評価、過大評価、心理的フィルタリング(一貫性のない事実を無視すること)、および感情的な推論などがあります。

治療の目標

うつ病の認知理論に基づいた治療の目標は、患者の否定的な認知パターンや認知の歪みを特定し、修正することです。これにより、自己や世界、未来に対するより健康的でバランスの取れた認知を促してうつ病の症状を緩和し、再発を予防します。

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認知療法とは

認知療法は心理療法・精神療法の一種であり、精神的な問題や心理的な苦しみを改善するための効果的なアプローチの一つです。認知療法は、個人の思考(認知)や行動が感情や症状にどのように影響するかに焦点を当てます。認知療法の基本的な要点を詳しく説明します。

認知の役割

認知療法では、個人の思考が感情や行動に影響を与えるという考え方に基づいています。例えば、否定的な思考パターンや認知の歪み(事実を不適切に解釈する傾向)が、うつ病不安障害などの心理的問題の発症や維持に関係すると考えられています。

行動の変化

認知療法では、思考だけでなく行動も重要視されます。不健康な行動パターンが問題の一因である場合、その行動を変えることが治療の一部となります。具体的には、患者が新しい行動パターンを学んで実践することで、感情や症状を改善し問題を解決することを目指すのです。

目標志向的認知療法は、患者さんの現在の問題や目標に焦点を当て、患者さんと治療者は具体的な目標を設定し、協力して進んでいきます。治療は具体的で計画的なプロセスであり、目標達成に向けて進捗をモニタリングしながら進めていきます。

スキルの獲得

認知療法は、患者さんが問題解決やストレス管理などのスキルを身につけることを目指しています。患者さんは治療を通じて、自己観察や自己調整のスキルを向上させ、自己効力感を高めることができます。

限定期間の療法

認知療法は一般に期間を決めで行われます。一般的には数週間から数ヶ月間の治療が行われ、治療の終了時には患者さんが自己管理のスキルを持ち、問題解決能力が向上していることが期待されます。

精神疾患の認知的側面(考え方)

精神疾患を持つ患者さんは、極端な、あるいは矛盾した認知的側面があります。主なものを紹介します。しかし、これは患者さん自身が悪いということではありません。このような考え方をすることによるストレスを軽くするために、認知療法ではこれらの認知的側面にアプローチします。

  • 抑うつ障害:自己、経験、将来についての否定的見かたをする
  • 軽躁エピソード:自己、 経験、 将来についての高揚した見かたをする
  • 不安症:生理的、心理的危険に対する恐れがある
  • パニック症:身体的、心理的経験に対する極端な解釈をする
  • 恐怖症:特定の回避しうる状況における恐れがある
  • 猜疑性パーソナリティ障害: 他者による否定的偏見や干渉などがある
  • 変換症: 医学的状態に矛盾する運動的、感覚的な症状によって苦痛や機能障害がある
  • 強迫症:安全についての反復的警戒、疑い、脅威を排除するための反復行為がある
  • 自殺行為:絶望と問題解決法が欠如している
  • 神経性やせ症:太ることや望ましい体形でないことに対する恐怖心を持つ
  • 心気症 :重篤な身体的障害があると考える

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認知療法の適応

認知療法は、さまざまな心理的および精神的な問題に適応することができます。以下に、認知療法が適応される一般的な状況や疾患について説明します。

うつ病

認知療法は、うつ病の治療において広く使用されています。うつ病の患者さんはよく否定的な思考パターンに囚われ、自己価値感が低下し、将来に対する希望を失いやすい傾向です。認知療法は、これら独特の思考や信念を修正し、感情や行動の改善を促します。

不安障害

不安障害社交不安障害全般性不安障害パニック障害など)の治療においても認知療法は効果的です。不安障害の患者さんは過度な不安や恐れに囚われ、不合理な思考パターンを持っている傾向です。認知療法は、不安を引き起こす独特の思考パターンを修正し、リラクゼーションやストレス管理の技術を教えることで、患者さんの症状を軽減します。

摂食障害

摂食障害(過食症、拒食症、摂食嘔吐症など)の治療においても認知療法は有効です。摂食障害の患者さんは自己評価が低く、食べ物や体型に関する異常な思考パターンを持っています。認知療法は、これらの歪んだ思考を修正し、健康的な食事行動や自己評価を促進します。

パーソナリティ障害

パーソナリティ障害の患者さんは不安定な自己概念や関係性に囚われ、感情の不安定さや行動の問題を抱えています。認知療法は、不適切な自己イメージや関係性に関する認知的な歪みを修正し、より健康的な関係性や行動パターンを促進します。

これらは、認知療法が適応される一般的な状況や疾患の一部ですが、その範囲は広範であり、他の多くの心理的および精神的な問題にも適応されます。認知療法は、患者の個々のニーズや状況に応じて、柔軟に適応されることが特徴です。

患者さんの状態による適応

それぞれの患者さんの状態によっても適応が変わってきます。

認知療法が選択される場合

  • 2種類の抗うつ薬を十分に試みても反応しない
  • 十分な量の抗うつ薬に部分的にしか反応しない
  • 他の精神療法に反応しないか、部分的にしか反応しない
  • 気分変調症の診断がある
  • 環境的なできごとに反応するさまざまな気分
  • 否定的な認知と関連したさまざまな気分
  • 軽度の身体表現性障害 (睡眠・食欲・体重)
  • 幻覚や妄想がないこと
  • 集中力が持続すること
  • 記憶機能の保たれていること
  • 薬物の作用に耐えられないか、薬物療法によるリスクが 大きいという状況が加味されること

などがあります。

こんな場合は適応にならない場合もある

  • 認知療法単独の適応にはならない特徴がある
  • 統合失調症・認知症・物質関連障害・精神発達遅滞が併存している証拠がある
  • 患者は身体疾患にかかっているか、うつ病の原因となる薬物を使用している
  • 幻覚,や妄想がある
  • 躁病相の既往(双極I型障害)あるいは、躁病相のコントロールができていない状態
  • 抗うつ薬に反応した家族歴
  • 蓄積した,あるいは悪化しつつあるような環境的ストレスの欠如
  • 認知障害の証拠がほとんどないこと
  • 重症の身体表現性障害が存在すること(例 疼痛性障害など)

などがあります。

薬物療法と認知療法の併用療法の適応

  • 認知療法のみでは部分的な反応しかないか、全く反応しない
  • 十分な薬物療法だけでは部分的で不完全な反応しかしないか、心因的な影響が大きい時
  • 正しい服薬の方法や量が守れない
  • 間欠期におけるうつ病症候群を伴う慢性の適応不全の既往がある
  • 重症の身体表現性障害と顕著な認知の歪みがある (例 失望など)
  • 記憶と集中力の障害と顕著な精神運動性の困難がある

などがあります。

行動療法の方法

認知療法は、認知的な歪みや問題行動に焦点を当て、それらを修正することで精神疾患や心理的問題を改善する治療アプローチです。以下に、認知療法の主要な方法について詳しく説明します。

認知再構造

認知再構造は、患者さんの否定的な思考パターンや信念を特定し、それらを修正するプロセスです。治療者は患者さんと共同で、特定のできごとや状況に対する患者さんの考え方を探求し、その考え方が偏っている場合には、現実的でバランスの取れた考え方に置き換えることを支援します。これにより、患者さんの認知的な歪みを緩和し、感情や行動にポジティブな影響を与えます。

行動実験

行動実験は、患者さんが持つ否定的な信念や予測を検証するために行われます。患者さんは、特定の行動や行動パターンを変えることに同意し、その結果を観察します。これにより、患者さんは自らの信念や予測が実際の状況とどのように一致するかを確認し、より現実的な認識を得ることができるのです。

認知的ホームワーク

認知療法では、患者さんに認知的ホームワークが割り当てられることがよくあります。これは、患者さんが治療中に学んだ考え方や、技術を日常生活に適用することを治療者が支援するものです。患者さんは、特定の認知的なパターンや行動を特定し、それらを修正するための演習や実践を行います。

マインドフルネスと受容とコミットメント療法(ACT)

近年、認知療法の一部として、マインドフルネスや受容とコミットメント療法(ACT)が取り入れられることが増えています。これらのアプローチは、患者さんが自分の感情や思考を受け入れ、それに対処する能力を高めることを目指しています。マインドフルネスやACTは、認知療法の伝統的な技法と組み合わせて使用される傾向です。

スキーマ療法

スキーマ療法は、患者さんの深層心理に根ざした認知的なパターンや、信念に焦点を当てるアプローチです。治療者は、患者さんの過去の経験や関係、そして自己イメージに基づいた「スキーマ」と呼ばれる認知的な構造を特定し、それらを修正することで精神的な問題を解決することを支援します。

これらの方法は、認知療法の基本的な手法の一部です。治療者は、患者の状況やニーズに合わせてこれらの方法を選択し、それぞれ患者さんに合わせたセッションで適切に活用されます。

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認知技法 の4つの過程

認知技法には4つの過程があります。

  • 自動思考を引き出すこと
  • 自動思考の検査
  • 基礎にある不適応的想定の確認
  • 不適応的想定の妥当性の検査

認知技法の4つの過程について、それぞれ詳しく説明します。

自動思考を引き出すこと

自動思考とは、人々が日常的に持つ自動的で無意識の思考や感情のことを指します。これらの思考は否定的であることも多く、不安やストレスなどの感情を引き起こす原因となることがあります。

認知療法では、患さんが自動思考を特定することが重要です。治療者は、特定の状況やできごとに対する患者の反応を探求し、その反応に影響を与える自動思考を明らかにします。

自動思考の検査

自動思考の検査は、患者さんが持つ自動思考の信憑性や適切さを評価するプロセスです。患者さんが自動思考を持っていることを認識した後、治療者はそれを客観的に検証し、その信憑性や論理性を検討します。この過程では、患者さんと治療者が共同で自動思考が事実に基づいているか、または誤った解釈や仮定に基づいているかを見極めます。

基礎にある不適応的想定の確認

基礎にある不適応的想定とは、患者さんが持つ根本的な信念や仮定のことを指します。これらの信念は、自動思考の背後にある基盤となるものであり、否定的で不健康なものです。認知療法では、不適応的な思考や感情のもととなる基礎にある信念を明らかにすることが重要です。治療者は、患者さんと共同でこれらの信念を特定し、その起源や意味を探求します。

不適応的想定の妥当性の検査

不適応的な想定の妥当性の検査は、患者さんが持つ基礎にある信念や仮定の妥当性を客観的に評価するプロセスです。これにより、患者はその信念が現実に基づいているかどうかを見極めることができます。

患者さんは、治療者と共同で不適応的な信念とその根拠や証拠について検討するのです。不適応的な信念が妥当でないことが明らかになると、治療者は患者さんに新しく、より健康的な見方や信念を探求することを支援します。これらの過程は、認知療法の中核をなす手法の一部です。患者さんが持つ否定的な思考や信念を理解し修正するために、治療者が活用します。

行動療法的技法

行動療法的技法と認知技法はよく併用され、極端で独特の認知を検証し、変化させるために使用されます。これらのアプローチを併用することで、患者さんは自分の問題に対する新しい見方を身につけることができ、より健康的な思考や行動を促進することが可能です。

行動療法的技法は、患者さんの行動を重視し、具体的な行動の変化を通じて問題を解決することを目指しています。これに対して、認知技法は患者の認知、つまり思考や信念を修正することを重視します。両方のアプローチを組み合わせることで、問題の根本的な原因にアプローチすることが可能です。具体的には、以下のような手法が使われます

行動的実験

行動療法的技法として、患者さんは特定の行動を実践し、その結果を観察します。これにより患者さんは、自分の不適応的な認知と行動が実際の結果とどのように関連しているかを理解することができます。

認知的再構築

認知技法として、治療者は患者さんの自動的な思考や信念を特定し、それらを客観的に検討します。不適応的な思考や信念が明らかになると、治療者は患者さんと共同でそれらを修正し、より現実的でバランスの取れた感が方に置き換えます。

行動課題と認知的実験の組み合わせ

患者さんは、行動的実験を通じて新しい行動を学び、それに対する独特の認知を特定します。その後、認知的再構築を行いこれまでの認知を修正します。このプロセスを通じて、患者さんは自分の問題に対する新しい見方を身につけることが可能です。

このように、行動療法的技法と認知技法は互いに補完し合い、患者さんがより健康的な認知と行動を身につけるのを支援します。治療者は、患者さんの個別のニーズや状況に応じて、両方のアプローチを組み合わせて使用することがあります。

これらは、認知療法が適応される一般的な状況や疾患の一部ですが、その範囲は広範であり、他の多くの心理的および精神的な問題にも適応されます。認知療法は、患者の個々のニーズや状況に応じて、柔軟に適応されることが特徴です。

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認知療法の有効性

認知療法は、多くの精神疾患や心理的問題の治療において有効であることが広く認められています。以下に、認知療法の有効性について詳しく説明します。

科学的に証明された効果

多くの研究において、認知療法がうつ病不安障害パニック障害、摂食障害、PTSDなどの様々な精神疾患に対して有効であることを示しています。これらの研究は、認知療法が症状の緩和や機能の向上に有益で、長期的な結果をもたらすことを示しています。

症状の緩和

認知療法は、不適切な認知パターンや思考スタイルを修正することで、患者さんの症状を軽減することができます。不安やうつ症状の緩和だけでなく、認知療法はパーソナリティ障害や身体症状症などの問題にも有効です。

再発の予防

認知療法は、患者さんが症状の再発を防ぐためのスキルを身につけるのを支援します。患者さんが自己効力感を高め、ストレスや困難な状況に対処する方法を学ぶことで、再発リスクを軽減することができます。

対人関係の改善

認知療法は、患者さんが自己や他者、社会に対する認識を改善することで、対人関係の改善にも役立ちます。独特な思考や信念が関係の問題やコミュニケーションの障害につながる場合、認知療法はこれらの問題に対処する方法を提供します。

自己管理能力の向上

認知療法は、患者さんが自己管理能力を向上させるのを支援します。患者さんは自己観察や自己調整のスキルを身につけ、自らの感情や行動をコントロールする方法を学ぶことが可能です。

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認知療法・行動療法・認知行動療法の違い

認知療法(Cognitive Therapy)と行動療法(Behavior Therapy)は、それぞれ独自の歴史とアプローチを持つ心理療法です。これらのアプローチは、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)として統合されることもありますが、それぞれに独自の特徴があります。

認知療法(Cognitive Therapy)

認知療法は、思考パターンや信念が感情や行動に及ぼす影響に焦点を当てたアプローチです。認知療法では、問題の原因が独特な思考パターンや信念にあると考えられています。そのため、患者さんは自分の考え方を検討し、必要に応じてそれを修正することを学びます。

認知療法の手法には、思考の捕捉、認知的再構成、思考の検証などが含まれます。これらの手法は、患者さんが自分の考え方や信念をより客観的に見ることを支援し、それが感情や行動に与える影響を変えるのに役立ちます。思考の捕捉、認知的再構成、思考の検証は、患者さんがより健康的でポジティブな思考パターンを養い、認知療法の核心的な要素です。

思考の捕捉

思考の捕捉は、患者さんが自分の考え方や信念を意識することから始まります。そして、特定の状況や出来事が起こったときに浮かぶ自分の思考を注意深く観察するのです。このプロセスは、患者さんが自分の思考パターンを特定し、それらがどのように感情や行動に影響を与えているかを理解するのに役立ちます。

認知的再構成

認知的再構成は、患者さんが自分の思考を新しい視点から見直すことを意味します。患者さんは、否定的な考え方や信念をポジティブなものや、より客観的なものに変える方法を模索するのです。これは、患者さんが問題や困難な状況を見る視点を変えることで、より建設的な解釈や対処法を見つけるのを支援します。

思考の検証

思考の検証は、患者さんが自分の否定的な思考を客観的に評価し、それらが現実と合致しているかどうかを問い直すプロセスです。患者さんは、その考え方が事実や証拠に基づいているか、またそれが他の可能性を排除していないかを検討します。そして、必要に応じて、よりバランスの取れた見方やより適切な思考に修正していきます。

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行動療法(Behavior Therapy)

行動療法は、行動パターンや環境要因が感情や思考に及ぼす影響に焦点を当てたアプローチです。行動療法では、問題の原因が行動パターンや環境要因にあると考えられています。そのため、患者さんは具体的な行動変化を通じて問題を解決し、新しいスキルを獲得することを学びます。

行動療法の手法には、系統的脱感作、行動的実験、ポジティブリンフォースメントなどが含まれます。これらの行動療法の手法は、患者さんが問題や課題に対処し、健康的な行動や思考パターンを身につけるのを支援します。それぞれの手法は、患者さんの個々のニーズや状況に応じて行われます。

系統的脱感作

系統的脱感作は、恐怖や不安などの身体的な反応を減少させるための手法です。この手法では、患者さんが恐れる対象や状況を階層的にランク付けし、そのランクの低い項目から順に徐々に暴露(体験)していきます。各項目で、患者さんは深呼吸やリラクゼーション法を使って身体の緊張を減らし、徐々に恐怖反応を緩和させることを学んでいきます。

行動的実験

行動的実験は、患者さんの考え方や信念を聞き取り、新しい行動の結果を確認するための手法です。この手法では、患者さんと治療者が共同で実験を計画し、患者さんが特定の行動を試してその結果を観察します。実験の結果を通じて、患者さんは以前の考え方や信念がどれだけ正確であるかを評価し、必要に応じて新しい行動や考え方に変えていくことができます。

ポジティブリンフォースメント

ポジティブリンフォースメントは、望ましい行動が発生した場合に、その行動に続くポジティブな結果や報酬を提供することで、その行動を強化する手法です。強化された望ましい行動は、その後もより頻繁に発生する傾向があります。

この手法では、患者さんが望ましい行動を行った場合に、それに続くポジティブな結果や報酬を提供することで、患者さんは望ましい行動をより頻繁に行うようになり、その行動が持続するようになります。

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認知行動療法(CBT)

認知療法と行動療法は、それぞれ異なるアプローチを持ちながらも、しばしば統合されてとして使用されます。CBTでは、患者さんの思考、感情、行動の相互作用が重視され、認知療法と行動療法の手法が組み合わされて効果的な治療が行われます。認知行動療法は、思考(認知)と行動の関係を重視して精神的健康問題を治療するアプローチです。

目標志向性

CBTは、患者さんが抱える問題の解決や具体的な目標の達成に焦点を当てます。患者さんと治療者は共同で目標を設定し、それに向かって進んでいきます。

認知と行動の結びつき

CBTでは、個々の問題や症状が思考パターンや行動にどのように関連しているかを理解し、それらを変えることを目指します。つまり、患者さんの認知(思考)と行動の両方を対象としています。

具体的な技法と戦略

CBTは、さまざまな技法や戦略を用いて、患者さんが問題解決やストレス管理などのスキルを獲得するのを支援します。これには、思考の捕捉、認知的再構成、行動的実験などが含まれます。

効果的な期間

CBTは比較的短期間で効果を発揮することが多いため、治療の期間が長引かず、患者さんが早期に成果を実感しやすいことが特徴です。

科学的根拠に基づくアプローチ

CBTは多くの研究によって支持されており、その有効性が科学的に証明されています。そのため、臨床現場だけでなく、臨床心理学の研究や実践でも広く採用されています。

まとめ

認知療法についてその歴史、適応、方法、特徴、有効性、行動療法と認知行動療法との違いなどについて詳しく解説しました。認知療法は、科学的な研究や実践により信頼性があり、精神的健康問題の治療や管理において有用なアプローチとして位置付けらた心理療法・精神療法です。

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