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仕事も育児も頑張る女性に多い「スーパーウーマン症候群」とは?
2024.05.182024.05.18
スーパーウーマン症候群
頑張りすぎてしまう女性とは
すべてを完璧にしようとしてストレスが限界に達してしまう
仕事も育児も全力でこなす「スーパーウーマン」は、一見素敵な姿にみえるかもしれません。しかし、頑張りすぎて心身のバランスを崩してしまうことがあります。完璧主義や責任感の強さから、全てを完璧にしようとしてストレスが限界に達している場合、「スーパーウーマン症候群」かもしれません。
本記事では、仕事と家事、育児に多忙を極める女性がなりがちなスーパーウーマン症候群の特徴について解説します。よりよい働き方や生活に活かせるよう、原因やメンタルケアのポイントを理解しましょう。
スーパーウーマン症候群とは?
完璧主義な面や、頑張り屋さんに多い
スーパーウーマン症候群とは、働く女性が育児も家事も完璧にこなそうとして疲れ果ててしまうことをいいます。ビジネスパーソンとしても、母親としても完璧であろうとし、周りに頼れずにストレスをため込んでしまうことが特徴です。
30代~40代ごろの働き盛りで子育てが忙しくなる時期にみられ、完璧主義で頑張り屋な人に多い傾向があります。
常に戦闘態勢で気を張っているため、交感神経が優位な状態となり、以下のような症状がみられることが多いでしょう。
- 不安やイライラ、焦りを感じることが多い
- 動悸がしたり、脈が早くなったりする
- 胃痛や食欲不振、下痢がある
- 疲れやすく、身体がだるい
- 寝付けなかったり、夜中に目が覚めたりする
一時的に仕事や育児が忙しく、上記のような症状がみられることもあります。しかし、慢性的に症状が持続し、仕事や生活に影響を及ぼしているときには、専門的な治療が必要です。
働く女性がストレスを抱えやすい3つの原因
働く女性が抱えるストレスは、家事や育児の両立だけではありません。状況や環境によっては、重なってしまうとストレスを抱えやすく、メンタル不調に陥りやすいともいわれています。
具体的にはどのような原因からストレスを抱えやすいのでしょうか。
原因①:人間関係のストレスが大きい
女性も男性も人間関係上のストレスを抱えることは少なくありません。厚生労働省が行った「令和3年度労働安全衛生調査」では、仕事上のストレス要因のうち対人関係を挙げているのは、男性が22.6%、女性が29.1%とわずかに女性に多い傾向があることが指摘されています。
コミュニケーションの円滑さなどの環境面が与える影響もある
気軽に相談できて、悩みを分かってもらえる相手がいないと、対人関係に悩みを抱えやすくなってしまいます。特に、IT系などの専門性の高い職種では、女性社員が少ない場合もあります。女性特有の悩みを相談しにくく、ストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
原因②:管理職や責任に伴うストレスを抱えやすい
女性は管理職になるとストレスを抱えやすい傾向があることへの報告もあります(人材育成研究 第10巻1号,2015,3-など)。昇進したとしても、自由度が高くなってストレスが軽減するわけではなく、責任が増えるだけで働きにくくなる場合などの関連が複雑に絡むのです。
女性は管理職ゆえのストレスを抱えやすく、家事や育児とも両立しようとするとストレスがさらに限界に達しやすくなります。
原因③:メンタル不調に陥る原因が多い
男性に比べて、メンタル不調に陥る原因が多いことが女性のメンタルヘルスの特徴です。「冬になるとうつ病の症状が出る」というように、ある季節に気分が落ち込む「季節性感情障害」は、女性に多い傾向があります。
また、産後に起きる「産後うつ」や、月経前に気分の落ち込みやイライラが生じる「月経前症候群(PMS)」は女性特有の症状です。心理面だけではなく、生理的な要因によっても、女性はメンタル不調に陥りやすいといえるでしょう。
スーパーウーマン症候群になりやすい人
働く女性は、男性にはない原因でストレスを抱えやすいといえますが、症状が生じるかは性格傾向によるところがあります。では、スーパーウーマン症候群になりやすいのは、どのような特徴がある人なのでしょうか。具体的には以下の3つの特徴が挙げられます。
- 完璧主義
- 比較癖がある
- 周りに頼れない
スーパーウーマン症候群になりやすい人①:完璧主義
完璧主義で責任感が強い人は、スーパーウーマン症候群になりやすい傾向があります。「努力をすれば何とかなる」と考えて、必要以上に頑張りすぎてしまうことが原因となります。
仕事はうまくできていても、育児は突発的な出来事の連続です。「子どもが熱を出す」「いうことを聞いてくれない」など計画通りいかないことが多くあります。そのため、全てにおいて100点を目指そうとすると、心身ともに疲れ果ててしまうでしょう。
スーパーウーマン症候群になりやすい人②:比較癖がある
競争心が強く、人と比べてしまうところがある人も、スーパーウーマン症候群になりやすいといえます。他の母親と比べて、「育児や家事を十分にできていない」「母親失格だ」と考えてしまうのです。
友人の話を聞いたり、SNSで同世代の育児を頑張る女性の発信を見たりして、落ち込んでしまうことがあるでしょう。そして、仕事に時間を取られている自分を責め、子どもや夫に罪悪感を抱いてしまいます。
周りの母親と比べてしまう癖があると、落ち込みや周りへの罪悪感に繋がりやすいといえるでしょう。
スーパーウーマン症候群になりやすい人③:周りに頼れない
上手に周りに頼れず、1人で頑張りすぎてしまう人も、ストレスが限界に達しやすいでしょう。周りに頼れない原因としては、以下の2つがあります。
1つは、「誰かに頼むよりも自分がやった方が早い」と考え、効率を重視してあまり人を頼らないところです。もう1つは、「この仕事は自分がやるべきだ」と責任感が強く、人任せにしない傾向が挙げられます。
実際に1人でこなせてしまうので、能力は高く周囲からの評価は高い人が多いでしょう。しかし、それゆえに余計に周りからは「○○さんなら大丈夫」と思われ、余計に頼りにくくなりがちです。
スーパーウーマン症候群の改善方法
ストイックに仕事に取り組む女性ほど、スーパーウーマン症候群になりやすいといえます。心身のバランスを崩さないためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
改善方法①:優先順位をつける
頑張り屋な人には難しいかもしれませんが、やるべきことに優先順位をつけて、全てにおいて100点を目指さないという意識が大切です。重要度の高いことは90点、中程度のことは70点など、重要度に応じて合格点を決めて、それを達成できればOKとするとよいでしょう。
また、仕事と家事の両立をこなすには時間が足りないことがあります。判断に迷う仕事や思考に時間がかかる業務には、期限を設けてその日までに考えるというように区切りをつけましょう。
「あれもこれも」という状況で頑張るのではなく、自分の中で範囲を決めて、その中で全力を尽くすといったことが大切です。
改善方法②:周りの人を頼る
スーパーウーマン症候群になりやすい人は、「全て自分がやらないといけない」と考えがちなところがあります。いくら能力が高い人でも限界があるため、少しずつでも周囲の人を頼っていくことが必要です。
できる業務を部下に頼んだり、夫との家事分担を見直したりすることで、自分の仕事を減らしていくとよいでしょう。
改善方法③:自分のための時間を作る
「周りの人のために頑張る」と、人の気持ちを基準にすると、頼りにされる一方で必要以上に頑張りすぎてしまうことがあります。スーパーウーマン症候群になりやすい人は、周りの評価を頼りに頑張るところがあるため、自分の時間を作らないことが多いでしょう。
そのため、「会社の人間として」「母親として」といった役割を全うすることで評価されようとしがちです。役割を離れた「あるがままの自分」に目を向けられるよう、映画や読書など自分がやりたいと思うことをやってみましょう。
スーパーウーマン症候群による不調はストレスが限界に達しているサイン
努力家でストイックな人ほどなりやすいスーパーウーマン症候群について紹介しました。頑張りすぎによるストレスは、今のやり方では現在の状況に対応できないことをあらわすサインなのかもしれません。
乗り越えるのが難しいストレスに立ち向かってきた自分を労い、周りを頼ったり、頑張る範囲を決めたりするなど、新しいやり方を見つけていきましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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