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「誰にも相談できない」が続くとき、何が心の中で起きているのか
2025.04.182025.04.19
自己肯定感、精神科・心療内科、メンタルケア、不安障害・不安症、うつ病
話せないまま抱え込んでしまうあなたへ「相談できない」のは、弱さではない
- 「しんどいけど、誰にも相談できない」
- 「心配はされたくない。でも、本当は誰かに助けてほしい」
- 「話そうとすると、うまく言葉にならなくなる」
こうした状態に陥っているとき、周囲からは「頼っていいんだよ」「話してくれたらよかったのに」と言われても、その“たった一言の「つらい」”すら発する余力が残っていないことがあります。
それは決して、「甘えられない性格」や「弱い心」の問題ではありません。むしろ、心の中でいくつもの感情や思考が絡み合い、複雑に混乱している状態といえるのです。
なぜ、「誰にも相談できない」と感じてしまうのか
人が悩みを相談できなくなる背景には、いくつかの心理的なメカニズムがあります。その多くは、以下のような心の動きに根ざしています。
1. 「こんなことで悩んでるなんて」と、自分を責めてしまう
多くの人は、自分の悩みを「取るに足らないもの」「大したことがない」と無意識に位置づけてしまいます。
- 他人と比べて「自分はまだ恵まれてる方だ」と思ってしまう
- もっと大変な人がいるのに、自分がしんどいなんて言えない
- 弱音を吐いたら、面倒な人だと思われそう
このような思考が積み重なると、「相談する資格が自分にはない」と感じてしまうのです。
2. 誰かに話すことで「現実になってしまいそう」で怖い
とてもつらいことほど、人はそれを言葉にするのが怖くなります。
- 口に出すことで、より自分が深く痛みを感じてしまいそう
- 話すことで、自分が本当に壊れている気がしてしまう・認めてしまうかもしれない
- 「そんなことで?」と否定されたらどうしよう
この恐れは、「相談すること=自分の苦しみをさらけ出すこと」だという心理につながり、沈黙の選択を強くしてしまうのです。
3. 「どうせ理解されない」と、あきらめてしまっている
過去に、誰かに相談して傷ついた経験がある人ほど、「どうせわかってもらえない」「言っても無駄」という気持ちが心に根を張ります。
- 「考えすぎじゃない?」と片づけられてしまった
- 本気で聞いてもらえなかった記憶がある
- 話したのに余計に苦しくなってしまった
こうした経験があると、人は「自分の苦しみは誰にも共有できないものだ」あるいは「他人には共有してはいけない感情だ」と思い込んでしまいやすいのです。
相談できないままでいると、心の中で何が起きるのか
悩みや苦しみを抱えたまま、誰にも話せない状態が続くと、心の中では次のような変化が起こります。
● 感情の“流れ”が止まってとどまってしまう
話すことには、感情を言語化し、流れや整理をつける効果があります。しかし、それができないと感情は行き場をなくし、頭の中をぐるぐると巡り続ける「反芻思考」に変わっていきます。
この状態では、自分でも何がつらいのか・どうしたら良いのか分からなくなり、余計に孤独感が強まっていくのです。
● 自己否定が深まり、自己評価が下がっていく
「誰にも言えない」ことが続くと、次第に「自分は価値のない人間なんじゃないか」「人に迷惑をかけてしまう存在なのかも」といった根拠のない自己否定や罪悪感が強くなっていきます。
それは、心のエネルギーをどんどん削っていく、うつ病や不安障害の前段階になることもあります。
● 身体にも影響が出始める
こころと身体はつながっています。相談できずに内に抱え込み続けることで、以下のような身体反応が出ることもあります。
- 食欲が落ちる/過食になる
- 睡眠の質が悪くなる(寝つけない、夜中に目が覚める)
- 動悸や息苦しさ、頭痛、胃の痛みなどの不定愁訴
これは、脳や自律神経が「ストレス状態」に長期間さらされているサインです。
話すだけで、心が軽くなることもある
悩みのすべてが「誰かに話せば解決する」わけではありません。けれど、人に話すという行為には、以下のような回復効果があることが分かっています。
- 自分の気持ちを整理できる
- 本当に苦しんでいたことに気づける
- 「聞いてくれる人がいる」という実感が支えになる
だからこそ、完璧に言葉にできなくても、少しだけでも話してみることに意味があるのです。
「誰にも相談できない」ときの、心を守る方法
1. 自分の気持ちを、紙に書いてみる
頭の中だけで考え続けていると、どんどん感情が混乱していきます。誰にも言えないなら、まずは紙に書いてみることで、自分の内面を可視化しやすくなります。
書き方にルールはありません。「しんどい」「泣きたい」「逃げたい」など、率直な感情からでOKです。
2. 無理に「相談」と思わなくていい。まずは“自分のために話せる場”を探してみる
いきなり友人や家族に話すのが難しいときは、第三者の視点で話を聞いてもらえる場所を探してみましょう。
- 心療内科・精神科
- 匿名相談サービスやSNSの共感グループ
- 心理カウンセリングなど
特に心療内科・精神科などの専門家では、「どうすれば楽になるか」「どこが苦しかったのか」を一緒に整理するきっかけになり、生活習慣や認知面へのアドバイスなど、お薬だけではない、心の不調についての治療やケアを提供しています。
無理に言葉をまとめなくても大丈夫。「まとまらない苦しさ」ごと話してよいのです。
【最後に】誰にも相談できないあなたへ
誰かに話せないまま、ひとりで耐えている人は、とても頑張っている人です。そして「誰にも言えない」という感覚は、あなたの心がすでに限界に近づいているというサインかもしれません。
誰にも言えないときは、無理に言わなくても大丈夫です。でも、「話せるかもしれない誰か」がいるということを、どうか覚えておいてください。あなたの苦しみには、ちゃんと意味があります。そしてそれは、一緒に受け止めてくれる人に届くことで、軽くなる可能性を持っているのです。
名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院は日曜日も診療している心療内科,精神科,メンタルクリニックです。患者様お一人お一人の症状に合わせて治療ケアを提案しております。お気軽にご相談くださいませ
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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