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レストレスレッグス症候群
2021.05.022022.06.08
レストレスレッグス症候群
レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)をご存知でしょうか?
「レストレス(rest-less)」とは、rest(休息)がless(少ない)で、「落ち着かない」「そわそわした」という意味になります。つまり、直訳すると「落ち着かない脚(restless legs)症候群」というわけです。日本では「むずむず脚症候群」という病名の方が広まっているかもしれません。
レストレスレッグス症候群は、「むずむず脚症候群」の他にも「エクボン症候群」「下肢不能症候群」などと称されることがあります。いずれも同じ症状を表す別名と考えておいて差し支えないでしょう。
ではどのような病気なのか、さらに詳しく見ていきましょう。
【レストレスレッグス症候群】概要
レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)は、その名の通り、脚がむずむずして不快に感じる病気です。夜に不快感が強まることから、症状によって睡眠が妨げられるケースが多く、分類上睡眠関連障害の一種となっています。日本では、全人口の2~4%の患者さんがいると推定されています。人口にすると200~400万人なので、知名度の割に身近な病気であることがうかがえますね。このうち、生活に支障をきたすほどの症状があり治療が必要な方は、約70万人ほどだと考えられています。
【レストレスレッグス症候群】症状
レストレスレッグス症候群では、次の4つの自覚症状があると言われています。
症状1. 脚に不快な感覚が生じ、動かしたくてたまらなくなる
レストレスレッグス症候群の不快感は次のような言葉で表されることが多いといわれています。「むずむずする」「ぴりぴりする」「ちくちくする」「ほてる」「虫がはっているよう」「電流が流れている感じ」「痛い」「動かしたくなる」「叩きたくなる」「かきむしりたくなる」等々。いずれも脚の表面ではなく、深部で起きている感じがするのが特徴です。
症状2. 安静にして、静かに座ったり横になったりしていると、不快な感覚が現れたり、強くなる
レストレスレッグスの症状は、横になったり、座ったりしてから1時間以内に出てくることが多いといわれています。症状が進行すると、会議や授業、映画鑑賞や電車での移動など、座っていなければいけない場面で苦痛を感じやすくなってしまいます。
症状3. 脚を動かすことで不快感が改善する
実際に脚をさする、揉む、歩き回るといった動作で症状が軽くなるのが特徴です。脚以外の部位を動かしていても、身体が動いている状態だと不快感が軽減されるといわれています。
症状4. 日中より、夕方や夜間に症状が強まる
夕方から夜にかけて症状が現れたり、強くなる傾向があります。しかし、進行すると日中にも症状が起こるようになるといわれており注意が必要です。
〇レストレスレッグス症候群と間違いやすい他の病気
特に多いといわれるのが坐骨神経痛です。坐骨神経痛も脚に痛みや違和感を感じるものですが、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの影響で太ももの裏を通る坐骨神経が圧迫されることが原因だとされています。坐骨神経痛の場合、整形外科での診断・治療が可能です。反対に、整形外科でなかなか改善しない脚の違和感はレストレスレッグス症候群の可能性があります。一度、神経内科や心療内科にご相談されるといいかもしれません。
レストレスレッグス症候群の特徴
よく発症する年代
レストレスレッグス症候群をよく発症する年代は中高年期だといわれています。
男女比
レストレスレッグス症候群の罹患率は女性が男性の1.5倍高いといわれています。
レストレスレッグス症候群の原因とは
レストレスレッグス症候群の原因ははっきりとわかっていませんが、主な原因は以下の2つではないかと考えられています。
原因1. 神経細胞の異常
「ドパミン」という神経伝達物質の働きが悪くなって症状が現れるという説が有効です。ドパミンの機能不全は加齢によって生じやすいといわれており、レストレッグス症候群が中高年に多いのもこのためと考えられます。
原因2. 鉄分不足
鉄分は、上記の「ドパミン」を作るのに使われるため、鉄分不足が神経細胞の異常に関係していると考えられています。また、レストレスレッグス症候群が女性に多いのも、女性が生理的に鉄分不足になりやすいことと関係していると推測されます。
レストレスレッグス症候群の治療
レストレスレッグス症候群の治療法には、生活習慣の改善や心理療法、薬物療法などがあります。
【レストレスレッグス症候群の治療】生活習慣の改善
鉄分不足が疑われるときは食生活を見直し、必要な鉄分を補うことで症状の改善を試みます。食事だけで補えないときは、サプリメントなどを用いる場合もあります。
また、カフェインやアルコールの過剰摂取、喫煙等、鉄分の吸収を妨げ、症状を悪化させる生活習慣を見直すことも大切です。さらには、睡眠時間を一定にしたり、寝る前に軽い運動を行うことも症状の改善に効果的だといわれています。
【レストレスレッグス症候群の治療】精神療法など
精神療法などでは、その人にあったリラクゼーション法や思考の転換法を話し合うことで、たとえ症状が出ても、それに捉われず過ごせる時間を長くすることを目指します。
また、レストレッグス症候群は、不快感が経験した人にしかわからないため、なかなか病気の辛さをわかってもらえないという点にも難しさがあります。苦しい気持ちをひとりで抱えるのが大変だと感じたら、医療機関で医師と治療の相談をしてみるのもひとつの手です。人によっては、「話したところで気休めでしょ」と思うかもしれません。けれど、心と体はつながっています。気持ちが休まることで、症状が軽快することも少なくないのです。また、医療機関であれば症状に応じて、後に述べる薬物療法などの治療法をいくつか組み合わせて相談をすることも可能となります。
【レストレスレッグス症候群の治療】薬物療法
症状が強い患者さんの場合は薬物療法も効果的です。レストレスレッグス症候群の治療薬には、神経の興奮を抑えて症状を弱める飲み薬があります。また、弱くなったドパミン神経の働きを補う飲み薬、貼り薬なども出ています。薬物療法は、上記の生活習慣の改善や心理療法と併用して行うとより効果的だとされています。
今回は、レストレスレッグス症候群についてご紹介しました。「病名は知らなかったけど、こんな症状で悩んでいた」という方も多いのではないかと思います。
レストレスレッグス症候群はなかなか周囲にわかってもらいにくい病気です。ご自身が困り感や辛さを感じているのなら、ためらわず、早めに専門家にご相談くださいね。
参考資料:日本神経治療学会治療指針作成委員会(編)(2012)『標準的神経治療:Restless legs症候群』神経治療 vol.29 No.1
井上雄一他(編)(2008)『レストレスレッグス症候群<RLS>――だからどうしても脚を動かしたい』アルタ出版
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