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選択的セロトニン再取り込み阻害薬

2024.06.012024.06.02

選択的セロトニン再取り込み阻害薬・SSRI、お薬

選択的セロトニン再取り込み阻害剤について

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor,以下SSRI) は、主にうつ病によく使われる薬です。今回はSSRIの歴史、薬効、副作用、薬物相互作用などについて解説します。

選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:以下SSRI) は、セロトニンを放出するシナプスのセロトニントランスポーターに選択的に作用します。それによってセロトニンの再取り込みを阻害し、うつ症状等の改善を図る抗うつ薬です。日本で承認されているSSRIは、フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリンの3成分です1)。SSRIはうつ病治療において効果的ですが、患者さんによっては薬の選択や管理に注意が必要です。

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SSRIの歴史

はじめに、SSRIの登場の歴史についてお話します。

フルオキセチン (Prozac) の登場

フルオキセチンは米国で初めて上市されたSSRIで、うつ病の治療に劇的な効果を示しました。これにより、以前の抗うつ薬に見られた副作用が減少し、過量服薬時の安全性も向上したのです。また、フルオキセチンの普及により、うつ病に対する社会の偏見も軽減されました。

その他のSSRIの登場

フルオキセチンに続いて、セルトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ビラゾドンなどのSSRIが登場しました。これらの薬物は効果は同等であり、食品などを取り締まるアメリカ合衆国の政府機関のアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、以下FDA)によって、異なる適応症に承認されています。

SSRIの効果とそれぞれの薬の違い

すべてのSSRIは効果がありますが、薬理や副作用において個別の違いがあります。

副作用

悪心、性機能障害、体重増加などが報告されています。特に、SSRIの突然の中止による離脱症候群も存在します。

薬物動態と相互作用

各SSRIの血中半減期や吸収、蛋白結合率には差があり、代謝は主に肝臓で行われます.

SSRI同士や他の薬物との相互作用により、代謝が阻害される可能性があります。

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薬理学的作用

SSRIは主にセロトニンの再取り込みを阻害して効果を発揮します。シタロプラムやエスシタロプラムはセロトニンに対する選択性が高く、他の神経伝達物質に対する影響が少ないとされています。

注意点

SSRIは慎重に使用することが必要です。突然の中止や他の薬物との併用により、離脱症候群や薬物相互作用の可能性があります。

治療の適応

SSRIについて、治療適応、副作用、特定の患者さんへの影響について解説します。

うつ病

アメリカでは、ほとんどのSSRIがうつ病治療薬としてFDAの承認を受けています。他の抗うつ薬(MAO阻害剤、三環系抗うつ薬、ベンラファキシン、ミルタザピンなど)も比較的高い寛解率が報告されていますが、SSRIは簡便で安全性があり広範な作用があります。

患者さんへの影響

それぞれのSSRIの比較では、どの薬が優れているという一致した所見がなく、患者さんの反応は多様です。例えば、あるSSRI に対して効果があまりない患者さんの 50%以上は、別のSSRIに対して良い効果を示す可能性があります。このように、最初のSSRIに反応しない患者さんに対して、SSRI以外の抗うつ薬に変更する前に別の SSRIを試すことが妥当だと考えられています。

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自殺

FDAは若い患者さんにおいて、抗うつ薬と希死念慮・自殺行動について警告しています。抗うつ薬は一般的に、うつ病症状の改善とともに自殺の予防的な効果がありますが、若年層では効果は明らかではありません。そのため、すべてのうつ病の患者さんに対して、 SSRI を服用する際には自殺のリスクが 最大となる服用開始後の数日間から数週間は、注意して経過観察することが大切です。

妊娠中と産後のうつ病

妊娠中に抗うつ薬を中断すると再発率が高いため、多くの患者は妊娠中も服用が必要です。SSRIの子宮内への影響として先天奇形のリスクを増加させませんが、一部のSSRIには注意が必要と考えられています。また、産後うつ病のリスクがある場合、妊娠中にSSRIの投与を考慮することがあります。

うつ病の患者さんが妊娠期間中に抗うつ薬を中止したり中止を試みたりする場合、薬を変更する場合、再発率は68~100%ときわめて高いとされています。 そのため、多くの患者さんでは妊娠中および産褥期に内服を継続する必要があります。

乳児の成長に対する母親のうつ病の影響は、明らかではありません。 妊娠期間中に、SSRIを使用することによる先天性の大奇形のリスクは増加しないと考えられています。このように、新たに妊娠した母親が内服を中止した場合のうつ病の再発リスクは、胎児がSSRI に曝露されることによるリスクよりも数倍高いとされています。 しかし、パロキセチンをはじめ妊娠中にSSRIを投与する場合は、効果とリスクを十分に考慮することが大切です。

SSRI の母乳への移行はごく少量で、母乳で育児されている児への悪影響はないと考えられています。特に、セルトラリンやエスシタロプラムの母乳中の濃度は低い傾向です。しかし血中濃度が平均より高いという症例も報告されていることから、 SSRI の使用に関してリスクはないと断定はできません。そのため、潜在的なリスクについて十分に理解し使用するかどうかを話し合うことが重要です。

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高齢者と身体疾患を合併している患者

SSRIは、高齢者や身体疾患持つ患者さんに対して安全で忍容性が高い傾向です。一部のSSRIには、高齢者の健康に潜在的な影響がある可能性が示唆されています。

小児のうつ病

小児期や青年期の患者へのSSRI使用にはさまざまな意見があり、明確な有効性は確かではありません。フルオキセチンは、小児期と青年期のうつ病に対して効果があり、特にこの世代の社交不安症の治療に認知行動療法と併用すると有効であることが示されています。

不安症

不安症に対するSSRIの使用は、患者の個別の症状や特徴に応じて調整され、治療法の選択には慎重なアプローチが求められます。

パニック症

パロキセチンやセルトラリンは広場恐怖の有無にかかわらず、パニック症の治療に適応があります。うつ病を併発するパニック症の治療には、ベンゾジアゼピン系薬物よりはるかに優れているといわれています。フルオキセチンは、初期に不安症状を高める可能性があるため慎重に使用することが大切です。

社交不安症

SSRIは社交恐怖の治療に有効で、症状と生活機能の障害の軽減が期待できます。 他の治療法に比べて安全性が高い傾向です。

全般不安症

SSRIは特定の恐怖症や全般不安症、分離不安症の治療に有効である可能性があり、患者さんの状態により綿密な評価が必要です。薬物療法に加えて認知行動療法などの精神療法も検討されます。

強迫症

フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、フルオキセチンは18歳以上の患者に適応があり、一部は小児(6~17 歳)にも承認されています。強迫症の患者さんの約 50%は小児期や青年期に発症し、患者さんの半数以上は薬物療法への反応が良好です。長期にわたって、薬物療法と認知行動療法を継続的に行うのが効果的とされています。

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その他の精神疾患

心的外傷後ストレス障害

SSRIはPTSDの再体験、回避、過覚醒の3つの特異的な症状に対して広範囲の治療効果があります。長期治療では三環系抗うつ薬やMAO阻害薬よりも効果的で、ベンゾジアゼピンによる増強療法も有効です。

神経性過食症およびその他の摂食障害

フルオキセチンは過食症に効果があり、特に1日60mgの投与が有益です。研究では、フルオキセチンが過食や自己誘発性嘔吐を有意に減少させることが示されています。初期には認知行動療法の単独療法が勧められ、3~6週間で効果がなければフルオキセチンを追加する方法があります。

神経性やせ症

フルオキセチンは、神経性やせ症の入院患者さんに、併存する気分障害や強迫症の治療に使用されています。SSRIに加えて認知行動療法や対人関係療法、精神力動的アプローチ、家族療法が挙げられます。

肥満

フルオキセチンは行動療法と併用することで、体重減少に対してわずかながら有効性が示されています。ただし、SSRIを含む全ての患者さんで初期に体重減少が見られ、その後に体重増加が起こることがあります。

月経前気分不快障害 (PMDD)

セルトラリン、パロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミンはPMDDの症状を軽減することが報告されています。 一部の研究では、フルオキセチンやセルトラリンが性周期の長さに影響を与える可能性が示唆されていますが、具体的な有意性は不明です。

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その他の使用について

その他のSSRIの使用についてお話しします。

早漏症

早漏症の治療において、SSRIは性的興奮を抑制し性交を延長させる効果があり、フルオキセチンとセルトラリンはその有効性が示されています。

自閉症

自閉症において、セルトラリンやフルボキサミンは攻撃性や自傷行為、反復行動、一部の言語発達の遅れなどに対して効果があることが示されています。

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注意点と副作用

SSRIの副作用は、その発症と持続期間、重症度を考慮することが必要です。例えば、悪心とイライラ感は初期に出現し、 通常中等度で期間が限定的な副作用です。SSRI は共通の副作用はありますが、 個別の薬物によるある種の副作用の発現について、患者さんにより頻度や重症度が異なる可能性があります。

性機能障害

すべての SSRI は性機能障害を引き起こすとされています。長期間使用すると高い頻度で起こり、その頻度は50~80%と推定されています。 最も頻度の多い訴えとしては、性行為でオルガズムを感じないことや抑制されること、さらに性欲が減退することです。SSRI によるその他の多くの反応と異なり、性機能障害は開始後数週間以内に改善することは稀です。通常SSRIを服用する限り持続し、ときには時間をかけて改善していくこともあります。

胃腸系への影響

胃腸系の副作用は悪心、下痢、食欲不振、嘔吐、消化不良などが一般的な症状です。セルトラリンとフルボキサミンは最も激しい胃腸症状を引き起こします。食欲低下や体重減少はSSRIの一般的な副作用で服用後すぐに始まり、20週目でピークに達した後、体重は回復していきます。パロキセチンは他のSSRIよりも体重増加の頻度が高く、特に若い女性に見られる傾向です。

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心血管性への影響

すべてのSSRIは健常な人でも心臓に負担をかけ、不整脈などを引き起こすリスクがあります。そのため、特定の患者においては最大1日用量が制限されています。心疾患患者や徐脈性不整脈の患者は、SSRI使用中に心電図検査を頻繁に受けることが重要です。特に、シタロプラムは重篤な不整脈を引き起こすリスクが高く、異常な心拍数や不整脈の症状が現れた場合はすぐに主治医に相談することが必要です。

頭痛

SSRI治験中の頭痛の出現頻度は18~20%です。特にフルオキセチンは、頭痛の頻度が最も高いのが現状です。一方、 すべてのSSRI は、多くの患者さんで偏頭痛と緊張性頭痛の両者に対して予防的な効果があります。

中枢神経系への影響

中枢神経系への影響について説明します。

不安

フルオキセチンは、治療を始めた直後の数週間で不安を引き起こすことがありますが、これらの初期症状は通常数週間後に消失します。一方で、パロキセチンやエスシタロプラムでは不安が増強される頻度が低いため、混合性不安抑うつ障害の治療に使用されることがあります。

不眠と鎮静作用

SSRIは、うつ病や不安の治療を通じて、患者さんの睡眠を改善する主な作用があります。しかし、 SSRI を服用している患者さんの 25%もが睡眠障害、傾眠、耐え難い疲労感を自覚します。フルオキセチンは不眠を起こす可能性があるため、朝に服用することが多い傾向です。

セルトラリンやフルボキサミンでは、不眠と傾眠の頻度とほぼ同じであり、シタロプラムと特にパロキセチンは傾眠を引き起こすことが多い傾向です。 エスシタロプラムは、睡眠を障害することが多く、SSRIを就寝前に服用することで効果が得られる患者さんもいれば、 朝に服用した方が良い患者さんもいます。

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睡眠への影響

SSRIを服用している患者さんの多くが、非常に鮮明な夢や悪夢を見ることがあり、彼らは睡眠が「忙しい」と表現します。 他の睡眠への影響として、歯軋り、ストレスレッグ症候群、夜間ミ オクローヌス、発汗があります。

情動鈍麻

情緒鈍麻は、 SSRIの長期的使用に関連する頻度の高い副作用です。 患者さんは、情緒的な状況で泣くことができず、無気力あるいは無関心になったり、情緒的な体験に対して感情が抑制されたりすると述べています。この副作用は、たとえ薬が抑うつや不安の治療のために処方されている場合であっても、治療の中断を余儀なくさせることがあります。

あくび

SSRIを服用しているとあくびが多くなります。この副作用は、疲労や夜間の睡眠不足を反映しているわけではなく、 SSRIの視床下部への影響の結果として生じるのです。

けいれん発作

けいれん発作は、SSRIを服用している患者さんの0.1~0.2%で起こると報告され、他の抗うつ薬で報告されている頻度と同じです。けいれん発作は、SSRIが最高用量(例えばフルオキセチン1日100mg以上)になると、頻度はより高くなります。

錐体外路症状

SSRIによって、アカシジア、ジストニア、振戦、歯車樣固縮、斜頸、後弓反張、歩行障害が出現することは非常に稀です。 良好な治療経過のパーキンソン病の患者さんの中には、 SSRI を服用して急激にパーキンソン症状が悪化することがあります。

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血液学的有害作用

SSRIは血小板数の減少ではなく、 血小板凝集能に関する機能障害を引き起こすとされています。紫斑が生じやすいことや過度の出血、出血時間の延長はこの作用を表しています。 抗凝固薬やアスピリンを SSRIと併用しているときには、特に注意深い観察が必要です。

電解質と糖代謝障害

SSRIは血糖値を急速に低下させることがあるため、糖尿病の患者さんは注意深く観察しなければなりません。 長期間のSSRIの使用は、薬理学的機序によるものかどうかは不明ですが、 血糖値を上昇させることがあります。抗うつ薬を服用している患者さんは、うつ病を治療することの結果として糖尿病を発症したり、糖尿病や他の身体疾患の診断を受ける可能性が高い傾向です。高齢患者や利尿薬を使用している患者さんでは、 SSRIに関連した低ナトリウム血症や抗利尿ホルモン分泌異常症が観察されることがあります。

内分泌とアレルギー反応

SSRI は男女双方でプロラクチン濃度を高め、乳房肥大や乳汁漏出症を引き起こします。 乳房の変化は可逆性で薬物の中止により回復しますが、数か月かかることがあります。 さまざまな種類の発疹が全患者の約4%に出現し、一部ではアレルギー反応が全身に及び、呼吸 器系に影響を与え、 稀ですが線維化して呼吸困難になることがあります。 薬物に関連した発疹が出現した患者さんでは、 SSRIを中止することが必要です。

セロトニン症候群

SSRIを他の薬物と併用すると、血中セロトニン濃度が中毒量まで上昇し、セロトニン症候群が生じる可能性があります。この症候群は重篤で致死的になりうるため、迅速で包括的な治療が必要です。

セロトニンの過剰刺激による症候群では、状態の悪化とともに次の順で症状が現れます。

  • 1 下痢
  • 2 不穏
  • 3 過度の焦燥、腱反射の亢進、急激なバイタルサインの変動を伴う自律神経系の不安定な状態
  • 4 ミオクローヌ ス、けいれん発作、高体温、制御できない震え、固縮
  • 5 せん妄、昏睡、けいれん発作重積、心血管系虚脱

セロトニン症候群の治療は、原因薬物の中止とニトログリセリン、シプロヘプタジン、メチセルギド、冷却用毛布、クロルプロマジン(コントミン、ダントロレンダントリウム)、ベンゾジアゼピン系薬物、抗てんかん薬、人工呼吸器、筋弛緩薬などを用いて迅速に包括的な支持的治療を実施することです。

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発汗

SSRIで治療中に、発汗を経験する患者さんがいます。この発汗は、周囲の環境温度とは無関係で、夜間にシーツがびしょぬれになり 寝衣の交換を必要とするほどの発汗です。

離脱症状

SSRIの突然の中止、特に半減期の短いSSRIでは離脱症状が生じることがあります。これらの症状には眩暈、筋力低下、不安、不眠などが含まれますが、通常は自然に軽快することが多い傾向です。SSRI使用の突然の中止、 特にパロキセチンまたはフルボキサミンのような半減期の短いSSRIでは、離脱症状が生じます。 症状には次のようなものがあります。

  • 眩暈
  • 筋力低下
  • 悪心
  • 頭痛
  • 反跳性抑うつ
  • 不安
  • 不眠
  • 集中力低下
  • 上気道症状
  • 異常知覚

片頭痛様症状通常、 少なくとも 治療を6週間続けた後までは出現せず、3週間以内に自然に軽快する傾向です。SSRI服用後最初の1週間以内に一過性の有害作用を経験した患者さんは、中止による離脱症状を経験しやすいとされています。

薬の相互作用

SSRIは、通常他の多くの薬物の作用を阻害しません。しかし、SSRIは他の薬との相互作用に関する留意事項があり、特に特定の薬物との併用時には慎重さが必要です。薬の相互作用についてまとめました。

セロトニン症候群に関する情報

MAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)、トリプトファン、リチウム、他のセロトニン再取り込みを阻害する抗うつ薬との併用により、セロトニン症候群が引き起こされる可能性があります。

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特定のSSRIの相互作用

フルオキセチン、セルトラリン、およびパロキセチンは、三環系抗うつ薬の血中濃度を上昇させ、中毒症状を引き起こす可能性があります。

その他の相互作用

SSRIとNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)の併用は、胃出血のリスクを高める可能性があります。特にフルボキサミンは、クロザピン濃度を上昇させてけいれん発作のリスクを高めるため、クロザピンと併用すべきではありません。

SSRIとゾルピデムの併用について

SSRIは、ゾルピデム(マイスリー)誘発性の幻覚を含む副作用の発現期間と重症度を増加させる可能性があります。

それぞれの薬の相互作用

それぞれの薬の相互作用 については次のとおりです。

フルオキセチン

フルオキセチンは三環系抗うつ薬と併用することが可能ですが、三環系抗うつ薬の用量を少量にすることが大切です。三環系抗うつ薬は、代謝機能が低下している患者さんの7%において、 他の薬物の代謝を阻害します。フルオキセチンはカル バマゼピン (テグレトール)、 抗腫瘍薬、 ジアゼパム(セル シン)、 フェニトイン(アレビアチン)の代謝を抑制する可能性があります。フルオキセチンやその他のSSRI は、 ワルファリン (ワーファリ ン)と相互作用があり、 出血や紫斑の出現リスクが高まる傾向です。

セルトラリン

セルトラリンは血漿蛋白からワルファリンを取り除き、プロトロンビン時間を延長させることがあります。

パロキセチン

パロキセチンは CYP2D6酵素の阻害能力がより強いため、 フルオキセチンまたはセルトラリンより薬物相互作用のリスクが高い傾向です。 CYP2D6 酵素を阻害する可能性があるため、 パロキセチンと他の抗うつ薬、フェノチアジン系薬物や抗不整脈薬との併用には注意を払うことが大切です。 パロキセチンはワルファリ ンの抗凝固作用を高めることがあり、 パロキセチンとトラマドールの併用投与は、高齢者でセロトニン症候群を誘発すことがあるります。

フルボキサミン

SSRIの中で、 フルボキサミンは薬物相互作用のリスクが最も高いとされています。フルボキサミンはアルプラゾ ラム、 トリアゾラム(ハルシオン)、 ジアゼパムの半減期を延長することがあり、 これらの薬物と併用すべきではありません。

フルボキサミンはテオフィリン血中濃度を3倍、 ワルファリンの血中濃度を2倍に上昇させ、 重篤な結果がもたらされることがあります。そのため、 ワルファリンの血中濃度を厳重に監視し、 投与量を適宜調節することが重要です。 フルボキサミンはクロザピン、 カルバマゼピン、 メサドン、プロプラノロール(インデラ ル)やジルチアゼム (ヘルベッサー)の血中濃度を上昇させ、その活性を増加させることがあります。

シタロプラム

シタロプラムはいかなる CYP 酵素も阻害することはありません。シタロプラムは、メトプロロール(ロプレソール)の 血中濃度を2倍に上昇させますが、通常血圧や心拍数には影響ありません。

エスシタロプラム

エスシタロプラムは中等度に CYP2D6 酵素を阻害す薬物で、デシプラミンとメトプロロールの濃度を上昇させます。

ビラゾドン

ビラゾドンは強力な CYP3A4阻害薬と併用するときには、投与量を20mgまで減量します。CYP3A4 酵素誘導薬との併用では、 薬物濃度が不十分となり効果が低下することがあります。

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投与量と臨床指針

各薬物につい投与量などについて簡潔にまとめました。

フルオキセチンについて

フルオキセチンは、うつ病、PMDD(月経前不快気分障害)に使用されます。種類はカプセル、割線入りの錠剤、腸溶カプセル、経口濃縮液です。 通常の初期投与量は、10mgまたは20mgで毎日朝に服用します。最大投与量: 80mg(一部は90mg)で、効果が現れるまでに約は4週間かかります。

セルトラリン

セルトラリンは、投与形態: 25mg、50mg、100mgの割線入り錠剤です。通常の初期投与量は50mgで、朝または夕方に服用します。胃腸系への影響を抑えるため、一部は25mgで開始し、3週後に50mgに増量します。最大投与量は200mgです。

パロキセチン

パロキセチンは、速放錠、20mg錠、30mg錠、40mg錠、10mg/5mlの経口懸濁液があります。通常の初期投与量は、10mgまたは20mgです。効果がみられない場合は1週間ごとに10mgずつ増量し、最大150mgまで服用することができます。胃腸系への作用を減らすために食後の服用が良いとされています。徐放錠もあり、初期用量はうつ病に対して1日25mgです。

フルボキサミン

ルボキサミンは、社交不安症、強迫症に使用されます。初期投与量は、1日1回50mg(就寝前)、2週以上悪心が続く場合は投与量調整が必要です。最大投与量は1日300mgです。

シタロプラム

シタロプラムは、20mg、40mgの割線入り錠剤、10mg/5mlの液剤があります。初期投与量は 1日20mg、高齢者や肝障害の患者は1日20mgで、反応しない場合に1日40mgに増量可能です。錠剤は1日1回朝、または夕方に食事と一緒か食事なしで服用することが奨励されています。

エスシタロプラム

エスシタロプラムは10mg、20mgの割線入り錠剤、5mg/5mlの経口液剤があります。推奨用量は1日10mで、20mgを使用しても追加の利益は得られないことがわかっています。

ビラゾドン

ビラゾドンは10mg、20mg、40mgの錠剤があります。治療用量は1日1回40mg、初めの7日間は10mg、次の7日間は20mg、それ以降は40mgと増量していきます。食事とともに内服することが奨励されています。

ボルチオキセチン

ボルチオキセチンは、複雑な薬理作用を有します。始めに1日1回10mgの経口投与が推奨されています。14日以上強力なCYP誘導薬を併用する場合は、注意が必要です。突然の中止は中断症候群を引き起こす可能性があるため、徐々に減量することが勧められています。最大用量は本来の用量の3倍です。

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まとめ

SSRIは、うつ症状等の改善を図る薬です。今回はSSRIの歴史、薬効、副作用、薬物相互作用などについて詳しく解説しました。SSRIは現在広く使用されていまる薬ですが、容量を守り医師のアドバイスをもとに適切に服用することが大切です。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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