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広場恐怖症とは?症状や診断基準、治療方法について解説

2024.05.242024.05.25

心理面・思考、広場恐怖症、認知行動療法

人混み・公共の場所が怖い時

「人混みが怖い」「電車に乗ると不安で動悸がする」などと、公共の場所が怖くなってしまう人は、広場恐怖症の可能性があります。広場恐怖症は、重症化すると外出が困難になり、生活に支障を及ぼすこともあるため、注意が必要です。

本記事では、「広場恐怖症」の症状と診断基準、治療方法について解説します。

広場恐怖症はどんな病気?

広場恐怖症の「広場」とは、ギリシャ語の”agora”に由来しています。古代ギリシャでは、人々が集まるところを”agora”と呼び、公共の場所へ1人で出かけることを怖がることを広場恐怖症と呼んでいました。現在は、「広場」とされる場所が拡大し、さまざまな場所で症状が生じるとされています。

広場恐怖症の生涯有病率は「2~6%」とされており、決して珍しい病気ではありません。きっかけがあれば誰にでも起こりうる病気であるといえるでしょう。

広場恐怖の診断基準と症状は?

広場恐怖は、人が集まる場所に強い恐怖や不安があることが特徴ですが、どのような症状がみられるのでしょうか。「DSM-5」という精神疾患の診断基準にもとづいて、具体的な症状を説明します。

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恐怖が生じるのは主に5つの場所や状況

DSM-5※においては、次の「5つの場所」のうち2つ以上において恐怖や不安が生じるとされています。
※米国精神医学会の発行する「精神疾患の診断・統計マニュアル」

  1. 公共交通機関:電車、バス、車、バス、飛行機など
  2. 広い場所:駐車場、公園、ショッピングセンターなど
  3. 囲まれた場所:店、映画館、エレベーターなど
  4. 人混みや行列
  5. 家の外で一人でいる状況

上記のように、周囲に助けを求めることが難しい状況を避けることが広場恐怖症の特徴です。例えば、電車で激しい動悸を伴うパニック発作が起きて、そこから逃げられず助けてもらえないかもしれないと考えてしまいます。そのような状況を避けるために、「電車に乗らない」といった回避行動を取るのです。

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強い恐怖や不安、場所と状況の回避が6ヵ月以上続く

広場恐怖症の恐怖や不安の程度は、「現実的に起こりうる危険から考えると、あまり現実的でない心配をしている」というレベルだといえます。こうした強い恐怖や不安、および状況の回避が「6ヵ月以上続く」のが一般的です。

強い恐怖や不安により、外出時には誰かに付き添ってもらわないと不安になることがあります。パートナーに負担をかけてしまい、関係がこじれるきっかけにもなりかねません。広場恐怖症を「病気」として理解してもらい、適切な対処を取ることが重要です。

パニック障害との関連性が深い

病院を中心とした調査では、「広場恐怖症を持つ人の4分の3がパニック障害を併発する」ことが分かっています。パニック障害が改善されると、広場恐怖症も緩和していくことが多いでしょう。

一方で、パニック障害を併発しない広場恐怖症は、うつ病やアルコール依存が合併することが多いとされています。公共の場所への外出が難しくなり、引きこもりがちになることが影響しているといえるでしょう。

広場恐怖症はどんな理由で起こる?

広場恐怖症の原因は詳しくは分かっていませんが、何らかのショックな経験により生じることが多いでしょう。例えば、子どものころに暗い場所へ閉じ込められた体験から、簡単に逃げられない場所が怖くなってしまうといった場合です。

また、「神経質」「心配性」といった性格も、広場恐怖を引き起こす一つの原因になるケースがあります。

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広場恐怖症はどんな治療が有効?

外出が困難になってしまうなど、日常生活に影響の大きい広場恐怖症ですが、どんな治療が有効なのでしょうか。

基本的には、薬物療法により不安や恐怖を軽減しながら、精神療法において不安や恐怖に慣れる練習を行います。

薬物療法:抗うつ薬や抗不安薬が中心

薬物療法でよく用いられるのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を中心とした抗うつ薬です。うつ症状だけでなく、不安の緩和にも役立ちます。うつ病の治療よりも、少ない服用量からスタートし、徐々に増やしていくことが一般的です。

SSRIは、服用を開始した直後には、睡眠障害や眠気、めまい、悪心、下痢などの副作用を生じることがあります。飲み続けていくことで改善することが多く、長期的にみると安全性が高い薬です。

また、ベンゾジアゼピン系を中心とした抗不安薬も、強い恐怖や不安を素早く緩和する効果が期待できるでしょう。そのため、恐怖に直面したとき、不安を落ち着かせるために用いられます。

ただ、長期的に使用すると薬がないと落ち着かなかったり、必要以上に乱用してしまったりするなどのリスクもあるでしょう。主治医と相談しながら、薬の量をコントロールできるように取り組んでいくことが重要です。

精神療法:認知行動療法の有効性が高い

広場恐怖症の治療として、「暴露反応妨害法」という認知行動療法の技法が効果的です。暴露反応妨害法では、恐怖や不安を生じさせる対象に直面し、恐れていた結果が起きないことを経験していきます。

例えば、電車に乗っているとお腹が痛くなるのではないかという心配を抱える人を例に考えてみましょう。電車を降りられない状況で腹痛に襲われるのが怖くて、電車に乗ることを避けたり、何度も途中下車したりと、恐怖を避ける行動を取ります。

暴露反応妨害法は、こうした安全を確保するための回避行動を減らしていくことが特徴です。時間経過とともに不安が落ち着くことに気づき、回避行動を取らなくても、恐怖が緩和していくことを目指します。

最近では、ICT※を活用した方法も導入されており、実際の場面をリアルに感じながら治療を行うことも可能です。例えば、パソコン上にスーパーのような混みあった場所にいるアバターとして自分自身を登場させ、治療を行います。
※Information and Communications Technology:情報通信技術

暴露反応妨害法を始めとした精神療法の技法は、強い不安に直面するため、患者様にとっては負担が大きいことがあるでしょう。薬物治療や環境調整を行い、ある程度症状が落ち着いてから取りくむことが大切です。

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広場恐怖症は自分でコントロールできない状況を恐れる病気

広場恐怖症は、逃げられない状況の中で危険なことが起きないかを恐れてしまう病気です。

人間には、危険な状況を察知し、それを避けるためのセンサーが備わっています。命を守る大切な役割を果たしていますが、広場恐怖はそのセンサーが過剰に働き、日々の生活を脅かしている状態といえるでしょう。

広場恐怖症による恐怖や不安は、自分の身を守るための行動なのだと認識しつつ、無理なく生活を送れるように取り組んでいくことが大切です。

広場恐怖症に関するブログはこちらでも紹介をしています。

「名駅エスカ院」の広場恐怖症の詳しい説明はこちらから

「栄院」の広場恐怖症の詳しい説明はこちらから

「金山院」の広場恐怖症に関する詳しい説明はこちらから

「あま市」の広場恐怖症に関する詳しい説明はこちらから

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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