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APD/Lid(聴覚情報処理障害)とは?聞こえているけど理解できない障害を解説

2024.05.242024.05.25

APD・聴覚情報処理障害、大人の発達障害・ADHD

言葉は聞き取れるけど、話についていけない、意味がすぐに理解ができない

「言葉は聞き取れるけど、意味が理解できない」「話についていけず、思考停止してしまう」などうまく聞き取れないのはAPDかもしれません。APDとは、聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder)と呼ばれ、聴力に問題はないものの、うまく聞き取れない状態です。

本記事では、APDの症状や診断方法、対処法について解説します。「話が入ってこない」「早口で言われると分からない」といった悩みがある方は、症状に当てはまるかどうか参考にしてください。

※APD(聴覚情報処理障害/Auditory Processing Disorder)は、認知や注意の問題が中心となり生じていることが分かってきました。最近ではLid(聞き取り困難症/Listening difficulties)とも呼ばれていますが、本記事ではAPDについて解説いたします。

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APD(聴覚情報処理障害)とは?

APDとは、聴力に問題がないにもかかわらず、聞き取りに困難さを示す障害を指します。音声としては聞こえているのに、聞こえた情報をうまく処理できず、言葉として理解するのが難しいことが特徴です。

日常生活では、「指示を聞き逃してしまう」「雑音がある環境ではうまく聞き取れない」など、聞き取りの問題からさまざまな支障をきたします。特に、仕事においては、口頭での指示や電話対応など、耳から入ってくる情報を扱う場面では苦労しやすいでしょう。

海外で行われた研究では、子どもの7%にAPDがみられ、男児に多い ことが分かっています。子どものころから聞き取りに困難さを示すケースが多いですが、大人になってから気づくというパターンもあります。

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APD(聴覚情報処理障害)の症状とは?

聞き取りに困難さを示すAPDですが、具体的にはどのような症状が起こるのでしょうか。以下の4つの症状が一般的によくみられます。

  • 耳だけで指示を聞き取れない
  • 周りの雑音に影響されて聞き取れない
  • 複数人での会話についていけない
  • 聞いたことを覚えておけない

APDの症状①:耳だけで指示を聞き取れない

APDの症状の1つとして、耳から聞く情報だけで指示を理解することが難しいことが挙げられます。仕事の場面では、口頭だけで指示される場合や電話対応などで言われたことを聞き間違えてしまうことがあるでしょう。

また、小さな声や早口で話されるとうまく聞き取れないこともあります。大きな声でゆっくりと伝えられないと処理が追いつかず、聞き逃してしまうのです。

さらに、話の内容が長くなると処理が追いつかなくなり、途中で分からなくなるといったことも起こります。文字やイメージなどの視覚的な情報がないと、スムーズに理解することが難しいでしょう。

APDの症状②:周りの雑音に影響されて聞き取れない

周りの雑音に影響されて聞き逃してしまうことも症状の1つです。飲み会のような騒がしい場面であっても、今話をしている人の声と雑音を区別し、聞き分ける能力が備わっています。

区別する能力を「選択性注意」と呼びますが、APDでは選択性注意がうまく働かず、雑音も同時に聞き取ってしまうのです。そのため、周囲が気にならないような雑音でも注意が逸れてしまい、うまく聞き取れないことがあります。

APDの症状③:複数人での会話についていけない

プライベートでの食事や仕事の会議の場面などでは、複数人で会話することがあります。複数人での会話は、話す人が入れ替わるため、1対1で話すよりも話の展開が早いといえるでしょう。

そのため、「誰が話しているのか分からない」「会議は議事録を見ないと理解できない」といった困りごとが起きやすいといえます。

APDの症状④:聞いたことを覚えておけない

耳から聞いた情報を覚えておくことも苦手な傾向があります。口頭で指示されたことを覚えて行動に移すまでに時間がかかり、注意を受けるといったことが起きやすいでしょう。指示はマニュアルのように言語化して伝えられると理解しやすいことが特徴です。

APD(聴覚情報処理障害)の原因とは?

聞き取りの困難さからコミュニケーション上の支障につながるAPDですが、どのような原因により生じるのでしょうか。原因は特定されておらず、いくつかの原因が複合して生じていると考えられています。主として挙げられるのは以下の4つの原因です。

  • 発達障害の併存
  • 心理的な問題
  • バイリンガル
  • 中枢神経系の問題

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APDの原因①:発達障害の併存

APDによくみられるのが、ASD(自閉症スペクトラム障害)やADHD(注意欠如多動症)などの発達障害の併存です。成人においては、7割近くが発達障害が併存していたというデータ もあるほど、APDにおいてよくみられる原因といえるでしょう。

ASDの特性の1つとして、「中枢性統合の弱さ」という注意力の問題があります。中枢性統合の弱さとは、「細かい部分は正確に捉えられるが、全体像を掴むのが苦手」といった特性です。

聞き取りにおいても、必要な情報とそうでないものを見分けることが難しく、大切な事柄に注意を向けられないことが起きやすいでしょう。そのため、雑音がある環境では聞き取りにくいということが起こるのです。

ADHDは、「刺激に反応しやすい」といった特性がAPDの症状に関連していると考えられています。話を聞いている最中に、他の物音や考えごとなどに気を取られて聞き逃すといったことが生じやすいでしょう。

また、ASDやADHDに該当しないものの、注意や認知、記憶に関する問題がみられるケースもあります。「発達障害の傾向があるかどうか」という視点でAPDの問題を整理していくことが大切だといえるでしょう。

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APDの原因②:心理的な問題

心理的なストレスによっても、聞き取りにくさが生じることがあります。特に、不安を感じやすい場合には、集中して話を聞けないということが起きやすいでしょう。聞き取りに関する失敗体験から、さらに不安が高まり聞けなくなるといった二次的な症状もみられます。

また、APDは精神疾患との併存がみられることも特徴です。特に、適応障害うつ病睡眠障害がみられることが多いとされています。精神疾患の症状により、頭がぼんやりとして注意が向けられず、聞き取りにくさが生じるものといえるでしょう。

APDの原因③:バイリンガル

複数の言語を話せる「バイリンガル」であることも、聞き取りにくさに影響している可能性があります。言葉が発達する時期に複数の言語を使用する環境であると、どちらの言語も年齢相応のレベルに発達しないという問題が生じやすい環境も考えられます。

使用する異なる言語間の文法や単語の選択が上手くできないことで、言葉の内容をうまく聞き取れずに処理が追いつかないということが起こるのです。幼少期にどのような家庭環境であったかを知っておくことも必要でしょう。

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APDの原因④:中枢神経系の問題

脳梗塞や脳出血などにより、脳に損傷が起きることが原因の1つとも考えられています。耳から聞いた情報が脳に伝わるまでの神経系に、何らかの損傷が生じることで「聞こえているけども理解できない」といった症状を引き起こすのです。

特に、APDでは、片側の神経系が損傷されていることが特徴です。耳から得られる情報のバランスが偏ってしまうことで、聞き取りにくさが生じるとされています。

APD(聴覚情報処理障害)の診断方法は?

APDは原因に個人差があるため、明確な診断基準がありません。基本的には、聴覚の特徴を調べたうえで、さらに聞こえにくさの背景にある要因を精査するといった、2段階の検査が行われます。

APDの検査①:聴覚の特徴を調べる

まず、聴力検査や必要に応じて脳波検査などを行い、音として聞こえているかを調べます。その上で、雑音がある環境や早口での言葉の聞き取りや、耳を通して記憶する力などを図り、APDに該当するかどうかを判定します。

APDの検査②:背景要因を調べる

次に、APDの背景要因を探ります。発達障害が併存していないかを問診や検査を通して把握し、注意や認知機能に問題がみられないかをチェックすることが主な流れです。

さらに、家庭や学校、職場などの環境面で、ストレスとなる出来事が生じていないかという点や、不安の感じやすさなどの性格特性の把握も行います。聞き取りの問題だけでなく、包括的な視点で原因を確認することが特徴です。

APD(聴覚情報処理障害)の対処法は?

では、APDによる聞き取りの困難さがある場合、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。以下の3つの対処方法について解説します。

  • 環境調整
  • 補助手段の活用
  • 聞き取りトレーニング

APDの対処法①:環境調整

聞き取りが難しいと感じる場合には、周りを聞きやすい環境に整えることが大切です。「雑音が気になり聞き取りにくい」という場合には、作業を行う場所を静かな部屋に変更してもらうとよいでしょう。

また、伝え方も周囲に配慮してもらう必要があります。ゆっくり繰り返し話してもらい、ジェスチャーや一目で分かるイメージを用いて説明してもらうことが正確な理解を助けるでしょう。

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APDの対処法②:補助手段の活用

聞き取りにくいときには、ICレコーダーを活用して録音させてもらうことも役立ちます。音声情報は形に残らず消えていくため、記憶に残りにくいでしょう。録音して形に残すことで、あとから振り返ることが可能になります。

また、補聴器を活用して聞き取りやすくすることも有効です。補聴器の中でも、話し手の声を直接補聴器に送信するタイプのものは、周囲の雑音を省けるため役立つでしょう。

APDの対処法③:聞き取りトレーニング

特定の話を聞き、聞き取りの力を高めることも対処方法の1つです。ラジオや朗読CD、落語など、音声のみを聞いて話の内容を理解できるように取り組みます。

「一定時間話を聞き続ける」といった注意力が鍛えられるだけでなく、語彙力も向上し、言葉の理解がスムーズになる効果が見込まれます。

聞き取れない原因は人それぞれ

APDは、聴力に問題がないにもかかわらず、聞き取りに困難さを示す障害です。日常生活では指示を聞き逃したり、雑音のある環境で聞き取れないなどの支障が生じますが、対処には周囲の配慮は重要です

しかし、「聞こえているのに意味が理解できない」といった症状はなかなか理解が得られにくいことも多いでしょう。そのため、発達障害の傾向や心理的な影響など、専門機関を受診し正確に診断してもらうことが大切です。診断の裏付けがあれば、周囲からも理解されやすいでしょう。困っている場合には、一度受診して相談してみることをおすすめします。

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