名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院がベンゾジアゼピン系薬物とGABA受容体作動薬について解説

名古屋駅徒歩0分

大人のための
メンタルクリニック

公式ブログ

ベンゾジアゼピン系薬物とGABA受容体作動薬

2024.05.312024.06.01

お薬、不眠症・睡眠障害

ベンゾジアゼピン系薬物のこれまで

ベンゾジアゼピン系の薬とGABA受容体作動薬は、精神科をはじめ、様々な領域で睡眠薬や抗不安薬として使用されています。今回は、ベンゾジアゼピン系薬物の歴史、薬理学的作用、治療の適応、双極性障害やパーキンソン病などのときの使用方法、注意点や有害反応、耐性や依存、薬物相互作用などについて解説します。

はじめに、ベンゾジアゼピン系薬物の歴史や変遷、特性、用途、リスクや注意点などについてお話しします。

ベンゾジアゼピン系薬物の歴史

1959年に、初のベンゾジアゼピン系薬物であるクロルジアゼポキシドが登場し、1963年にはジアゼパムが導入されました。

30年以上にわたり、ベンゾジアゼピン系薬物はその安全性と忍容性から、かつての抗不安薬や睡眠薬として使用されていたバルビツール酸系薬物やメプロバメートなどに取って代わり、数多くの薬物が合成・販売されるようになったのです。

ベンゾジアゼピン系薬物の特性

ベンゾジアゼピン系薬物は分子構造に基づいて命名され、いずれもアミノ酪酸(GABA)活性を調整する機能を持つベンゾジアゼピン受容体に作用し、抗不安、鎮静、筋弛緩、抗けいれんの効果があります。また、非ベンゾジアゼピン系の受容体作動薬であるゾルピデム 、ザレプロン、エスゾピクロンなどのいわゆる 「Zドラッグ」と呼ばれる薬物も、ベンゾジアゼピン受容体に隣接した部位に結合し効果を発揮します。

ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬とフルマゼニル

ベンゾジアゼピン系薬物の拮抗薬であるフルマゼニルは、救急の現場などでベンゾジアゼピンの過剰摂取を治療するために使用されています。

ベンゾジアゼピン系薬物の用途

ベンゾジアゼピン系薬物は抗不安鎮静作用を速やかに発揮し、不眠、不安、焦燥、精神疾患に関連した不安などに対して広く使用されています。麻酔薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬としても使用され、カタトニア(緊張病)の治療にも頻繁に利用されています。

ベンゾジアゼピン系薬物の使用におけるリスクと注意点

長期投与により身体依存や精神依存が生じるリスクがあるため、臨床上の必要性は継続的に評価されなければなりません。

また慢性的な不安症には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が最初に考慮される薬物であり、ベンゾジアゼピン系薬物は補助薬として使用されます。ベンゾジアゼピン系薬物の乱用は稀であり、多くは処方薬の多剤乱用や娯楽薬の乱用の一環として見られる傾向です。

名古屋駅直結の心療内科・精神科・メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院

薬理学的作用

ここでは、さまざまなベンゾジアゼピン系薬物の吸収、効果、代謝、投与および作用などに関して説明します。

吸収と最高血中濃度

クロラゼプ酸以外のベンゾジアゼピン系薬物は、すべて経口による服用後に完全に吸収され、30分から2時間の間に最高血中濃度に達します。クロラゼプ酸は、胃で代謝されデスメチルジアゼパムに変化し、その後完全に吸収されます。吸収、最高血中濃度到達、作用の発現は、ジアゼパム 、 ロラゼパム、アルプラゾラ ム、トリアゾラム、エスタゾラム で最も早いです。

効果の発現速度

効果の発現が早いことは、不安発作や速やかな睡眠導入のためにベンゾジアゼピン系薬物を単回服用する患者さんにとって重要なことです。アゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラムなどは効果が早く、不安発作や速やかな睡眠導入によく使われます。静脈注射によって効果的なベンゾジアゼピン系薬物は多いですが、ロラゼパムとミダゾラムは筋肉注射によって速く吸収されます。

血中半減期

ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、フルラゼパム、クアゼパムなどの血中半減期は30~100時間であり、長時間作用型ベンゾジアゼピンと呼ばれています。これらの薬物では、血中濃度が安定するまでに2週間近くかかり、7-10日たってから中毒症状が出現することがあります。

 

脂溶性と脳内分布

脂溶性が高いジアゼパムやアルプラゾラムは、脳への分布と効果の発現が速いですが、逆転現象が起こりやすく、効果の消失も早い傾向です。脂溶性が低い薬物は脳への移行が遅く、単回で投与しても効果が現れるのが遅い特徴がありますが、持続時間は長いです。

半減期と投与回数の関係

半減期が長い薬物は投与回数が少なく、血中濃度のばらつきや離脱症状が起こりにくい傾向です。薬物が蓄積しやすく、日中の精神運動障害や鎮静が起こりやすいと考えられています。

代謝と排泄

ベンゾジアゼピン系薬物は代謝され、活性代謝産物が生じることが多く、一部の薬物は直接グルクロン酸抱合を受けて排泄されます。ゾルピデム、ザレプロン、エスゾピクロンは経口投与により速やかでかつ良好に吸収されますが、食事をすると1時間程度吸収が遅くなるこのが現状です。ゾルピデムの最高血中濃度は1.6時間です。ザレプロンは、1時間で最高血中濃度に達します。 脂質の多い食事や大量の食事をした直後にエスゾピクロンを服用すると、最高血中濃度に達するのが1時間程度遅れ、入眠作用も減弱します。

レストレスレッグス症候群に対する自宅での対処法とは

治療の適応

不眠不安症の適応について説明します。

不眠

不眠は、身体疾患や精神疾患の症状として現れる可能性があり、原因を確認せずに7~10日以上連続して睡眠薬を使用すべきではありません。ただし、多くの患者さんは長期にわたり睡眠障害に悩んでおり、テマゼパム、フルラゼパム、トリアゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬物が不眠の治療を目的に使用されています。「Zドラッグ」であるゾルピデム、ザレプロン、エスゾピクロンも不眠のみが適応症です。

「Zドラッグ」の特徴

「Zドラッグ」であるゾルピデム、ザレプロン、エスゾピクロンは、短期間の使用が適しています。使用を中止しても反跳性不眠が通常は起こりませんが、数日で睡眠障害が悪化することがあります。これらの薬物を1か月以上使用しても、遅延性の有害作用は通常発生しません。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の分類

フルラゼパム、テマゼパム、クアゼパム、エスゾピクロン、トリアゾラムなどは、主に半減期の違いで分類されています。半減期が最も長いのはフルラゼパム、最も短いのはトリアゾラムです。長期にわたる使用では、フルラゼパムには軽度の認知機能障害が、トリアゾラムには軽度の反跳性不安や逆行性健忘が発生することがあるとされています。

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院

睡眠薬の特徴

フルラゼパムの使用後には、翌日に軽度の認知機能障害が起こることがあり、トリアゾラムの場合は軽度の反跳性不安や逆行性健忘が発生することがあります。クアゼパムを長期にわたって使用すると、日中の障害が発生する可能性も高い傾向です。

Γ-ヒドロキシ酪酸 (GHB) について

GABA受容体作動薬である「-ヒドロキシ酪酸(GHB)」はナルコレプシーの適応があり、徐波睡眠を改善する効果があります。しかし、日本では麻薬として規制され、依存、乱用、欠神発作などの複雑な作用が見られる傾向です。また、GHBはGABA受容体作動薬で、特異的なGHB受容体に結合します。しかし、依存や乱用のリスクがあるため、規制されているのが現状です。

不安症

パニック症や社交恐怖などのさまざまなタイプの不安症と、ベンゾジアゼピン系薬物の使用についてお話しします。

全般不安症 (GAD)

ベンゾジアゼピン系薬物は、GADの不安を軽減するのに効果的ですが、治療はあらかじめ設定した特定の期間に限定することが重要です。ただし、GADは再発率の高い慢性疾患であり、一部の患者さんでは治療が長期にわたる場合もあると考えられます。

パニック症

パニック症では、広場恐怖の有意に関わらず、 高力価ベンゾジアゼピン系薬物であるアルプラゾラムクロナゼパムが、最も頻繁に用いられています。

SSRI も パニック症の適応がありますが、ベンゾジアゼピン系薬物には即効性がある点やSSRI でみられるような顕著な性機能障害と体重増加がない点で優れているといえます。しかし、SSRI はパニック症と合併することが多く、抑うつや強迫症に対しても効果を有するため、現在でも多く用いられています。 急性のパニック症状に対しては、ベンゾジアゼピン系薬物と SSRIは併用して治療を開始することが可能です。 SSRIの治療効果があったと確認された後、3~4週かけてべンゾジアゼピン系薬物を漸減・中止していきます。

名古屋市の心療内科,精神科,メンタルクリニック

社交恐怖

クロナゼパムは社交恐怖症に有効であり、他のベンゾジアゼピン系薬物も補助薬として使用されます。

うつ病に伴う不安

うつ病の患者さんはしばしば激しい不安に襲われますが、 抗うつ薬はこの不安を増悪することがあります。

他の不安症

不安を伴う適応障害や生活上のできごと(事故の後など)に伴う病的な不安、強迫症、心的外傷後ストレス障害などの治療にもベンゾジアゼピン系薬物が追加的に使用されています。

双極性障害 (I型・II型)

クロナゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラムは急性の躁病の症状がある方に有効であり、また、維持治療の補助薬としても利用されることがあります。クロナゼパムはリチウムやラモトリギンの補助薬としても使用され、病間期を延長し、抑うつエピソードの回数を減少させることが可能です。これらの薬物は、双極性障害の患者さんの睡眠を改善する可能性もあるとされています。

名古屋市の心療内科,精神科,メンタルクリニック

カタトニア

カタトニア(緊張病)は、動作が遅くなる、長時間動きが止まる、同じ動作を繰り返す、自発的な身体の動きができないなどのように、体の動きが低下する症状です。少量(1日5mg以下)またはきわめて大量(1日12mg 以上)のロラゼパムが、急性カタトニア (多くは統合失調症よりも双極性障害に伴うカタトニア)の治療に用いられることがあります。他のベンゾジアゼピン系薬物もカタトニアに有効であると考えられていますが、妥当性のある対照比較試験は存在しません。ベンゾジアゼピン系薬物は、慢性のカタトニアには無効だと考えられています。最も確実なカタトニアに対する治療法は、電気けいれん療法だとされています。

アカシジア

アカシジア (静座不能)に対して、最も一般的に使用される薬剤は、βアドレナリン受容体拮抗薬ですが、 ベンゾジアゼピン系薬物もアカシジアに有効なことがあると考えられています。

パーキンソン病

特発性パーキンソン病患者さんの一部において、ゾルピデムを長期間使うと、寡動(運動の減少)と筋固縮(筋肉の硬直)の症状が改善されることがあります。10mgのゾルピデムを1日に4回投与することで患者さんは鎮静効果がなく、1年以上にわたってこの治療を受けることができ副作用が比較的少ないとされています。

名古屋,名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

その他の精神科的適応

クロルジアゼポキシドとクロラゼプ酸はアルコール離脱症状の治療に用いられています。救急部門で物質誘発性や精神病性の興奮を治療するために利用されているのは、ロラゼパム筋注薬です。また、ベンゾジアゼピン系薬物は、麻酔面接においてアモバルビタールに代わって使用されています。

ベンゾジアゼピン過量服薬におけるフルマゼニル

フルマゼニル(アネキセート)は、ベンゾジアゼピン系薬物やゾルピデム、ザレプロンなどのベンゾジアゼピフルマゼニル (受容体作動薬による有害な精神運動効果、健忘、過鎮静を改善するために使われています。フルマゼニルを適切に使用するために大切なことは、慎重を期すことです。ここでは、フルマゼニルの使用方法や性質、副作用、再鎮静の予防などについて解説します。

フルマゼニルの性質

フルマゼニルは経静脈的に投与され、半減期は7〜15分です。一般的な副作用には悪心、嘔吐、めまい、興奮、情動不安定、皮膚血管拡張、注射部痛、視覚障害、頭痛が含まれます。

特に注意が必要なのはけいれん発作で、既存のけいれん性疾患がある患者さんや、ベンゾジアゼピン系薬物の身体依存がある患者さんに注意が必要です。フルマゼニルの単独使用では記憶想起を障害する可能性があります。フルマゼニルはエタノール、バルビツール酸系物、オピオイドの作用には拮抗しません。

多剤の過量服薬

多剤の過量服薬の場合は、フルマゼニルがベンゾジアゼピン系薬物の作用を拮抗することで、他の薬(例: 三環系抗うつ薬)の毒性が現れる可能性があります。フルマゼニルの投与によって、三環系抗うつ薬によるけいれんや不整脈など、生命に危険が生じることもあります。

投与量と使用方法

ベンゾジアゼピン系薬物の過量服薬が疑われる場合、フルマゼニルの初期投与量は0.2mg(2ml)で、30秒以上かけて経静脈的に投与します。意識状態が回復しない場合は、0.3mg(3ml)の追加投与を30秒以上かけて行い、その後1分間隔で0.5mg(5ml)を30秒以上かけて、合計用量が3mgに達するまで追加していきます。投与は急がずに気道と血管を確保した状態で、患者さんをゆっくり覚醒させるが大切です。

治療の経過と再鎮静の予防

フルマゼニルで治療された患者さんの約1〜3%が再び鎮静状態に陥ることがあります。これは、20分ごとに追加投与することで、予防または治療が可能です。追加投与は1回1mg以内、1分あたり0.5mgの速度で投与して、1時間の投与量は3mg以内とします。

重篤気分変調症の詳しい説明を心療内科・精神科・メンタルクリニックが行います

注意点と有害反応

ここでは、ベンゾジアゼピン系薬物の使用に関する注意点や有害反応、高齢者や肝臓疾患の患者さんなどについて、重要なポイントを説明します。

一般的な有害作用

ベンゾジアゼピン系薬物の主な有害作用には、約10%の患者さんに眠気が見られます。眠気は前日の不眠に対して、ベンゾジアゼピン系薬物を服用した翌日の日中まで残ることがあり、「日中の眠気の持ち越し」と 呼ばれています。その他、運動失調(2%弱)、めまい( 1% 未満)があります。これらの症状が原因で、高齢者などが転倒や骨折を起こすことがあるため注意が必要です。

ベンゾジアゼピン系薬物の最も重篤な有害作用は、患者さんがアルコールなどの鎮静性の物質を併用した際に起こる可能性があります。このような併用により、強い眠気、 脱抑制だけでなく、呼吸抑制まで出現することがあります。

催奇形性と母乳中への分泌

ベンゾジアゼピン系薬物では催奇形性を指摘する報告があり、妊娠中の使用は推奨されていません。さらに、妊娠後期にベンゾジアゼピン系薬物を使用すると、新生児に離脱症状が出現することがあります。 また、ベンゾジアゼピン系薬物は、母乳中にも高濃度で分泌されるため、乳児に呼吸障害、徐脈、眠気などの影響が出ることが考えられます。そのため、授乳中の女性には、ゾルピデムやザレプロンを使用することは禁忌です。

特定の薬物の注意事項

トリアゾラムは前行性の健忘を引き起こす可能性があり、攻撃的な行動を誘発するという報告があります。ゾルピデムやザレプロンは、一部の患者さんでは意図しない行動や健忘が起こる可能性があります。また、ゾルピデムによって幻覚や行動異常が起きることが考えられ、エスゾピクロンは高齢者で口渇や味覚異常の副作用が報告されているのが現状です。

認知機能への影響

ベンゾジアゼピン系薬物は、軽度の認知機能障害を引き起こし、仕事に支障をきたすことがあります。自動車の運転や危険な機械の操作には注意が必要です。

注意喚起

運転や機械操作などの危険な活動を行う場合、特に高力価のベンゾジアゼピン系薬物は注意が必要です。アレルギー反応は稀ですが, わずかに紅斑丘疹と全身痒感の報告があります。 薬物の中毒症状には錯乱、不明瞭言語、運動失調、眠気、呼吸困難などが含まれます。ベンゾジアゼピン系薬物は、軽度の認知機能障害を引き起こし、仕事に支障をきたすことがあり、自動車の運転や危険な機械の操作には注意が必要です。

特定の薬物の副作用

ゾルピデムやザレプロンの場合、一部の患者さんでは意図しない行動や健忘が起こる可能性があります。また、ゾルピデムによって幻覚や行動異常が起きることがあります。

再鎮静に対する注意

フルマゼニル治療後、一部の患者さんは再び鎮静状態に陥る可能性があり、これは20分ごとの追加投与で予防または治療可能です。

特定の薬物の報道に基づく注意

トリアゾラムは攻撃的な行動を引き起こすという報道により、マスメディアの注目を引きました。 そのため製薬会社は、不眠症の患者さんへの投与は10日以内とし、医師は患者さんに、異常な思考や行動変化が出現していないかを慎重に評価するように求めています。英国では、1991年にトリアゾラムは使用することができなくなりました。

高齢者や肝臓疾患の患者さんへの注意

肝臓病のある患者さんや高齢者は、 ベンゾジアゼピン系薬物による有害作用や中毒症状が起こりやすい傾向です。特に、連続投与時や高用量服用時には肝性昏睡が出現するリスクが高まります。また、慢性閉塞性肺疾患や睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、呼吸障害がひどくに現れることがあります。アルプラゾラムは直接的な食欲刺激作用があり、 体重が増えることが多い傾向です。ベンゾジアゼピン系薬物は、物質乱用歴、認知機能障害、腎疾患、 肝疾患、 ポルフィリア、 中枢抑制、重症筋無力症のある患者さんには慎重に投与する必要があります。

ためこみ症について

耐性・依存・離脱について

ここでは、ベンゾジアゼピン系薬物の使用、依存性、離脱症状や原料方法、注意点などについて説明します。

使用期間と依存性

通常、ベンゾジアゼピン系薬物の短期間使用(1〜2週間)および中等用量では、耐性や依存、離脱症状は一般的に認めらと中止後症候群れません。ただし、特に短時間作用型の薬物(トリアゾラムなど)は1回服用した翌日に不安の増強を経験することがあるとされています。

離脱症状

離脱症状は服用期間、服用量、減量割合、薬物の半減期によって決まります。症状には不安、緊張、発汗、不眠、脱力感などが含まれ、半減期の短い薬物を中止した場合は抑うつ、妄想、けいれんなどの重篤な症状が出現することがあります。

離脱症候群の頻度と重篤な症状

離脱症候群は、ベンゾジアゼピン系薬物治療を受けている患者さんの90%に影響しますが、重篤な離脱症状は高用量を長期間服用している患者さんにのみ見られる傾向です。特に半減期の長い薬物を使用していた場合は、中止後1~2週間遅れて離脱症状が現れることがあります。

離脱症状

特に半減期の短いものを中止した場合は、離脱症状は重篤で抑うつ、妄想、せん妄、けいれんなどが出現することがあります。これらの重篤な症状は、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用に拮抗するためにフルマゼニルを投与するとさらに出現しやすくなる傾向です。一部の症状に限れば、離脱症候群の頻度はベンゾジアゼピン系薬物による治療を受けている患者さんの90%にも及ぶとされいます。しかし、重篤な離脱症候群に陥るのは、高用量を長期間服用している患者さんのみです。半減期の長い薬物を服用していた患者さんでは、中止後1~2週間遅れて離脱症候群が現れることがあります。特に、アルプラゾラムは離脱症状が急激で重篤になりやすいのでその減量は徐々に行うことが重要です。

減量方法

ベンゾジアゼピン系薬物の中止はゆっくりと減量(週に25%)するべきであり、急激な減量は病状の再燃や反跳症状を招く可能性があります。離脱症状のモニタリングと心理的支援が望ましいです。

補助的治療

カルバマゼピンの投与は離脱症状の軽減に効果があり、アルプラゾラムからクロナゼパムへの置換も成功例があります。ただし、アルプラゾラムの減量中止は難しい場合もあります。

ゾルピデムとザレプロンの特徴

ゾルピデムとザレプロンは高用量の治療量を長期間使用しても、軽度の離脱症候群が1日続く程度であり、鎮静作用には耐性が形成されなません。

薬物相互作用

ここでは、さまざまな薬物との相互作用についてお話しします。異なる薬物との併用による相互作用は様々であり、患者さんがこれらの薬物を同時に使用する場合は、医師との十分な相談が重要です。

相互作用の頻度と重篤な作用

ベンゾジアゼピン系薬物、ゾルピデム、ザレプロンがアルコール、バルビツール酸系薬物、三環系・四環系抗うつ薬、ドパミン受容体拮抗薬、オピオイド、抗ヒスタミン薬などの中枢抑制作用を持つ薬物と併用すると、過鎮静と呼吸抑制が頻繁に起こり、重篤な状態になる可能性があります。

特定の薬物との相互作用

リチウムや抗精神病薬との併用では、運動失調や構音障害が起きやすい傾向です。ベンゾジアゼピン系薬物とクロザピン(クロザリル)の併用は、せん妄を引き起こすとの報告があるため避けられます。

特定の薬物(シメチジン、ジスルフィラム、イソニアジド、エストロゲン、経口避妊薬)は、ジアゼパム、クロルジアゼポキシドクロラゼプ酸、フルラゼパムの血中濃度を上昇させ、制酸薬はベンゾジアゼピン系薬物の腸管での吸収を減少させるとされています。

薬物の血中濃度への影響

シメチジン、ジスルフィラム、イソニアジド、エストロゲン、経口避妊薬は、一部のベンゾジアゼピン系薬物の血中濃度を上昇させ、制酸薬は吸収を減少させます。トリアゾラムとアルプラゾラムの血中濃度はネファゾドンとフルボキサミンの併用で増加するとされています。

サプリメントとの相互作用

カヴァを主成分とするサプリメントは、「天然の精神安定剤」として宣伝され、GABA受容体の活性を高めることにより、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の作用を増強する可能性があります。

代謝に関する相互作用

エスゾピクロンの代謝にはCYP3A4とCYP2E1酵素が関与しており、他の薬物との併用により代謝に変化が生じることがあります。例えば、ケトコナゾール(CYP3A4の強力な阻害薬)の使用でエスゾピクロンの曝露量が増加します。

大人の発達障害・ADHDでお困りの方は心療内科までご相談ください

検査値への影響

ベンゾジアゼピン系薬物、 ゾルピデム、 ザレプロンの 使用による検査値への影響は報告されていません。

投与量と臨床指針

ベンゾジアゼピン系薬物の投与について投与量や臨床指針について説明します。

慎重な検討と診断

不安に対するベンゾジアゼピン系薬物の投与は慎重な検討が必要です。不安の原因が内科的なものである場合(例: 甲状腺機能障害、カフェイン中毒、薬剤性のもの)には、それらを除外する診断が行われます。

低用量からの開始と再評価

ベンゾジアゼピン系薬物は低用量から開始し、患者さんには鎮静作用と乱用のリスクについて説明があります。投与開始前に使用期間を見積もり、投与後は長期投与に陥らないように最低月に1回の再評価が行われます。

治療法の限定と患者さんの実態

ベンゾジアゼピン系薬物以外には治療法がない不安症の患者さんも存在することが認識されています。

剤形の多様性

ベンゾジアゼピン系薬物にはさまざまな剤形があり、患者さんの特定のニーズに合わせて選択できます。例えば、海外ではクロナゼパムには飲み込みにくい患者さん向けのウエハース状の製剤があり、アルプラゾラムには頻回の服用を減らす徐放剤が存在します。

力価(ポテンシー)の異なる薬物

ベンゾジアゼピン系薬物には同等の効果を少用量で発揮する高力価のものがあります。例えば、クロナゼパムの0.25mgは、ジアゼパムの5mgと同等の効果を持ちます。反対に、同じ効果を得るためにはオキサゼパムにはおおよそ15mgが必要で、これは低力価ベンゾジアゼピン系薬物とされます。

ザレプロンの特徴

ザレプロンは5mgと10mgのカプセルがあり、成人用の最大用量は20mgです。1回の服用で4時間の睡眠効果があり、副作用の持ち越しは最小限です。高齢者や肝機能障害のある患者さんでは初期投与量は5mgです。

エスゾピクロンの投与量

エスゾピクロンには1mg、2mg、3mgの錠剤があり、初期投与量は患者さんの状態により変動します。成人の適切な用量は2mgか3mgであり、高齢者では2mgです。肝機能障害の患者さんやCYP3A4阻害薬を服用している患者さnでは1mg以下とします。

まとめ

今回は、精神科をはじめ、幅広く睡眠薬や抗不安薬として使用されているベンゾジアゼピン系の薬と共にGABA受容体作動薬にも触れました。ベンゾジアゼピン系薬物の歴史、薬理学的作用、治療の適応、双極性障害やパーキンソン病などのときの使用方法、注意点や有害反応、耐性や依存、薬物相互作用などについて解説しました。

ひだまりこころクリニック名駅エスカ院名古屋市栄の心療内科メンタルクリニックのひだまりこころクリニック栄院名古屋市金山の心療内科メンタルクリニックのひだまりこころクリニック金山院あま市の心療内科メンタルクリニック,精神科のひだまりこころクリニック

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、
まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

たくさんの方が
悩みを抱えて来院されています。

ご紹介している症状以外でも、「こんなことで受診していいのかな…」 と迷ったらまずは一度お気軽にお電話ください。