ボンディングとは?阻害要因と不足による影響について名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院が心療内科ブログで解説

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ボンディングとは?阻害要因と不足による影響(part2)

2025.08.302025.08.31

ボンディング

ボンディングはなぜ壊れやすいのか

前回のパート1では「ボンディングは一貫した愛情や関わりによって育まれる」とお話ししました。しかし、その逆に、環境や心理的要因によって絆が築きにくくなる場合もあります。そうした阻害要因が続くと、人間関係における不安やトラブルにつながることが知られています。

ここでは、ボンディングの形成を妨げる要因、そして不足した場合にどんな影響が生じるのかを整理していきましょう。

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ボンディング形成を妨げる要因

1. スキンシップの欠如

乳児期の抱っこや授乳といった身体的接触は、安心感の土台を築くものです。こうしたスキンシップが不足すると、子どもは「安全な拠りどころ」を持てず、不安定な愛着に結びつきやすくなります。大人同士でも同様で、ハグや握手といった触れ合いが少ない関係は、親密さを感じにくくなる傾向があります。

2. 一貫性のない関わり

「今日は優しいけれど、明日は冷たい」といった態度の揺れは、子どもに大きな混乱を与えます。幼少期にこのような不安定な対応が繰り返されると、「愛されるのかどうか分からない」という不安型愛着の基盤となりやすいといわれています。

3. 過剰なストレスや心理的負担

養育者自身が強いストレスを抱えていると、子どもに十分向き合えなくなることがあります。夫婦関係の不和、経済的困難、うつ病などの精神的問題も、ボンディングの弱まりにつながります。恋愛関係でも、慢性的なストレスが関係を冷却させる要因になるのは同じです。

4. ネグレクトや虐待

無視、極端な放置、身体的・心理的な虐待は、愛着形成を直接的に妨げます。その影響は長期に及び、大人になってからの人間関係や愛着スタイルに影響を残す可能性があります。

5. 長期の分離

入院や親の単身赴任、離婚などで長期間親子が離れると、ボンディングが弱まるリスクがあります。ただし、手紙やビデオ通話などで定期的にコミュニケーションを取ることで、ある程度の補完は可能です。

6. コミュニケーション不足

表情が乏しい、会話が少ない、相手の話に注意を払わない。こうした日常的な「小さなすれ違い」が積み重なると、心理的な距離が広がってしまいます。スマホを見ながら返事をする、といった習慣もボンディングの低下につながる典型例です。

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ボンディング不足がもたらす影響

1. 情緒の不安定化

親から十分な愛情を受けられなかった子どもは、安心感を持てず、情緒が不安定になりやすいといわれています。

  • ちょっとしたことで怒ったり泣いたりする
  • ストレスに弱く、すぐに諦めてしまう
  • 分離不安が強く、親と離れることを極端に恐れる

2. 信頼関係を築きにくい

基本的な「人を信じても大丈夫」という感覚が育たないと、大人になっても人間関係で困難を抱えることがあります。

  • 人を信用できず常に疑ってしまう
  • 相手に依存しすぎる、あるいは距離を取りすぎる
  • 恋愛や友情で安定した関係を築きにくい

3. 自己肯定感の低下

十分に認めてもらえなかった経験は、「自分は価値がない」という思い込みにつながります。

  • 自分に自信が持てない
  • 他人の評価に過度に依存する
  • 挑戦を避け、行動が消極的になる

4. 問題行動の増加

関心を引きたいために、反抗や攻撃といった形で行動化することもあります。

  • わざとルールを破る
  • 他者に攻撃的になる
  • 無気力になり引きこもる

5. 心身の健康への悪影響

慢性的なストレスは、身体にも影響を及ぼします。

6. 大人になってからの影響

幼少期のボンディング不足は、成人後の愛着スタイルを左右します。

  • 安定型➡適切な愛情を受けた人は、健全な距離感で人と関われる
  • 不安型➡愛情が不安定だと、恋人や友人に過剰に依存しやすい
  • 回避型➡愛情不足の経験は、人と深く関わることを避ける傾向を生む

7. 学業やキャリアへの影響

愛情が乏しい環境で育つと、「頑張っても報われない」という気持ちが芽生えやすくなります。

  • 学習意欲が低下する
  • 協調性やチームワークが苦手になる
  • 長期的な目標を描きにくくなる

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まとめ

パート1では「ボンディングを育む要因」を紹介しましたが、本稿では逆に「阻害要因」と「不足による影響」を整理しました。

ボンディングは決して特別な出来事で築かれるものではなく、日々の小さなコミュニケーション、共感、思いやりの積み重ねによって強まっていきます。絆が弱まる要因を知り、意識的に関係を育むことが、安心感と信頼を伴った人間関係につながるのです。

参考文献

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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