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CBT-I/CBTi、不眠症と認知行動療法について
2024.09.022024.09.11
精神療法、メンタル疾患と行動変容、認知行動療法、不眠症・睡眠障害
睡眠の問題について
睡眠の問題を感じている方は、メンタルの不調の有無や、ストレスの自覚の如何に関係なく、実は非常に多くいらっしゃいます。
不眠症とは
そして、睡眠の問題の症状の一例として、
- なかなか寝付けない(入眠困難)
- 途中で起きてしまう(中途覚醒)
- 起きる予定時間よりもずっと早く(数時間程度)起きてしまい、その後入眠できない(早朝覚醒)
- ぐっすり寝た気がしない、あるいは目覚め時に睡眠不足を感じる(熟眠障害)
などの4つの上記の主だった症状が含まれる、睡眠の問題には「不眠症」と呼ばれますが
クリニックにおける問診において、実はいびきや夜間の異常感覚などによる睡眠の問題を抱えている方も稀にいらっしゃいますので、自己判断は禁物でもあります。
不眠症と治療方法について
不眠症は、先にも紹介しました、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの、”睡眠時間の開始や睡眠の質と持続”に支障を来していることを主に指しています。
薬物療法と認知行動療法(CBT-I)
これらの不眠症に対する治療方法には、睡眠薬などを主とした薬物療法以外にも、認知行動療法を取り入れた(CBT-I:cognitive-behavioral-therapy-for-insomnia)という治療方法があり、最近は特に注目されてきています。
CBT-I:不眠症に対する認知行動療法とは
CBT-I:cognitive-behavioral-therapy-for-insomniaとは、不眠症に対する認知行動療法ですが、米国では、不眠症に対する第一選択として最近は特に推奨されるようになっており、人との対面だけではなくアプリやインターネット導入などによるCBT-Iの提供も盛んになりつつあります。
また日本においても、薬物療法だけではなく、CBT-Iの重要性についても強く認識されてきています。
メンタルクリニックの外来においても精神療法として併用もされつつある
というのもCBT-Iは薬物療法と併用が可能である事からも、不眠症に対する維持療法や薬物の減薬や休薬にも効果が期待されるからであり、その結果としてクリニック外来における精神療法や、心理療法として取り入れられつつあるようになっているのです。
なぜ、不眠に対して認知行動療法なのか?
なぜ、不眠に対しては認知行動療法が効果があるのでしょうか?
その理由としては、不眠症の誘因となるストレスや、睡眠環境の改善を行ったとしても、不眠症は長期的に継続してしまう傾向があることに他ならず、つまりはストレス以外の因子も不眠が持続する影響に関与しているからです。
眠れないことに対する間違った習慣や考えそのものが、不眠を持続させていることもある
例えば、眠れないことに対する間違った習慣や考えそのものが、まさか不眠を誘発し持続させている原因となっていることには、なかなか本人ですら気が付けないことであります。
認知行動療法ではこのような本人の不眠に対する行動の変化や認識について改めて向き合い、問題の解決を目指す治療でもあります。
CBT-Iの特徴とは
CBT-Iの特徴には、睡眠制限療法(SRT)と刺激制御療法(SCT)、他に、睡眠衛生(SH)、認知療法(CT)があります
睡眠制限療法(SRT)
睡眠制限療法(SRT)では、特に睡眠延長の特性に注目しています。
睡眠延長は、むしろ不眠の原因になりうる
不眠のせいで睡眠が足りない、睡眠の不十分さを感じるとき、それを補うために、”睡眠を延長”して、『昼寝をしたり』、『朝二度寝をしたり』、『夜の入眠時間を極端に早くしたりする』することで、睡眠延長を図って対処をしてしまうことがあります。
しかし、睡眠延長が行われることでかえって不眠を誘発してしまうのです。
なぜなら、睡眠延長をすることにより、ベッドで横になって過ごしている時間と、実際に必要な睡眠時間とにミスマッチが生じてしまうからなのです。
ベッドに入っている時間と、実際に必要な睡眠時間とが、同じになるように整えていく
睡眠制限療法(SRT)では、その人の平均的な睡眠能力に応じて、ベッドに横になる睡眠機会を制限することでもあります。しかし、それらの時間の見極めには、睡眠日誌という、毎日の睡眠の状況と時間に対する詳細な記載が必要になります。
睡眠日誌を用いる。睡眠効率に応じて、ベッドで横になる時間を調整する
具体的な調整方法としては、ベッドで横になって過ごしている時間のうち、実際に睡眠している時間の割合(睡眠効率)が85%以上90%未満になるように調整されるように目指して、85%未満の場合はベッドで横になる時間を15分短くしたり、90%を超える場合には、ベッドで横になる時間を15分長くしたりするなどの工夫や調整方法などについても報告されています。
刺激制御療法(SCT)
刺激制御方法(SCT)では、睡眠に関する行動と関連についてを正す目的があります。
刺激制御方法(SCT)では、睡眠に関する行動と関連についてを正す目的があります。
特に、睡眠に問題を感じていない人にとっては、睡眠を誘発するきっかけとしては「ベッドや寝室」が睡眠を刺激するきっかけになります。
しかし不眠の方にとって睡眠を誘発するきっかけには「本を読む、音楽を聴く、テレビなどの鑑賞」がメインで、その結果として横になったまま眠ろうとしようとしてしまいます。
ベッドが本を読む場所、テレビを鑑賞する場所という結びつきが強くなって不眠に
いつしか、睡眠をとるはずのベッドや寝室が、本を読んだり、テレビを鑑賞するため、睡眠とは違う行動で横になるための場所としての結びつきが強くなってしまうことで、ベッドにいるにも関わらず強く意識をしないと睡眠に集中できなくなってしまうようになってしまうのです。
刺激制御方法(SCT)で睡眠行動との制御を図る
刺激制御方法(SCT)では睡眠行動との制御を図ることが目的でもあります。
眠い時だけベッドに横になる、眠れなくなったらベッドから一旦離れるなどの行動を徹底し続けることは、入眠や睡眠の質を保つ上でもとても大切になります
睡眠衛生(SH)
睡眠衛生(SH)では、睡眠に対する正しい知識を得たり、理解をすることで、より良い睡眠習慣と環境を整えることを目的としています。入眠前のアルコールやカフェインの摂取や、快適な睡眠環境の形成、日中の適度な運動や疲労感など、患者さんのお一人お一人の生活習慣や環境要因に応じた対応が必要となります。
認知療法(CT)
認知療法(CT)と行動療法
認知療法(CT)では本人すら気が付かれていない、不眠に影響するこだわりや思い込みについてが存在していることがあります。
これらの認知や思い込みについて、対話を通して気づきと更には行動の変化を促します。
これまで紹介した、睡眠制限療法(SRT)と刺激制御療法(SCT)、他に、睡眠衛生(SH)でも言えることですが、患者さんの睡眠に対する自己の認識やあり方について治療者共に「納得できる」ことは、CBT-Iの治療と進行に於いてはとても大切な要素でもあります。
その他
その他に、筋弛緩療法としてのリラクゼーション法などを入眠前に取り入れるなど、身体面の緊張の緩和を目指した行動療法もまた不眠の改善に繋がるだけではなく、不眠に関連する緊張の存在や身体の変化に対する認知面の変化へのきっかけにもなります。
さいごに
不眠症に対する認知行動療法、CBT-Iについて紹介をしました。
メンタルクリニックにおける不眠症に対する治療には、患者さんの症状に応じて、睡眠薬だけではなくCBT-Iなどの睡眠に関する指導や解決を目指す取り組みを、外来における通院精神療法として取り入れ併用しているメンタルクリニックもとても多いのです。
不眠症でお悩みの方は、自己判断なさらず心療内科,精神科,メンタルクリニックへご相談をされてはいかがでしょうか??
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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