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気づけば他人の顔色ばかり見ている人へ。“優しさ疲れ”という名のストレス
2025.04.232025.04.23
抑うつ、人間関係、HSP
気づけば他人の顔色ばかり見ている人へ
“優しさ疲れ”という名のストレス
- 「相手が機嫌悪そうだと、すぐ自分のせいかと不安になる」
- 「嫌われたくなくて、つい本音を飲み込んでしまう」
- 「人に気を使いすぎて、帰宅後はどっと疲れてしまう」
こうした悩みを抱えている人は少なくありません。特に、感受性が高く、相手の感情に敏感な人は、「優しさ」ゆえに対人関係で消耗してしまう傾向があります。
このような状態を、私たちは「優しさ疲れ」と呼ぶことがあります。一見すると良い性格のようにも思えますが、過剰な共感や気づかいが心の負担になると、慢性的なストレスやメンタル不調につながることも。
今回は、HSP(Highly Sensitive Person)や対人過敏といった視点から、この「優しさ疲れ」のメカニズムと対処法について考えてみましょう。
「優しい人」ほど、心をすり減らしている?
職場や家庭、友人関係において、「気が利く」「空気が読める」と言われる人は、他人にとってとてもありがたい存在です。しかしその裏側で、自分のニーズや本音を後回しにしがちな人も多くいます。
たとえば、
- 会話中に常に相手の表情を探る
- 相手の気持ちを優先して、自分の意見を引っ込める
- トラブルや対立を極端に避けようとする
これらの行動は、「相手を大切にしたい」という気持ちから来ている一方で、自分の感情を抑圧し、無意識のうちにストレスを蓄積してしまう要因にもなります。
もしかして「HSP」かもしれない
このように、他人の感情に敏感すぎるほど反応してしまう人には、HSP(Highly Sensitive Person)という気質が背景にあることがあります。
HSPは病気ではなく、生まれ持った感覚の特性です。全人口の約15~20%が該当するとされており、以下のような特徴があります
- 小さな音や光、においなどに敏感
- 他人の気持ちや雰囲気を強く察知してしまう
- 深く考え込みやすく、刺激を受けやすい
- 忙しい日が続くと、強い疲労を感じる
このような特性がある人は、人の顔色やトーンの微妙な変化にもいち早く気づく反面、それが心の負荷となり、「自分が悪いのでは?」と過剰に自責してしまうことがあります。
「敏感さ」を否定しなくていい
HSPや対人過敏傾向の人にとって大切なのは、「自分が敏感であることを責めない」ことです。
社会的には、「鈍感力」や「タフさ」が良しとされる風潮がありますが、敏感さは決して劣った性質ではありません。むしろ、深い共感力や思慮深さ、創造性の源泉にもなるものです。
大切なのは、その敏感さに振り回されず、自分の“境界線”を意識することです。
「優しさ疲れ」から回復するためのヒント
1. 感情の「責任の境界線」を持つ
他人の機嫌や感情は、基本的には「相手の責任」です。あなたがどれだけ気を使っても、相手の内面まで変えることはできません。
「相手が不機嫌=自分のせい」と直結させず、「いまこの人は不機嫌だけど、それは“この人の課題”」と距離を取ることで、心の負荷を減らすことができます。
2. “察する”よりも“確認する”
敏感な人ほど、相手の気持ちを「察しよう」としすぎる傾向がありますが、その多くは「推測」に過ぎません。
もし相手の感情が気になるときは、軽く確認することで、不安を手放せる場合もあります。「何かあった?」と一言聞くだけで、思い込みから解放されることもあるのです。
3. 自分の「疲れやすさ」を前提に予定を組む
感受性が高い人は、人と会う・話すだけでエネルギーを消耗します。予定を詰め込みすぎず、間に「一人になれる時間」や「静かな環境」を組み込むようにしましょう。
たとえば、
- 仕事帰りにカフェで15分だけ静かな時間を取る
- SNSの通知を切る
- 土日のどちらかを“誰にも会わない日”にする
こうした「回復のための余白」を意識的に取ることで、心のバランスが整いやすくなります。
心が疲れきる前に、できること
もしすでに、「人と関わることがつらい」「誰とも話したくない」と感じるようになっているなら、それは心が出しているSOSのサインかもしれません。
心療内科や精神科では、HSP傾向や過剰なストレスによる不調にも対応しています。薬による治療だけでなく、話をすることで気づけること、心を整理する方法も多くあります。
「病気じゃないと行ってはいけない場所」ではなく、「今の自分を少し立て直すための場所」と考えてみてください。
名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院は患者様お一人お一人の症状に応じた治療を提案しております。お気軽にご相談くださいませ。
まとめ
他人の気持ちに敏感で、相手を思いやるあなたの姿勢は、まぎれもなく大切な強みです。けれどその優しさが、「自分をすり減らす原因」になっていると感じたら、一度立ち止まって、自分の心の声に耳を傾けてみてください。
たとえば、
- 気をつかいすぎて疲れた日は、予定をリセットして早めに休む
- 無理に人に合わせず、「今日は一人でいたい」と伝える勇気を持つ
- 誰かに悩みを打ち明ける、精神科や心療内科で気持ちを整理する
こうした“小さな自己配慮”を積み重ねることが、心の回復にとってとても大切です。
「誰かのためにがんばること」と「自分を後回しにすること」は違います。優しさを持っている人ほど、自分のメンタルケアにも同じくらいの優しさを向けてあげてください。この記事があなたの心がすこし軽くなるきっかけになれば幸いです。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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