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NICEによるうつ病治療の公式なガイドライン
2023.08.202024.01.20
うつ病
NICEによるうつ病治療の公式なガイドライン
イギリスのNICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)ガイドラインは、うつ病治療の公式ガイドラインを公開しています。一言にうつ病といっても重症度や経過は多様なため、ガイドラインを理解しながら症状の経過や状況に応じて柔軟に治療をチョイスしていくことがとても大切です。
この記事では、NICEによるうつ病治療の公式なガイドラインやうつ病の薬物療法の流れについて解説します。
NICEによるうつ病治療の公式なガイドライン
うつ病の重症度によって治療方法は変わります。軽度のうつ病や発症後間もないうつ病の場合、薬物療法ばかりが必ずしも推奨される訳ではありません。
推奨される治療方法は、薬物治療以外にも認知行動療法や積極的なモニタリング、患者さんに合わせた自立指導や適度な運動なども有用です。なお日本のうつ病の治療ガイドラインでも、支持的精神療法や心理教育などの基礎的介入も基礎的な介入としてすすめられています。
このように、うつ病は薬だけで治療するというわけではありません。患者さんの心のありようや、うつ病を繰り返さないようにするストレスとの付き合い方も重要だと言えます。もちろん抗うつ薬による薬物療法は中等度以上のうつ病や気分変調症でも推奨されます。
状況によっては、ストレスとの付き合い方などの治療よりも、薬物治療が先行すべき状況もありますので自己判断は禁物です。
なお、処方される薬としてはSSRI、特にジェネリック医薬品がNICEでは推奨されています。ただし、日本においてはジェネリック医薬品が特に推奨されているわけではないようです。
うつ病の薬物療法の流れ
うつ病の薬物療法の流れは、以下の通りです。
①患者さんとの話し合い
第一選択薬にはSSRIを提案することが多いです。NaSSAであるミルタザピンは鎮静が必要な患者さんに使われることもあります。治療効果や副作用、効果が現れるまでの大体の時間なども患者さんに伝えることは大切です。
②薬物療法の開始
薬物療法を開始します。なお、認められた治療用量まで抗うつ薬を増量することもあります。
③治療開始から2週間後に治療効果の評価
<効果がある場合>
少なくとも6~9カ月ほど最大治療用量を継続します。ただしNICEのガイドラインによると、抑うつエピソードの既往歴が2回以上あり、かつ機能的な障害が認められる場合は、2年間以上薬物療法を継続すべきともされています。
<効果がない場合>
その後1~2週間程度週1回ごとに治療効果を評価します。抗うつ薬の効果は比較的早期に現れるので、状況によっては3~4週間で症状の改善が全く見られない場合は抗うつ薬を変えることもあります。
薬剤の切り替えには同一クラス内と他のクラスがありますが、2017NICガイドラインの草稿では特定の薬剤への切り替えを支持する説得力のあるエビデンスはあまりありません。第二世代抗精神病薬を追加したり、抗うつ薬を併用したりするほうがよいともされています。
<忍容性不良の場合>
忍容性不良の場合も、他の抗うつ薬に切り替えることになります。
あるSSRIへの忍容性がなかったとしても、別のSSRIには忍容性を示す患者さんは多いです。そのため、SSRIで違う薬に切り替えることもあります。特定の薬物への切り替えを推奨するエビデンスはありませんが、別の抗うつ薬に切り替えることは理論的には有効だと考えられています。
④他の抗うつ薬への切り替え
最初の抗うつ薬で効果がなかった場合や忍容性不良の場合は、他の抗うつ薬に切り替えます。治療用量まで増加して3~4週間後に再び治療効果を評価します。治療効果があれば、少なくとも6~9カ月ほど最大治療用量を継続することになります。
⑤第三選択薬の検討
他第三選択薬にはミルタザピンやvortioxetine、agomelatineが使われることが多いです。治療効果があれば、少なくとも6~9カ月ほど最大治療用量を継続することになります。
⑥治療抵抗性うつ病に対する他の治療方法の実施
治療抵抗性うつ病に対しては、2剤目の抗うつ薬の追加や、病状によってリチウム、抗精神病薬などの使用が推奨されます。また、電気けいれん療法も治療抵抗性うつ病に対しての効果も支持されています。
まとめ
うつ病の治療方法のメインは抗うつ薬ですが、重症度によって治療方法は異なります。また、患者さんの病状によっては治療抵抗性から抗うつ薬以外の薬も治療で使うことがあります。うつ病治療の第一選択薬はSSRIでもありますが、状況によって他の薬剤や治療方法に切り替えることもあるということを紹介いたしました。
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