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SNS断ちで心が整う理由「心療内科から見るデジタルデトックスのすすめ」
2025.05.082025.05.08
デジタルデトックス、自己肯定感、SNS依存症・SNS中毒
心療内科から見るデジタルデトックスのすすめ
現代社会において、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は人間関係や情報収集の手段として不可欠な存在になりつつあります。しかし、その利便性の裏で、精神的な負荷が静かに蓄積されていることをご存じでしょうか。
精神科・心療内科の診療現場では、SNSに関連したストレス、自己評価の低下、不安感の増悪などが相談内容として増えつつあります。このような背景から、「SNSを意図的に離れる」いわゆるデジタルデトックスの重要性が再認識されているのです。
SNSが心に及ぼす作用とは?
SNSには明らかに良い側面もあります。離れて暮らす家族との交流、情報の発信、共感の共有。特に孤立を感じやすい現代において、つながりを保てる貴重な手段です。
しかし同時に、使い方や頻度によっては心の健康を損なう要因にもなり得ます。
■ 絶え間ない情報が脳を疲弊させる
SNSは次々に流れてくる情報で満ちており、意識していない間にも脳は大量の情報処理を強いられます。この認知的過負荷は、集中力や思考の柔軟性を低下させ、慢性的な疲労感やストレスにつながります。
■ 「他人と比べる癖」が自己否定を生む
SNS上では、他人の成功や幸せそうな瞬間だけが切り取られて表示されがちです。それを見た私たちは、無意識に「自分は劣っているのではないか」と比較し、自信を失うきっかけになることがあります。これは、自己肯定感の低下や気分の落ち込みと密接に関係しています。
■ 常に誰かとつながっている不安
SNSの通知が絶え間なく届く環境は、心の休息を妨げます。「すぐ返信しなければ」「何か更新があったかもしれない」といった意識が離れず、慢性的な緊張状態に陥りやすくなります。
SNS断ち(SNS断食)がもたらす心への効能
「SNS断食」とも称されるデジタルデトックスは、一定期間SNSから距離を置くことで心をリセットする行為です。心療内科の観点から見ても、以下のような効果が期待できます。
1. 認知のリフレッシュ
SNSから離れることで情報処理の負荷が軽減され、脳が休息できる時間が生まれます。これにより、集中力や判断力が回復し、思考のクリアさが戻ってきます。
2. 比較からの解放
他人の「映えた生活」を見ることがなくなり、自分のペースで物事を進められるようになります。これは、自己評価の回復や、本来の価値観の再確認にもつながります。
3. ストレスの軽減と情緒の安定
SNSを見ないことで、通知や投稿の反応に振り回される時間がなくなります。これが心理的な安心感を生み出し、不安感の緩和にも寄与します。
4. 睡眠の質の改善
夜間にスマートフォンを操作する習慣は、睡眠の質に大きく影響します。SNSを断つことでブルーライトや心理的刺激を減らし、自然な眠りが促されます。
実際にできるSNSデトックスの取り組み
急にすべてのSNSをやめるのは現実的ではないかもしれません。以下のような段階的なアプローチが有効です。
- 利用時間をあらかじめ決めておく(例:1日30分以内)
- 通知をすべてオフにして、チェックのタイミングを自分で決める
- まずは1日だけでも完全にSNSを離れてみる
- 読書や運動、会話などオフラインの活動を意識的に増やす
心の余白を取り戻すために
SNSは便利な道具ですが、それに使われる側に回ってしまっては本末転倒です。心療内科の立場からは、SNSとの距離感を見直すことは、現代人にとっての“心の衛生習慣”の一つと言えます。
一度SNSを離れてみることで、見落としていた感情に気づいたり、本当に大切な人間関係を再発見することができるかもしれません。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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