名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院が記憶がなくなり別人のようにふるまう?「解離性とん走」の特徴と原因について解説

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記憶がなくなり別人のようにふるまう?「解離性とん走」の特徴と原因

2024.05.242024.05.25

解離性障害・解離性とん走

記憶を無くしてしまった時

「ある日、目が覚めると記憶がなくなり、別人になっていた…」。ドラマや小説でありがちなストーリーですが、現実でも起こる場合があります。記憶をなくし、別人のように振る舞う精神疾患が「解離性とん走」です。

本記事では、解離性とん走の症状や原因、治療法について解説します。記憶を失くしてしまいやすい人や、周囲に該当する人がいる方は、ぜひ参考にしてください。

解離性とん走とは?

解離性とん走とは、「解離性障害」の1つに分類される精神疾患です。突然、住んでいた家や場所から離れてしまい、過去の出来事を思い出せない状態に陥ります。とん走の期間は比較的短く、数時間から数日であることが多いでしょう。

とん走した旅先では、全くの別人として周囲に気づかれない振る舞いをすることがあります。また、他の解離性障害とは違い、とん走中に体験したことを後から思い出せなかったり、とん走自体を忘れていたりすることが一般的です。

解離性とん走の原因とは?

解離性とん走の多くの原因は、極度のストレス環境です。戦争や性的虐待、自然災害などの安全が保障されない過酷な状況下で、「危険から逃れたい」という強い欲求が意識状態を変化させます。通常は成人にみられ、症例のほとんどは男性です。

そのため、解離性とん走は、危険な状態から生命を守るための防衛行動だといえます。記憶を失くし、別の人物に成り代わってでも、現在の状況から逃げなければならないという気持ちから、症状が起こるのです。

解離性とん走はどのように診断される?

解離性とん走は、解離性障害の1つの病態だといえますが、どのような診断基準があるのでしょうか。類似した症状がみられる精神疾患との見分け方についても解説します。

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解離性とん走の診断基準

解離性とん走は、ICD-10(※)において、以下のような症状がみられることが診断基準とされています。

  • 解離性健忘の症状
  • 通常の日常的な範囲を超えた意図的な旅(旅と徘徊の区別は、その地域に詳しい人によってなされるべきである)
  • 基本的な自己管理(食事、入浴・清拭)と、見知らぬ人との簡単な社会的関係(乗車券やガソリンを買うこと、食事を注文すること)が保たれていること。

「解離性健忘の症状」とは、個人的な情報が一時的に失われることです。記憶がなくなることに加え、徘徊の範囲を超えた旅行があり、その場所で生活が維持されている状態が解離性とん走だといえます。

※WHOが定める国際疾病分類の第10版

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解離性とん走の鑑別診断(見分け方)

家を出て旅をしたり、放浪したりする行動がみられる精神疾患は他にもあり、解離性とん走との区別がしにくいことがあります。

双極性障害

双極性障害とは、気分の高揚と落ち込みを主な症状とする気分障害です。気分が高揚する「躁状態」では、そのときの行動を覚えていないことが多くあります。

躁状態のときは、気持ちが大きくなり、行動も大胆になりがちです。例えば、遠くの知人に会いに行くために、いきなり飛行機で移動するといった行動が挙げられます。そういった大胆な行動は、躁状態が終わると覚えていないことが多いのです。

急に大胆な外出をするという行動は、解離性とん走の症状と似ています。ただ、双極性障害の場合、異なる人物のように振る舞うことはありません。別の人物であると認識しているかどうかが、見分けるポイントだといえるでしょう。

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統合失調症

統合失調症は、幻覚や妄想などの非現実的な体験が生じる、精神疾患の代表的な病態です。統合失調症の場合、妄想が原因で徘徊が続く場合があります。

例えば、何らかのきっかけで「ここは自分の家ではない」という妄想が生まれると、家を出て帰らないといけないと思うでしょう。そのため、急に家を出てうろうろしてしまうということが起きるのです。

歩き回っているときの記憶を確認するのは難しく、覚えていないことも多いでしょう。解離性とん走と類似していますが、妄想が原因で生じている点が異なります。

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認知症

何らかの病気や障害が原因で脳の機能が低下する認知症も、徘徊がみられる疾患の1つです。「ここがどこか」「なぜここにいるのか」といった見当識や記憶の障害により、昔住んでいた家に帰ろうとして、家を出て彷徨うことがあります。

記憶障害がみられるのは解離性とん走と類似していますが、失われる記憶の種類が異なる点が大きな違いです。解離性とん走で失われる記憶は、生命の危険に関わるようなトラウマ的な体験ですが、認知症では日常生活の身近な経験が多いでしょう。

「記憶がない」「忘れている」という訴えがみられる場合でも、どの記憶が失われているのかを判別することが見分けるポイントだといえます。

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解離性とん走の治療法とは?

解離性とん走にみられる行動は、多くの場合は短時間で落ち着くことが特徴です。ただ、生涯を通して何度も起こる場合があり、ストレスがかかるとその対処行動としてとん走が繰り返されます。解離性とん走を繰り返してしまう場合、どのような治療法が有効なのでしょうか。具体的な方法や注意点を解説します。

解離性とん走の治療①:感情を安全に感じられるような関係を作る

解離性とん走により、別人のように振る舞うことは、強いストレス状況に対する対処行動だといえます。しかし、無意識的に生じる対処行動なので、自覚することが難しいでしょう。まずは、ストレスから自分を守るための行動であるという理解を持つことが大切です。

そのうえで、強いストレス状況下にあっても、自分のつらい気持ちを安心感を持って表現できるように取り組みます。具体的には、診察や対話を通して、「何を話しても否定されない」という安全な関係性の中で表現することが有効です。

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解離性とん走の治療②:解離性とん走が落ち着くと別の症状が悪化する場合がある

治療を進める上での注意する必要があるのは、「解離性とん走が落ち着くと別の症状が悪化する」という点です。解離性とん走は、ストレスに対するの対処行動なので、それがなくなるとストレスをストレートに受け止める必要がでてきます。

すると、反動として、うつ病のような症状や、不安感、フラッシュバックなどが出てきてしまうのです。症状が出てくると悪化しているように感じられ、治療を中断してしまうことがあります。別の症状が悪化するのは、治療が進んでいる証拠でもあるため、治療者と相談しながら進めることが重要です。

解離性とん走は、自分を守るための行動

解離性とん走は、強いストレスから逃れるために、記憶をなくし別人のように振る舞う行動です。ストレス対処行動の1つといえますが、日常生活に支障を及ぼしかねません。

自分を守るための行動を、支障がないものに置き換えられるように取り組んでいくことで、症状を少しずつ和らげていくことも可能にはなりますが、医療機関などへ相談や受診を併用しながらの取り組みのとても大切です。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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