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心の知能指数(EQ)とは?感情を理解し活かす力の重要性
2025.09.172025.09.18
こころの知能指数・EQ
心の知能指数(EQ)とは?感情を理解し活かす力の重要性
「頭の良さ=IQ(知能指数)」と考えられてきた時代から、近年は「心の知能指数=EQ(Emotional Intelligence Quotient)」が注目されるようになりました。ビジネスの世界だけでなく、教育や家庭、さらには医療の現場でも、EQの高さがその人の成功や幸福感に直結することが示されています。
本記事では、EQの定義や構成要素、なぜ現代社会で重要なのか、さらにEQを高める具体的な方法について詳しく解説します。
EQとはなにか?
EQは「自分や他人の感情を認識・理解し、それを適切に調整・活用する能力」を指します。心理学者ダニエル・ゴールマンが1990年代に広めた概念で、感情にまつわる知性を数値化して捉えようとする考え方です。
たとえば、上司から厳しい指摘を受けたときに落ち込みすぎず、冷静に対応できるか。友人が悲しんでいるときに気持ちを察して寄り添えるか。こうした「感情の扱い方」こそがEQの核心です。
IQが論理的思考力や知識の処理能力を表すのに対し、EQは「人としてどう生き、他者とどう関わるか」を決める力と言えるでしょう。

EQを形づくる5つの要素
心理学の研究では、EQは大きく5つの能力に分けて考えられています。
- 自己認識
自分の感情や価値観、強みと弱みを正しく理解する力。
例:怒りや不安の原因を冷静に把握できる。 - 自己管理
感情をコントロールし、衝動的な行動を避ける力。
例:プレッシャーの場面でも落ち着いて判断できる。 - 社会的認識(共感力)
他人の気持ちを察し、状況を理解する力。
例:同僚が困っているときに自然に手を差し伸べられる。 - 人間関係管理
良好な関係を築き、維持するためのコミュニケーション力。
例:対立が起きても対話で解決し、信頼関係を強められる。 - 動機づけ
目標に向かって感情を前向きに使う力。
例:失敗しても再挑戦する意欲を保ち続けられる。
これらの力は相互に関連し合い、人間関係や自己成長の土台を作っています。

EQがもたらす7つの価値
1. 職場でのリーダーシップと協働
感情を適切に扱える人は、チームの空気を和らげ、成果を引き出します。リーダーが冷静かつ共感的であれば、メンバーの信頼とモチベーションは大きく高まります。
2. 円滑な人間関係
EQの高い人は相手の気持ちを尊重できるため、家庭でも職場でも良好な関係を築きやすい傾向があります。
3. ストレス耐性の向上
感情の波に巻き込まれにくく、ストレスフルな状況でも冷静に対応できます。これはメンタルヘルスの観点からも非常に重要です。
4. 問題解決と意思決定
感情を整理できることで、冷静かつ論理的な判断が可能になります。短絡的な決断を避け、長期的に良い結果を導きやすくなります。
5. 自己成長
EQが高い人は自己反省を通じて学びを深め、失敗も成長の糧にできます。これはキャリア形成や人生の質を高めるうえで欠かせない能力です。
6. 幸福感と充実感
自分や他者の感情を大切にできることは、心理的な満足度や幸福感の向上に直結します。
7. 健康への好影響
ストレス管理が得意なため、心身の健康を維持しやすくなります。逆にEQが低いと、不安やストレスが蓄積し、心身に不調をきたすことがあります。
EQを高めるための実践法
EQは後天的に伸ばせる力です。以下の習慣を取り入れることで、少しずつ磨いていくことが可能です。
自己認識を養う
日記やジャーナリングを通じて、自分の感情と行動の関係を振り返りましょう。「なぜイライラしたのか」「何が嬉しかったのか」を言語化することで、感情理解が深まります。
感情のセルフコントロール
怒りや不安を感じたときに深呼吸する、短い休憩を取るなど「感情を一呼吸おいて扱う」習慣をつけましょう。衝動的な反応を減らすことができます。
共感を育む
相手の立場に立って考える練習をしましょう。相手の表情や声のトーンから感情を読み取り、「あなたはこう感じているのかな?」と確認するだけでも共感力は高まります。
良好な人間関係の構築
感謝を言葉にする、相手の意見を尊重する、対立時には「勝ち負け」でなく「解決策」を探す姿勢を持つことが大切です。
ストレスマネジメント
適度な運動、睡眠、瞑想やマインドフルネスは、感情を安定させる効果があります。自分に合ったリラックス方法を持つことがEQ向上の基盤になります。
柔軟な思考
想定外の出来事にも柔軟に対応するために、「問題が起きたらチャンスでもある」と視点を変える習慣を持ちましょう。
定期的な自己反省
1日の終わりに「今日うまくいったこと」「改善したいこと」を振り返るだけでも、自分の感情や行動パターンに気づき、成長に繋げられます。

EQと教育・医療の関わり
最近では、学校教育に「ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL)」が導入され、子どもたちに感情理解や共感力を育むプログラムが実施されています。これは学業成績の向上にも効果があると報告されています。
また、医療の現場では患者との関係性を築くうえでEQが欠かせません。医師や看護師が患者の不安や怒りに寄り添いながら治療を進めることは、治療効果や患者満足度の向上に直結します。
まとめ
EQは単なる「感情の扱い方」ではなく、人生全般に影響を与える重要なスキルです。高いEQは人間関係を円滑にし、ストレスを減らし、仕事や家庭における成果と幸福感を高めます。そしてこれは、努力と習慣によって後天的に高めることが可能です。
これからの社会では、IQの高さよりも「EQの高さ」が個人や組織の成功を左右する場面が増えていくでしょう。自分の感情を理解し、他者に共感し、前向きに行動できる力を磨くことが、充実した人生を送るための大きな鍵となります。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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