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限局性学習症とは?大人にも影響する特徴と支援の方法

2025.09.212025.09.21

限局性学習症

限局性学習症(学習障害・LD)とは?

「漢字がなかなか覚えられない」「計算に時間がかかって苦手意識がある」。このような悩みは、多くの人が子どもの頃に経験しますが、その背景に限局性学習症(Specific Learning Disorder: SLD)と呼ばれる発達特性が関係している場合があります。従来は「学習障害(Learning Disabilities: LD)」と呼ばれることが多かったものの、近年では国際的に「限局性学習症」という診断名が使われるようになっています。

学習の困難さは子どもの時期に表面化することが多いですが、大人になってから自覚する方も少なくありません。本記事では、限局性学習症の特徴、原因や関連する特性、日常生活への影響、そして有効な支援のあり方について詳しく解説します。

限局性学習症の基本的な特徴

限局性学習症は、知的発達や全体的な能力には大きな遅れがないにもかかわらず、特定の学習領域に顕著な困難がみられる状態を指します。主に次の3つの領域で問題が現れます。

  1. 読字(ディスレクシア)
  2. 書字(ディスグラフィア)
  3. 算数(ディスカリキュリア)

それぞれの分野について、具体的に見ていきましょう。

1. 読字の困難(ディスレクシア)

  • 文字や単語を正しく読むことが難しい。
  • 音読が極端に遅い、もしくは読み間違いが頻発する。
  • 単語を飛ばしたり、別の言葉に置き換えてしまったりする。

このため文章全体の理解に時間がかかり、学習の進度に遅れが生じやすくなります。読書や板書に強いストレスを感じる子どもも多く、自己肯定感の低下につながることもあります。

2. 算数の困難(ディスカリキュリア)

  • 数字の概念を理解するのに時間がかかる。
  • 計算の手順を覚えることが難しく、簡単な加減乗除にもつまずきやすい。
  • 文章題を数式に置き換えることが苦手。

日常生活においても、お金の計算や時計の読み取り、買い物などで困難を感じることがあります。学年が進むにつれ内容が複雑化するため、早期のサポートが重要です。

3. 書字の困難(ディスグラフィア)

  • 文字の形が不揃いで読み取りにくい。
  • 文章を構成することが苦手。
  • 語順や文法、句読点の使い方に誤りが多い。

作文やノート作成に時間がかかり、学習の遅れだけでなく「書くこと」自体への苦手意識が強まります。

限局性学習症の原因と関連特性

限局性学習症の正確な原因はまだ解明されていませんが、脳の情報処理の仕組みの違いが関与していると考えられています。遺伝的な要因や環境要因が複合的に影響する可能性も示されています。

さらに、限局性学習症のある方は、しばしば他の発達特性を併せ持つことがあります。

  • 注意欠如・多動症(ADHD)➡集中力が続きにくい、忘れ物が多いなど。
  • 言語発達の特性➡会話や文章理解の難しさ。
  • 不安や抑うつ➡学習困難による二次的な心理的影響。

これらが組み合わさると、学習だけでなく社会生活全般に困難が広がることもあります。

大人になってから気づく限局性学習症

限局性学習症は子ども時代に診断されることが多いですが、実際には大人になってから「自分の特性」に気づくケースもあります。

  • 仕事で書類作成に時間がかかる。
  • 数字や計算に関わる業務が極端に負担に感じる。
  • 会議や研修で大量の文字情報を処理するのが苦手。

こうした経験を通じて初めて、自分に学習障害の特性があることに気づく人もいます。大人の場合は「努力不足」と誤解されやすいため、心理的負担が大きくなりやすいのも特徴です。

学習困難が与える心理的影響

限局性学習症による困難は、単に学力の問題にとどまらず、自己肯定感や社会適応に大きな影響を及ぼします。

  • 周囲と比較して劣等感を抱く。
  • 勉強や仕事に対する意欲が低下する。
  • ストレスや不安、抑うつのリスクが高まる。

こうした二次的な影響を防ぐためにも、本人や周囲が早期に気づき、適切に対応することが大切です。

支援と対処法

限局性学習症は「努力不足」や「怠け」ではなく、脳の特性に基づくものです。そのため、本人に合った学習方法や環境を整えることが、困難の軽減に役立ちます。

子どもの場合

  • 読字支援➡音読練習、視覚的教材の活用、文字と音を結びつける指導。
  • 算数支援➡数を数える練習、具体物を使った学習、デジタル教材の活用。
  • 書字支援➡文字練習、作文指導、ICT機器の利用。

大人の場合

  • デジタルツールの活用➡音声読み上げソフト、スペルチェック、計算機の利用。
  • 職場での工夫➡業務の分担やマニュアル化、作業時間の調整。
  • 心理的サポート➡心理療法や就労支援サービスの活用。

社会的な理解と合理的配慮

日本でも近年、発達障害に対する社会的理解が広まりつつあります。障害者差別解消法や合理的配慮の推進により、教育現場や職場での支援体制が徐々に整いつつあります。

  • 学校では特別支援教育や個別指導が導入。
  • 職場では合理的配慮として業務内容の調整や支援ツールの提供が進む。

ただし、理解や支援が十分に行き届いていない現場も多いため、当事者が安心して相談できる環境づくりが課題です。

まとめ

限局性学習症は、子どもから大人まで幅広い世代に影響を及ぼす可能性のある特性です。読字・算数・書字といった特定分野に困難があっても、適切なサポートと工夫によって日常生活や仕事の質を大きく向上させることができます。

「苦手なのは自分のせい」ではなく、「脳の特性に合わせた学び方が必要」だと理解することが、第一歩となります。支援を受けながら、自分らしい強みを活かしていくことが、学習や社会生活を前向きに続けるための鍵になるでしょう。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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