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心のエネルギーを表す「リビドー」とは?3つの特徴や由来について解説
2024.06.012024.09.03
精神分析、心理面・思考
フロイトの提唱した概念とは
「リビドー」とは、精神分析学を創始したジークムント・フロイトが提唱した概念です。人間の行動を動機づける心のエネルギーを示す言葉で、私たちの生活に身近なものだといえます。例えば、お腹が空いたり、何かを表現したりするなどの欲求を示す行動には、リビドーが必要です。
本記事では、精神分析学での重要な概念である「リビドー」について、3つの特徴からわかりやすく解説します。
リビドーとは?
リビドーは人間が生きていくために本能的に備わっている欲求や衝動の1つとされています。子孫を残して、種族として繁栄していくために必要な本能です。
例えば、食欲もリビドーの1つだと考えられます。何も食べないと飢餓状態に陥り、命を落としてしまうため、生きるためには食べなければなりません。何かを食べたいと思えば、料理をしたり、コンビニに買いに行ったりするといった行動を起こすでしょう。
このように食欲には、行動をおこすだけのエネルギーが備わっています。そのエネルギーの1つとして考えられているのが、リビドーです。
リビドーの由来は、ラテン語で「強い欲望」を意味する「libido」です。さらに、libidoの語源はローマ神話に登場するリベンティーナという快楽や身体的な美しさが特徴的な女神に由来する「libet」です。リビドーは「欲望」や「快楽」といった意味が強調された言葉といえるでしょう。
リビドーの3つの特徴
リビドーは、人間の生命活動に必要なエネルギーだと考えられています。性的な欲求や衝動を中心とするものですが、実際にはどのようにして人間の行動に影響するのでしょうか。リビドーの働きについて、3つの特徴を紹介します。
特徴①:性的欲求が変換されて表現される
リビドーは、性的欲求などの本能的な衝動が中心となると考えられています。しかし、本能的な衝動をそのまま表現すると、さまざまなトラブルにつながるでしょう。
そのため、本能的な欲求は、受け入れられやすい形に変換されて表れます。そして、変換するプロセスとして、フロイトは人間の心を3つに分けて説明しました。それが、「イド(エス)」「自我」「超自我」です。
本能的な欲求が存在するのは、「イド(エス)」という心の領域です。それをルールを重視する「超自我」の心が抑制し、「自我」が間を取り持ちます。車に例えると、イド(エス)がアクセル、超自我がブレーキ、自我は運転する人といえるでしょう。ガソリン(リビドー)を消費しながら、目的地に向けて進んでいきます。
イド(エス)は、快楽を求めて不快なことを避けようとする傾向があるため、そのまま進むと適切な目的地に到着しないことがあるでしょう。また、超自我が強すぎると、ブレーキばかりで進みません。そのため、自我が両者を調整する必要があるのです。
イド(エス)が求める方向を超自我が許容できるよう、リビドーの変換が行われます。具体的には、創作欲や探求心、他人への愛情などの社会的に認められやすい形への変換です。
以上のように、リビドーは本能的なエネルギーですが、そのまま表現されると社会的に許容できないことがあるため、適切な形に変換されます。
特徴②:自分か他人に向けられる
リビドーは、自分か自分以外の対象に向けられます。自分に向いていることを「自我リビドー」、自分以外の存在に向けられることを「対象リビドー」と呼びます。
自我リビドーとは、リビドーが自分に向けられている状態です。いわゆる「自己愛」や「ナルシズム」と呼ばれる状態に似ています。自我リビドーが優位になっている状態の例として、赤ちゃんが挙げられるでしょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、「ミルクを飲みたい」「眠い」などの生理的欲求を満たすことばかりを求めます。これは自分にリビドーが向けられており、行動の多くが欲求を満たすために生じることが多いでしょう。
しかし、「お母さんがミルクをくれる」というように、自分の欲求を満たしてくれる存在が外にいることが徐々に理解できるようになります。すると、自分以外の対象にリビドーを向けるようになるのです。これが対象リビドーとなり、愛情を持つ基礎になります。
特徴③:年齢によってリビドーを満たす部位が異なる
リビドーは本能的に何かを求める欲求ですが、それを満たすためにさまざまな行動が生じます。リビドーを満たすための行動は、いつも同じというわけではなく、年齢によって満たし方が異なると考えられています。
フロイトは、リビドーを満たすために使う身体の器官が成長により異なるとし、「心理性的発達理論」という考え方を提唱しました。以下の5つの発達段階に応じて、性格が形成されると考えられています。
- 口唇期(0~1歳ごろ):授乳やおしゃぶりなど「口」を通して満たす
- 肛門期(1~3歳ごろ):トイレットトレーニングなど「肛門」を通して満たす
- エディプス期(3~5歳ごろ):「生殖器」に興味が向けられる
- 潜伏期(5・6歳~思春期):本能的な衝動が一時的に落ち着く時期
- 性器期(思春期~):自分に向けていたリビドーが異性への興味に変わる
各段階で適切なリビドー充足がなされれば、問題なく発達していくと考えられています。リビドーが満たされなかったり、過度に充足していたりすると、その段階にとどまり、性格形成に影響する場合があるでしょう。
リビドーは生命に必要なエネルギー源
リビドーは、人間が生きていくために必要な心のエネルギーだといえます。さまざまな活動をしていく上でのエネルギーは、本能的な衝動が変換されたものです。何らかの目的に向かって進んでいくためには、リビドーが必要であるといえるでしょう。
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