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失声・失歩とは? 心因性の症状に向き合う
2025.03.272025.03.29
失声・失歩、メンタルケア
失声・失歩とは? 心因性の症状に向き合う
失声(しっせい)・失歩(しっぽ)とは、医学的な異常が見つからないにもかかわらず、声が出なくなったり、歩くことができなくなったりする症状のことを指します。これらは主に心因性(心理的要因によるもの)と考えられ、ストレスやトラウマが影響して発症することが多いです。
本記事では、失声・失歩の症状、原因、診断、治療法について詳しく解説し、メンタルクリニックとしてどのようなサポートが可能かを考えていきます。
失声・失歩の特徴
失声・失歩は「転換性障害(解離性障害)」の一種と考えられています。これは、心理的ストレスやトラウマが身体症状として現れる精神疾患です。
✅ 失声の特徴
- 声帯やのどに器質的な異常がないにもかかわらず、声が出なくなる
- ささやき声は出せることが多い
- 精神的な負担が強い場面で悪化する
✅ 失歩の特徴
- 筋肉や神経に異常がないにもかかわらず、歩行が困難になる
- 立ち上がることはできるが、歩こうとすると足が動かなくなる
- 急性のストレスや精神的ショックがきっかけになることが多い
これらの症状は、患者自身が「歩けない」「話せない」と感じるため、意図的に演じているわけではありません。
失声・失歩の原因
失声や失歩は、さまざまな心理的要因によって引き起こされます。
強いストレスやトラウマ
- 事故や虐待、災害などの強い恐怖体験
- 職場や家庭での過度なプレッシャー
- 大切な人との死別や喪失体験
感情の抑圧
- 自分の気持ちを表現できず、無意識に体に症状が出る
- 「怒り」「悲しみ」「不安」などの強い感情を言葉にできない
心理的葛藤
- 「話したくない」「歩きたくない」という無意識の願望が症状として表れる
- 何かを避けるための防衛機制として発症することもある
診断と治療
診断方法 失声や失歩の診断には、まず器質的な異常がないかを確認するための検査が行われます。
- 耳鼻咽喉科や神経内科での診察
- MRIやCTなどの画像検査
- 音声機能検査(失声の場合)
- 筋電図検査(失歩の場合)
器質的な異常が見つからない場合、精神科や心療内科での診察が重要になります。
治療法
✅ 精神療法や心理療法
- 認知行動療法(CBT):ストレスの原因を探り、対処法を学ぶ
- 精神分析療法:無意識の葛藤を探る
- トラウマ療法(EMDRなど):過去のトラウマを処理する
✅ 薬物療法
- 抗不安薬や抗うつ薬が有効なこともある
- ただし、症状の根本的な解決には心理療法が重要
✅ リハビリテーション
- 音声訓練(失声の場合)
- 理学療法や作業療法(失歩の場合)
- リラックス法(呼吸法、瞑想、ヨガ)
患者の心理的な負担を軽減しつつ、徐々に機能回復を目指します。
周囲の対応とサポート
失声・失歩の患者は、周囲の理解とサポートがとても重要です。
適切な対応
- 「気のせい」や「怠けている」などと決めつけない
- 本人の話をじっくり聞き、無理に話させたり歩かせたりしない
- 必要ならば専門家に相談するよう促す
NGな対応
- 「頑張ればできる」とプレッシャーをかける
- 「大したことない」と軽視する
- 逆に過保護になりすぎる
適切なサポートを提供することで、症状の改善につながる可能性が高まります。
まとめ
失声・失歩は、強いストレスやトラウマによって引き起こされる心因性の症状で、「声が出ない」「歩けない」と感じたとき、それは心が発するSOSかもしれません。身体的な異常はないにもかかわらず、声が出なくなったり歩行が困難になったりするため、本人にとっては非常に苦しいものなのです。
早期にメンタルクリニックや精神科,心療内科、あるいは症状に応じて耳鼻科や神経内科などの医療機関を受診し、適切な治療を受けることが回復への鍵となります。また、周囲の理解とサポートも大きな役割を果たします。
参考文献
- 厚生労働省. (2023). 「心の健康について」
- 日本精神神経学会. (2022). 「転換性障害の診断と治療」
- World Health Organization. (2021). “Mental Health and Psychosocial Well-being”
- American Psychiatric Association. (2013). “Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5)”
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