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自己愛性パーソナリティ障害の人との接し方は?特徴や治し方を解説
2024.05.232024.05.23
心理面・思考、パーソナリティー障害
自分を中心に、相手を巻き込んだり自分のアピールをしてしまう
周りの迷惑を考えない行動で誰かを振り回したり、自慢話ばかりしたりするような人がいると、対応に困ってしまうことがあります。自己中心的でプライドが高い性格は、もしかすると「自己愛性パーソナリティ障害」かもしれません。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、架空の実績を周囲に話したり、批判されると過度に怒ったりするなどの言動がみられます。周囲からすると、どうしてそのような言動をとるのか分かりにくいかもしれませんが、多くはプライドを守るための行動です。
本記事では、自己愛性パーソナリティ障害の特徴や接し方について解説します。職場やパートナー、友人との関係で悩んでいる方が、自己愛性パーソナリティ障害が起きる原因を理解でき、接し方のヒントになれば幸いです。
自己愛性パーソナリティ障害とは?
自己愛性パーソナリティ障害とは、「自分は特別な存在だ」という誇大な自己イメージを抱くことで、人間関係上の支障が生じるものです。次の3つの行動的な特徴がみられます。
- 誇大性:「自分は特別な扱いをうける存在だ」という現実よりも誇大した自分のイメージがある。
- 褒められたい欲求:「自分は特別だから褒められて当然だ」という考えを持っている。そのため、他人からの批判に敏感で傷ついたり、ひどく怒ったりする。
- 共感性の欠如:「自分が世界の中心だ」と思い、他人への思いやりを持ちにくい。
自分に対するイメージが高いことで、他人から批判されると反抗してしまうことが特徴です。さらに、思いやりを持てず、周囲とトラブルになることが多いでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害の原因とは?正常な「自己愛」との違い
「自己愛」と聞くと、ナルシストをイメージするかもしれません。しかし、自己愛は人間に備わっている「自分を愛する力」であり、「自尊心」や「自己肯定感」の源になるものです。
自己愛は、幼少期から発達し、成長とともに自分に向けていた愛情を他人にも向けられるようになっていきます。しかし、自己愛が成長過程でゆがめられたり、十分に育たなかったりすることでパーソナリティ障害とされるレベルになることがあるのです。
自己愛性パーソナリティ障害の人の中には、厳格な家庭で育てられた人がいます。例えば、成績が悪いと叱責されるという環境で育つと、できない自分に対する「恥の感覚」が強くなりやすいでしょう。そのため、「良い成績を取れない自分」という、できない自分を否定してしまうのです。
「できない自分を認めるのは恥ずかしいことだ」という恥の感覚が強いことから、大人になってからも理想の自分であろうとし続けます。他人から批判されると、理想の自分でいられなくなるため、激しく抵抗してしまうということが起きるのです。
自己愛性パーソナリティ障害は、理想の自分と現実の自分との間にギャップがあり、その差を認められないことで生じます。
自己愛性パーソナリティ障害の言動例と接し方のヒントとは?
では、自己愛性パーソナリティ障害の人は、どのような言動からトラブルになりやすいのでしょうか。
自己中心的な発言が目立つため、周りの人はパワハラやモラハラに苦しんでしまうことが少なくありません。とくに、家族やパートナー、上司、部下、同僚など多岐にわたって身近な人が傷ついてしまう場合があるでしょう。家庭と職場の2つの場面での言動例と、接し方のヒントを紹介します。
【言動例】家庭:家族やパートナーを軽視する
自己愛性パーソナリティ障害の特徴として、自分を特別な存在だとみなすため、自分が望めば周囲の人が動いてくれると期待しているところがあります。
家族やパートナーといった親密な関係性では、怒りを用いて周りの人を支配したり、思いやりを持って扱えなかったりすることが多いでしょう。具体的には、以下のような言動や様子が特徴的です。
- パートナーに対して「お前は何もできない」と怒る
- 家事ができていない、ルールを守らないといったことに怒る
- 家の購入など、重大な決定をパートナーの意見を聞かずに決めてしまう
- 自慢話が多い
接し方のヒント
基本的には、毅然とした態度で自分の意見を伝えることが大切です。理不尽な要求に対しては「対応できる範囲は応じるが、できないことはできない」と基準を決めておくとよいでしょう。
また、自己愛性パーソナリティ障害の人は、周囲に強硬な態度を取る一方で、内面では見放されてることを恐れています。そのため、相手に「見捨てられる」と思わせる言動には強く反発してしまうことがあるでしょう。
あくまでも、相手を否定するために話し合うのではなく、関係を続けるために話し合いたいという態度でのぞむことが大切です。話し合う余地がない場合には、距離を取ったり、専門機関に相談したりするなど、自分の安全を確保することを優先しましょう。
【行動例】職場:勝ち負けにこだわり、周りを蹴落とす
職場での特徴的な態度としては、競争好きで勝ち負けにこだわるところがあります。他人を蹴落としてでも昇進したいという思いが強く、手柄を横取りしたり、嘘を流したりするなどの強硬策に出る場合もあるでしょう。
周囲を手助けすることもありますが、恩を売って味方につけようという動機からなされます。他人のために何かをするということは少なく、自分の利益を考えて行動するところが特徴です。具体的には、次のような言動がみられるでしょう。
- 「有名人と知り合いだ」というような自慢話が多い
- 人目につくところで手助けをする
- 「あなたのやり方は皆が迷惑している」とあたかも全員が否定しているかのように伝えて、不安感をあおる
- 評価につながる仕事ばかりを引き受け、単純作業は周りに押し付ける
- 学歴や出身などを馬鹿にする
接し方のヒント
自己愛性パーソナリティ障害の人が好む、競争にはのらないことが最も大切です。自慢話が多いときには、極力傾聴し、可能であれば「すごいですね!」とリアクションするとよいでしょう。「負けるが勝ち」という精神で、少し距離を取って関わることがおすすめです。
また、手助けをされた場合は、感謝をしつつ、その後は積極的に頼らないようにするとよいでしょう。
基本的には、自己愛性パーソナリティ障害の人には、戦わずに程よく調子を合わせつつ、一定の距離を取るようにすることが重要です。
自己愛性パーソナリティ障害に苦しんでいる場合は迷わず受診を
自己愛性パーソナリティ障害は、理想と現実のギャップに苦しみ、周りに攻撃的で反抗的な態度を取ってしまうものです。他人を下げて自信を保つことで生じる問題であり、本人も苦しい思いをしています。
また、周囲の人も関わり方が分からずに困ってしまうことも多いでしょう。家族やパートナー、職場の上司や同僚との関係で疲れてしまい、精神症状を発症してしまうケースもあります。
身近な対人関係で悩みを抱え続けている場合は、迷わず精神科や心療内科を受診し、治療を受けることがおすすめです。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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