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ナルコレプシーの症状・治療について
2024.05.312024.05.31
ナルコレプシー、不眠症・睡眠障害
日中の強い眠気について
ナルコレプシーは、日中などの活動の最中に強い眠気が起こる病気です。この病気はまだ一般によく知られておらず、やる気のなさからくる居眠りだと思われてしまうこともあります。今回は、ナルコレプシーの症状や原因、患者数の割合、検査、診断、治療についてお話しします。
ナルコレプシーの特徴とは?
14-16歳をピークに10代で発症することが多い傾向です。1日の中で強い眠気による居眠りを繰り返します。血のつながりがある家族にナルコレプシーの人がいる場合でも、発症は1-2%程度であまり高くありません。
遺伝子が同じである一卵性の双子でも両者が発症するのは約1/3ほどと考えられています。遺伝的な素因と後天的要因の両方が関係していると言われています。
ナルコレプシーかもしれないと思ったら
ナルコレプシーには、特徴的な症状があります。これらの症状がある場合は、ナルコレプシーの可能性を考えて注意深く観察し、受診を検討しましょう。
- 前日の夜に睡眠をとっていても翌日の昼間に強い眠気がある
- 会話や運転、仕事中などの活動中でも居眠りをしてしまう
- 笑う・怒る・驚くなど感情が出たときに倒れ、首や膝の力が抜ける
- 目が覚めた時に金縛りになる
ナルコレプシーの症状は?
初めに出やすくわかりやすい症状は、活動中の眠気と居眠りです。数か月から数年後に他の症状が現れてくることがあります。症状には個人差があり、すべての症状が出る人は患者の20-25%ほどです。ナルコレプシーは、活動中の強い眠気・居眠りと情動性脱力発作の2つの症状がみられるときに診断されます。
- 強い眠気と居眠り
- 情動性脱力発作
- 睡眠麻痺(金縛り)
- 入眠時幻覚
ひとつずつ説明しましょう。
活動中の強い眠気と居眠り
ナルコレプシーは、前の日に十分な睡眠をとっていても、日中に強い眠気があったり居眠りを何度も繰り返したりしてしまうことが、毎日のように起こるのが特徴です。
食事中、歩行中、危険な作業をしているときなどの状況でも眠気が強く、眠り込んでしまいます。10分から20分ぐらい寝るとすっきりとしますが、繰り返し眠気が起こるのが特徴です。
情動性脱力発作
喜んだり怒ったりするなどの強い感情がきっかけとなって起こる一時的な脱力の発作です。脱力発作は、脱力している間は意識がはっきりとしています。脱力の程度は、首や膝などを支えられないような脱力感があったり、ろれつがまわりにくくなったりするといった軽い発作、全身の脱力して倒れるような強い発作もあります。発作の長さは、数秒から数分続くことがあります。
睡眠麻痺(金縛り)
眠った直後や目が覚めたときに、金縛り状態(声が出ず、体も動かない)になります。
入眠時幻覚
眠った直後、自分ではまだ起きていると思っているときに、とても鮮やかで怖い夢に似た体験をします。
ナルコレプシーの原因とは?
ナルコレプシーの原因は、まだ明確になっていません。しかし、脳の中で睡眠と覚醒を調節している部位の障害によっておこると考えられています。最近の研究で、脳内のオレキシンという物質が減少している場合が多いことがわかっています。そのため、精神的問題や心理的問題が原因で起こる病気ではありません。
ナルコレプシーの人はどれくらいいる?
日本人には、1万人当たり17人前後の割合でナルコレプシーの患者がいるという研究報告があります。世界の中でも日本人はナルコレプシーの人の割合が最も多く、 イスラエル人やユダヤ人で少ないことが知られています。欧米では1万人あたり2-4人いるともと言われています。男女の差はありません。
ナルコレプシーへの理解は十分ではない
ナルコレプシーは、まだ一般には認知度が低く、十分に理解されていません。そのため、居眠りと誤解され退職や転職を余儀なくされていることがあります。
単なる居眠りではない
ナルコレプシーは、やる気のなさからくる単なる居眠りではありません。強い眠気が起こり、自分の意志とは関係なく眠ってしまう病気です。
なまけ者と思われることが多い
周囲の人からは、なまけていると誤解されがちです。周囲には、ただの居眠りだと思われてします傾向がありますが、ナルコレプシーは病気です
本人も病気であると気付きにくい
本人が眠いと感じる前に寝入ってしまうため、病気ということに気付くことが難しい傾向です。
理解されず退職や転職せざるを得ないことがある
仕事の大切な局面で眠ってしまったり、危険なことになったりすることで、配置換えや退職せざるを得ないことがあります。
ナルコレプシーの検査
次のような検査があります。
睡眠ポリグラフ検査 (ポリスムノグラフィ)
夜間に、耳や頭に電極を取り付けて脳波・眼電図・筋電図 などを記録します。これによって、睡眠の状態を判別し、睡眠の特徴を確認することができます。
睡眠時反復テスト
睡眠時反復テストは、睡眠ポリグラフ検査を行った次の日の昼間に、同様の検査を数時間おきに行います。昼間の眠気について検査します。
ナルコレプシーの治療は?
ナルコレプシーの根本的な治療はまだ確立されていません。しかし、その症状を抑えたり改善することは可能です。主に、薬物療法、生活習慣を見直す行動療法を行います。
薬物療法
薬の効き方や適切な投与量には個人差が大きいので、主治医とよく相談しましょう。それぞれの症状に応じた薬物治療が行われます。長期的に服薬が必要なことがありますが、容量を守って正しく服用すれば問題ありません。
活動中の眠気と居眠りに対しては、リタリンなどの精神賦活剤、情動性脱力発作、睡眠麻痺、入眠時幻覚に対しては、アナフラニールなどの三環系抗うつ剤が使用されることが多い傾向です。
生活習慣を見直す(行動療法)
生活習慣を変えることによって症状の大幅な改善が見られることがあります。規則正しい生活、昼寝の習慣、暴飲暴食を控える、車の運転や料理は眠くならない時間帯を選ぶことが大切です。徐々に軽減するケースが多いため、治療には、根気よく取り組むことが必要です。
- 規則正しい睡眠の習慣
- いつもおおよそ同じ時間に昼寝をする習慣 (可能ならば、昼と午後5時頃に15分ぐらいの短い睡眠をとる)
- 車の運転や料理は特に注意が必要で、眠くならない時間帯を選ぶ
- 暴飲暴食を慎む
生活環境を改善する
治療を進めるためには、ナルコレプシーに関して家族・友人・同僚など周囲の人の理解を得ることが大切です。日中に眠ってしまうのはやる気がない、なまけている、うつ病などのせいではないことを理解してもらいましょう。
まとめ
今回は、ナルコレプシーの症状や原因、患者数の割合、検査、診断、治療についてお話しました。日中の過度の眠気と居眠り・睡眠麻痺・情動性脱力発作・入眠時幻覚の症状があり、睡眠ポリグラフ検査などを行います。薬物療法とともに、生活環境の改善などを行い、治療を進めます。まだ一般的に理解が進んでいないのが現状であるため、周囲の人への理解を深め社会的サポートが必要な病気です。
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