名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院が「オセロ症候群」嫉妬が止まらず苦しい詳細について紹介

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「オセロ症候群」嫉妬が止まらず苦しい…とは?

2024.05.182024.05.18

パーソナリティー障害、オセロ症候群

恋人に対してついつい「嫉妬」してしまう時

恋人や配偶者に対して、つい嫉妬してしまうことはよくあるでしょう。しかし、「浮気しているのかも…?」「誰かと連絡を取っているのでは…?」と不安に駆られるほどの嫉妬はお互いにつらいものです。

不安で相手のスマホをチェックしたり、外出先を問い詰めたりするなどの束縛が続くと、関係性に影響するかもしれません。

格たる証拠や根拠がないのに、パートナーの浮気を強く疑ってしまう

根拠がないのに、パートナーが浮気をしているのではないかと疑うことを「オセロ症候群」と呼びます。「パートナーが誰かに奪われてしまうかもしれない」という強い不安から、根拠のない疑いに発展してしまうのです。

本記事では、オセロ症候群について、特徴や精神疾患との関連、治し方について解説しています。パートナーへの嫉妬が止まらず苦しんでいる方は、ぜひ参考にしてください。

オセロ症候群の診断・チェック

オセロ症候群とは、シェイクスピアの四大悲劇である「オセロー」に由来します。主人公のオセローは、部下から「妻が浮気している」と根拠のない噂を流され、妻と偽の不倫相手を殺害するという物語です。この物語から、恋人や配偶者を根拠なく疑ってしまい、激しい嫉妬に駆られることを「オセロ症候群」と呼ぶようになりました。

オセロ症候群は、どのような行動や感じ方をする傾向がみられるのでしょうか。主に以下の5つの特徴が挙げられます。

  • 相手の全てを把握しないと不安になる
  • 頻繁に連絡を求めてしまう
  • 異性と話してほしくない
  • 浮気の証拠を探してしまう
  • 自分の行動が異常だと感じる

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オセロ症候群の特徴①:相手の全てを把握しないと不安になる

パートナーがどこにいるか、誰と連絡を取っているか、いつ帰宅するかなど生活の全てを把握しないと不安でたまらないことが特徴です。浮気の心配があると、「見放されるのでは」と不安定になってしまいます。

【具体例】

  • スマホをのぞき見する
  • SNSを何度もチェックする
  • パソコンやスマホのサイト閲覧履歴を確認する

オセロ症候群の特徴②:頻繁に連絡を求めてしまう

頻繁に連絡がないと、相手から嫌われてしまったのではと不安になり、何度も電話をかけてしまいます。電話にすぐに出ないと、不安から相手に当たってしまい、喧嘩に発展することもあるでしょう。

【具体例】

  • 1日に何度も電話をかける
  • 1日に数回以上のSNSやメールでの連絡を求める
  • 折り返しの電話がすぐに来ないと怒ってしまう

オセロ症候群の特徴③:異性と話してほしくない

異性の友人や同僚、上司と話しているところを見ると、嫉妬してしまうことがあります。芸能人や店員など、全く接点のない異性に対しても、強い嫉妬を抱き、興味を持たないように要求することもあるでしょう。

【具体例】

  • 相手の好きな芸能人が出演する番組を見るのを禁止する
  • 異性の同僚や上司、友人と話してほしくない
  • デート中に異性の店員と話す姿を見たくない

オセロ症候群の特徴④:浮気の証拠を探してしまう

「浮気しているかもしれない」という強い不安から、浮気をしていないことを証明するために、証拠を探してしまう場合があります。浮気していないことが分かると一時的に安心しますが、時間が経つと不安が強くなり、同じ行動を繰り返すことが多いでしょう。

【具体例】

  • GPSアプリをつける
  • バックの中身を探って怪しいものがないか調べる

オセロ症候群の特徴⑤:自分の行動が異常だと感じる

行動が異常だと感じつつも、相手への束縛や浮気の証拠探しをやめられないことも特徴の1つです。束縛すると同時に「こんなことをしていると嫌われるのでは」と不安になり、より束縛するという悪循環に陥ります。

【具体例】

  • 自分の行動が異常だと感じる
  • 相手を束縛すると嫌われると思うが止められない
  • 人を好きになると束縛してしまうので、恋愛するのが怖い

オセロ症候群は病気に当てはまる?精神疾患との関連について

オセロ症候群は診断名ではありません。しかし、1951年にイギリスの精神科医であるジョン・トッドによって命名されたものであり、「精神病の危険な一形態である」とされています。そのため、オセロ症候群は何らかの精神的問題を有するケースもあるでしょう。

以下のような3つの疾患では、やや現実的でない思い込みや疑い深さがみられます。これらに当てはまる場合は、専門家による治療が必要でしょう。

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病気①:妄想性パーソナリティ障害

周囲の人への信頼感を持ちにくく、他人を疑いやすいことを特徴とするパーソナリティ障害です。「他人は自分を利用する存在だ」「簡単に信用してはいけない」という考えが強く、些細な言動を疑ってしまうことが特徴だといえます。

異性関係においても、裏切られたり、利用されたりすることを恐れて、相手に疑いを向けてしまうことが多いでしょう。

病気②:妄想性障害

妄想性障害は、妄想性パーソナリティ障害に比べて、より現実的でない思い込みを抱く精神疾患です。幻覚や妄想など、非現実的な体験がみられる「統合失調症」と似ていますが、幻覚はみられず、固定化した妄想が特徴といえます。

異性に対しても、浮気を疑う妄想(嫉妬妄想)がみられる場合があり、修正が難しいことが多いでしょう。

病気③:アルコール依存症

アルコール依存症が長引くと、「アルコール精神病」という症状がみられるようになりますが、その1つとして嫉妬妄想が生じます。アルコール依存症は、中年期の男性に多く、依存に伴う男性機能の低下から、妻の不倫を疑ってしまうなど、嫉妬妄想が起きやすい状況もあります。

オセロ症候群による嫉妬が生じる理由とは?

パートナーとの安定した関係を築きにくいオセロ症候群ですが、どのようにして治せばよいのでしょうか。

他者に対する「イメージ」のゆがみが関連していることも

精神疾患による影響が大きくない場合、オセロ症候群のような嫉妬に駆られるのは、「他者イメージ」が少し歪んでいるという原因が考えられます。「他者イメージ」とは、「人は○○な存在だ」という、他人に対して全般的に抱くイメージのことです。

他者のイメージがネガティブなことも

他者イメージが「簡単に裏切る存在だ」「信頼できない存在だ」というネガティブなものであれば、相手を信じるまでに時間がかかります。束縛や過度な連絡は、相手を信用するために必要なことであり、応えてくれると「この人は信用できる」と安心できるのです。

ただ、他者イメージはこれまでの人間関係で形成されてきたものなので、少しの信用を跳ね返すほどの威力を持っています。そのため、信用できない一面がみえると不安になり、同じように束縛を繰り返してしまうのです。

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オセロ症候群の治し方は?

オセロ症候群の治し方は、まずは精神疾患の影響で、過度な不安や嫉妬が生じていないかをチェックすることが大切です。自分で判断できない場合は、精神科や心療内科を受診し、判断してもらうとよいでしょう。

ネガティブな他者イメージが原因である場合は、相手の状態を基準にして、自分の気持ちが影響されがちです。そのため、できるだけ自分の軸をもち、相手に影響されないように取り組んでいくことが必要でしょう。具体的には次の2つの方法がおすすめです。

オセロ症候群の治し方①:連絡頻度についてルールを設ける

1日に何回も連絡をしていると、された側は疲弊してしまうでしょう。する側も、思うような反応が返ってこず、残念な気持ちになってしまうかもしれません。お互いに話し合い、「夜12時以降は連絡しない」「連絡は1日5回まで」というように、ルールを決めておくとよいでしょう。

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オセロ症候群の治し方②:不安な気持ちをすぐに解消しようとしない

「誰かと会っているのでは…」という不安に駆られると、行動に移しやすいのがオセロ症候群の特徴です。人間の気持ちは不思議なもので、消そうとすると余計に強くなるということがあります。

例えば、不安を解消したくて連絡しても出てくれないと、余計に不安が強くなってしまうでしょう。連絡を我慢して、相手のことを考えないようにしても、結局考えて不安になるということがあるかもしれません。

不安になってもすぐに解消しようとせず、短い時間でもいいので、家事や仕事など他の作業に集中してみましょう。「不安な気持ちを抱えておく」という意識を持つことが大切です。

オセロ症候群の治し方③:自分の不安の根源を、相手の行動や振舞で改善しようとしない

浮気されているかもしれないという、自分が抱える不安を、解消するための行動を、「相手が連絡をする事」「スマホを見せること」「相手の行動を把握する事」で解消しようとするという流れを見つめなおしてみることが大切です。

自分の抱える不安の根源は何なのか、相手の行動の変化で自分を満足させようとしていないか、見つめなおしてみることで、「本当の不安は、自分の中にある」という気づきにも繋がることがあります。

大切な人を奪われたくない気持ちは誰にでもあるもの

オセロ症候群は、「相手を奪われたくない」という気持ちから、激しい嫉妬を抱いてしまう状態です。束縛をしている本人も、嫉妬の気持ちに圧倒されて苦しい思いをしていることが多いでしょう。

大切な人を奪われたくない気持ちは、愛情の表れでもあります。しかし、行き過ぎた嫉妬は本人や相手も苦しめてしまいかねません。嫉妬の気持ちに苦しんでしまうときには、抱え込まず、専門家に相談してみることをおすすめします。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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