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疼痛性障害とは?原因不明の痛みが続く症状について解説

2024.05.202024.05.20

疼痛性障害、身体症状症・身体表現性障害

痛みが与える影響、ココロが関連する痛みとは

「頭がズキズキする…」「腰が痛い…」など、痛みの問題は誰もが経験する悩みだといえます。痛みの原因といえば怪我や出血など、何らかの損傷を思い浮かべる人が多いでしょう。

心因的な影響で、痛みも変動することがある

しかし、痛みは身体や神経の損傷により生じるものだけではありません。心理的な原因で痛みが生じたり、強くなったりすることがあるのです。

疼痛性障害の可能性は?

特に、明らかな原因が分からず、長い期間、痛みが続き、生活に影響がある・精神的な負担があるという方も少なくなく、そしてその場合は「疼痛性障害」として診断することが妥当な方もいらっしゃいます。

本記事では、疼痛性障害の症状や原因、治療法について解説しています。原因不明の痛みが長く続く方は、当てはまるポイントがないか、参考にしてください。

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疼痛性障害とは?

【疼痛性障害】痛みを感じるものの、主だった身体的な原因がないことが特徴

疼痛性障害とは、身体の一部もしくは複数の箇所が強く痛む状態で、身体的な原因がないか不釣り合いで、その痛みに対する懸念や過度の不安を背景に生活に支障を来している状態を指しています

例えば、身体的な原因や既往があったとしても、現時点でのその人の病状を捉えるには不釣り合いなほど、強い疼痛症状を呈しているということが特徴です。

DSM-Ⅴでは身体症状症の一つ、「疼痛が主症状のもの」の一つに挙げられています

以前のDSM-Ⅳでは、「身体表現性障害」・「疼痛性障害」として記載されていましたが、DSM-Ⅴでは、身体症状症の診断でありながら、疼痛が主症状であることと特定されている疾患として扱われています。

また、ICD-10では持続性身体表現性疼痛障害に該当します。

疼痛性障害では、多くは解剖学的にも解釈できうる痛みである「疼痛」のことでありますが、痛みのタイミングやとくに強さ、持続時間には心理的な要因が影響していることが特徴です。

生活への支障も強く、決して珍しい疾患ではない

痛みの強さは、治療を必要とするほどの強い痛みであり、生活を送るのに著しい苦痛・過度の懸念と心配に時間が費やされるなどの支障を伴います。

一般的な病院に通う人のうち、約3%の患者様が長引く痛みを訴え、1カ月に最低1日は痛みのせいでやりたいことができないというデータもあるほどです。

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生涯有病率とは?

生涯有病率は約12%であり、10人に1人以上が苦しむ、比較的身近な病気だといえるでしょう。誰にでも起こりうる症状であるといえ、他の精神疾患との併発率も高いことも特徴です。

疼痛性障害の痛みの場所、痛みの特徴とは?

発症率が高く、生活に大きな支障を及ぼす疼痛性障害ですが、具体的にはどのような症状が起こるのでしょうか。

どの部位が痛むかは個人差がある

疼痛性障害で痛みがみられる部位には、個人差があります。

腰痛や頭痛、顔面痛、背中痛、胸痛、腹痛、関節痛などさまざまな痛みに苦しむ多彩な症状です。疼痛性障害は一般的には身体で珍しい部位の疼痛よりも、多くの方が痛みを抱え得る場所の疼痛を来していることがあります。

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治療の介入があっても、痛みの改善が乏しいことがある

疼痛性障害による痛みは、身体的な疼痛とは異なり、痛みの強さがあまり変化しないことがあるというのも特徴の一つです。痛みから逃れるために、鎮痛薬やアルコールなどいろいろなものに頼りますが、あまり改善されません。

慢性的な痛みが続き、生活を送るのに支障が大きい病気だといえるでしょう。

心理的な要因が大きく影響しているのが、疼痛性障害でもある

痛みと苦しみが強く、精神的・心理的にも「痛み」に囚われやすい

痛みが症状の中心であり、苦しみの根源は痛みにあると考えるほど、精神面も疼痛に大きく影響されます。

疼痛性障害の診断には、「心理的な要因」「精神的な負担や支障」が大きく影響していることが条件です。心理的・精神的な影響とは、痛みに伴う考えや気持ち、記憶などを指します。

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心理的な要因の影響も受けやすい疼痛

例えば、大きな病気を経験した方にとっての、持続的な腰痛の意味や、頭痛など、心理的な要因に修飾されて、「痛みという事実」が更に大きな重みと心配事を連想させてしまうことは少なくありません。

痛みで頭の中がいっぱいになり、生活や苦しみの根源になってしまう

また痛みが持続することで、苦しみの根源は痛みにあると感じられるほど、日々の精神的な負担の原因となり、痛みに関する心配や懸念が拭い去れないなどの、労力と過度の時間経過を呈してしまうのです。

気分が晴れない、痛み止めを飲んでも緩和しないなど…

「痛み止めを飲んでも緩和しない」「好きな活動をしても気が晴れない」といった場合には、もしかしたら疼痛に対して、心理的な要因が大きく影響している可能性があると言えるかもしれません。

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精神科や心療内科を受診するまで数年間苦しむこともある

疼痛性障害の痛みは、突然に生じて数週間~数ヵ月で強くなっていくことが一般的です。痛みが慢性化し、健全な生活を脅かすこともありますが、短期間で治ることもあります。比較的慢性化した痛みの方が治りにくい傾向があるでしょう。

痛みの原因は身体的なものだと疑って、外科や内科などを多数受診しますが、改善しないケースがみられます。精神科や心療内科を受診し治療を開始するまでに数年間痛みに苦しむことも少なくないのです。

うつ症状との併存が非常に多い

疼痛性障害の患者様のうち、約25〜50%がうつ病を、60〜100%が気分変調性障害または抑うつ障害を有していると報告されています。痛みにより活動性が低下し、さらにいろいろなことが億劫になるといった悪循環が起きやすいでしょう。

うつ病を懸念するときの症状とは…

疼痛性障害と併存するうつ症状は、以下のような症状が顕著に表れやすいことが特徴です。

  • あまり喜べなくなる
  • 意欲や活力が低下する
  • 性欲が減退する
  • 眠れない
  • そわそわして落ち着かない

一方で、うつ症状に特徴的な「夕方になると気分が回復する(日内変動)」「体重が減少する」「動作がゆっくりになる」といった症状は、目立ちにくい傾向があります。

うつ症状と疼痛性障害が合併することでより症状が複雑になり悪化しやすくなる

うつ症状と疼痛性障害の関連が深く、互いに悪化させてしまう可能性があります。上記の症状が当てはまる場合には注意が必要です。

また、他にも不安障害や身体表現性障害との併存もみられます。痛みの問題だけに捉われるのではなく、複数の側面から治療することが重要です。

疼痛性障害の原因とは?

疼痛性障害はどのようにして生じるのでしょうか。「心理的要因」「行動上の要因」「脳神経学的要因」の3つの側面から解説します。

心理的要因:心の葛藤を身体症状で表現する

疼痛性障害の原因として、「失感情症」と呼ばれるような感情を表現することが苦手な性格が影響している可能性や、物事に対する過敏性などの影響も考えられています。

「イライラする」「悲しい」など心の状態を、言葉でうまく言語化できないことや、周囲への気遣いや、過敏性などから心理的負担が相対的に大きくなりやすい状況ですと、痛みとして表れやすかったり、痛みとして体がSOSを表現しているという考え方もあるのです。

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行動上の要因:いたわること・配慮することが生活のすべてになってしまいやすい

頭痛で辛そうにしている人をみると、「いたわってあげなければ」と思うことが多いのではないでしょうか。痛みには、他者だけではなく自己の注意を最大限に引き、自己をいたわり・優しく扱ってもらう行動を引き出す役割があります。

当然、疼痛性障害では、人の注意を引き出そうと意図的に痛みを作り出すわけではありません。

ただ、継続して痛みが出現することで、痛みを減らすようにいたわること、痛みを減らすための考えや生活の取り組みすべてが最大の関心事であり正解だ、という認知の結びつきと配慮に、知らないうちにつながってしまうことがあります。

そのため、結果として痛みが過剰に結果として意識されてしまうのです。

脳神経学的要因:神経伝達物質の異常により痛みを感じやすくなっている

脳神経学的な要因として、「セロトニン」や「エンドルフィン」といった痛みを緩和する神経伝達物質がうまく働いていない可能性があります。健康な状態では、これらの神経伝達物質が痛みを緩和しますが、うまく働かず、痛みを感じやすい状態になっているといえるでしょう。

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疼痛性障害の治療法とは?

痛みだけを緩和させることが治療の本質ではないことも

疼痛性障害は、身体的な原因や関連とが強くないことから、鎮痛薬ではなかなか満足のいく効果を得られないことがあります。そのため長期間使用してしまうと、乱用や依存のリスクが伴います。

心理的な要因に主軸を置くこともある

そのため、基本的には痛みの原因になっている心理的な要因に主軸を置いた治療が行われることがあります。痛みが生じるのは、どのような悩みが影響しているのかを専門家との対話を通して明らかにしていく方法が効果的です。病状や診察の見立てによっては、痛みを緩和するセロトニンを増やす抗うつ薬が有効なこともあるでしょう。

そして、そのような判断は医師の診察や継続的な通院により情報や経過が積み重ねられていくという点は大切です。

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ストレスへの向き合い方を考えてみることも手

ただ、痛みによって意識したくない葛藤を避けている場合もあります。本来向き合うべきストレスや自分の課題から目を背けず取り組んでいくことが必要な場面も少なからず存在することもありますので、専門家の助けが必要な場合があります。

その他には、以下のような方法が用いられることがあります。

  • バイオフィードバック:筋電図で筋肉の緊張を計測しながら、自己コントロールできるようにする。頭痛に有効。
  • 認知行動療法:「痛みのせいで何もできない」というような痛みに対する思い込みにアプローチし、できる活動を増やす。
  • 外科的な手術:神経ブロックなどで痛みの元を取り除く。定期的な実施が必要。
  • 生活習慣の改善:規則正しい生活を送ることで回復する場合もある。

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痛みの原因は身体だけではありません

疼痛性障害は、身体の部位が強く痛み、生活に大きな支障を及ぼすものです。原因は分からず、長期間苦しむことも少なくありません。

身体のどこかが痛いときには、「身体が悪い」と考えることが普通だといえます。しかし、検査を繰り返しても原因が分からない場合は疼痛性障害かもしれません。身体ではなく、心にもアプローチする必要があります。

患者さん自身は痛みがあることで、頭の中がいっぱいになり、生活や苦しみの根源になってしまうことがあります。そのため、1人ではなく、専門家と一緒に治療に取り組んでいくことが大切です。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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