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メンタルクリニック
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最近、元気なフリがうまくなってませんか?心のしんどさについて
2025.04.242025.04.24
抑うつ、微笑みうつ病
“元気そうに見える人”ほど、しんどさに気づかれにくい
朝、鏡の前で笑顔をつくる。
職場ではいつも通りに振る舞い、会話もこなす。でも、ふと一人になると、どっと疲れている…
そんなふうに「ちゃんとやれている自分」と「本当の自分」との間に、見えないギャップを感じていませんか?
メンタルクリニックを訪れる人の中には、「一見元気そうに見える方」が少なくありません。仕事もしているし、人との関係も保っている。でも、本人の中では「毎日がしんどい」「何も楽しめない」と感じている。
それでもまわりからは「頑張ってるね」「しっかりしてる」と言われてしまう。だからこそ、どこかで「この程度でつらいなんて思っちゃいけない」と、自分のしんどさを否定してしまうのです。
“元気なフリ”を続ける脳と心のコスト
無意識のうちに、元気な自分を演じ続けることは、脳にも大きな負担をかけています。
脳には「エネルギーの上限」があります。本来なら休息や回復に使うべきそのエネルギーを、感情の抑制や対人対応に割いてしまうと、次第に“内側”から力が出なくなっていきます。
たとえば…
- 何かを楽しむ感覚が薄れてきた
- 朝起きるのがつらくなった
- ちょっとしたことで涙が出そうになる
- ボーッとする時間が増えた
- 頑張らなきゃ、と思うたびに心が重くなる
こうした変化は、「心が弱いから」起こるのではありません。むしろ、ずっと頑張ってきたからこそ、脳がブレーキをかけようとしているサインとも言えるのです。
周囲との温度差が、さらに「つらさ」を深めることも
見た目が元気そうで、きちんと仕事もこなしている人ほど、「つらい」と言っても理解されにくいことがあります。
- 「そんなふうに見えないけど?」
- 「疲れてるのはみんな同じだよ」
- 「考えすぎじゃない?」
こうした言葉は、悪気がなくても、心に突き刺さるものです。そしてますます「言えない」「相談できない」状態に陥り、孤立感を深めてしまうことがあります。
結果として、“しんどさ”は見えないまま積み重なり、ある日突然、動けなくなるということも少なくありません。
「まだ大丈夫」のうちに、立ち止まるという選択
多くの人が、クリニックに来てこう言います。
- 「もっと早く来ていればよかった」
心の不調は、風邪や怪我のように「明らかなサイン」が出にくいこともあります。だからこそ、“なんとなく元気が出ない”という違和感のうちに、自分の状態を確認することが大切です。
受診の目的は「病名をつけること」だけではありません。自分の中で何が起きているのかを整理したり、生活を見直すヒントを得たり、必要に応じて医学的サポートを受けることもできます。
「がんばれない」ことを責めるのではなく、「今の自分に合ったペースってどれくらい?」を一緒に探すための場所でもあるのです。
まずは、自分に問いかけてみてください
- 最近、心から笑った記憶がありますか?
- ひとりの時間に、ほっとできていますか?
- つらいと感じたとき、「つらい」と言える相手がいますか?
もし、どれかひとつでも「うーん」と感じたなら、それは“自分の状態を見直すタイミング”かもしれません。
誰かに助けを求めるのは、弱さではありません。本当の意味での“自分らしさ”を取り戻す、最初の一歩でもあります。
気づかないうちに“しんどさ”が慢性化していませんか?
もしあなたが「元気に見せてはいるけれど、実際にはかなり疲れている」と感じているなら、それは“体調を崩す前のサイン”として非常に重要です。
こうした状態は、放置すると集中力の低下、判断ミスの増加、不眠、体調不良などに繋がることがあります。つまり、表面的にはなんとか日常をこなせていても、内側では既に“赤信号に近い状態”かもしれないということです。
この段階でできる対応策は、いくつもあります。
- 仕事量を見直して、「今やらなくていいこと」を整理する
- スマホやPCなどの刺激を減らし、意識的に脳を休める時間を作る
- 生活リズムの乱れ(寝る時間・食事・入浴)を立て直す
- 信頼できる人や専門家に、現状をそのまま伝えてみる
これらはどれも特別なことではありませんが、「今の自分を守る」うえで有効な方法です。
無理を続けることで状況が悪化すれば、回復までにより時間と労力がかかります。そうなる前に、「いつもと違う」と感じた時点で対応していくことが、結果的には自分を守る一番の近道になります。
メンタルの不調は「頑張りが足りないから」ではなく、「過剰な負荷がかかっているから」起きるものです。だからこそ、早めに立ち止まって修正することは、“正しい判断”のひとつです。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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