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「あの人、サイコパスかも」は本当か?パーソナリティ障害という視点から考える

2025.05.132025.05.13

サイコパス、パーソナリティー障害

パーソナリティ障害という視点から考える

日常の中で、「あの人、ちょっとサイコパスっぽいよね」といった言葉を耳にすることがあるかもしれません。冷淡な態度、共感の乏しさ、平然と嘘をつくような言動などが見られる相手に対して、直感的にそう感じることもあるでしょう。

しかし「サイコパス」という言葉は、医学的な診断名ではなく、むしろメディアやドラマ、あるいはネット文化の中で広まったイメージ先行の概念です。現実の精神科医療では、「サイコパス」という言葉はほとんど使われず、より正確には「反社会性パーソナリティ障害(ASPD)」や「自己愛性パーソナリティ障害」などの診断枠組みで評価されます。

この記事では、「サイコパス」という言葉が何を指しているのか、精神医学ではどう捉えるのか、そして誤解しやすい点について解説していきます。

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「サイコパス」という言葉の由来

もともと「サイコパス(psychopath)」という言葉は、20世紀初頭に欧米の精神科領域で使われていた古い用語です。当初は「反社会的な行動を繰り返す人格傾向」を示すラベルとして使われていましたが、その後、精神医学的な診断体系(DSM)では正式な診断名としては採用されなくなりました。

現在の精神医学では、この概念に近いものとして「反社会性パーソナリティ障害(Antisocial Personality Disorder)」が用いられます。さらに、「冷酷さ」や「共感の欠如」「罪悪感のなさ」といった特徴が強調される場合には、「サイコパシー傾向」という心理特性の研究で扱われることがあります。

精神医学的には「反社会性パーソナリティ障害」

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は、法や社会規範を無視した行動を繰り返すことが中心的な特徴です。具体的には

  • 嘘をつく
  • 他人を操る
  • 衝動的・攻撃的な行動
  • 自分の行為に対する罪悪感が乏しい
  • 持続的な責任感の欠如

こうした傾向が18歳以降も一貫してみられることが診断の要件になります。また、子どもの頃に「素行障害(CD)」の特徴が見られることも重要な診断情報となります。

反社会性パーソナリティ障害(ASPD)は刑務所や矯正施設において高い割合で見られますが、一般社会にも一定数存在します。ただし、すべての「共感性の乏しい人」がこの診断に当てはまるわけではありません。

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サイコパス=暴力的、は誤解

映画やドラマの影響で、「サイコパス=連続殺人犯、暴力的な犯罪者」といった印象が定着していますが、これは非常に誇張されたイメージです。実際には、表面的には魅力的で冷静、非常に論理的な人も多く、むしろ対人操作が巧みで社会的に成功しているケースすらあります。

こうしたタイプは、学術的には「機能的サイコパス(successful psychopath)」と呼ばれることもありますが、これは診断ではなく説明的な用語に過ぎません。

自己愛性パーソナリティ障害との違いは?

「サイコパスっぽい」と感じられる人物には、自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の特徴が混在していることもあります。

  • 誇大的な自己評価
  • 賞賛を強く求める
  • 他者の感情に対する共感の欠如
  • 他人を利用する傾向

などの傾向があり、他者に対して無関心・操作的な面が見られることがあります。

このように、冷淡・無慈悲・共感性の欠如といった特性は、反社会性パーソナリティ障害(ASPD)だけでなく自己愛性パーソナリティ障害(NPD)など他のパーソナリティ障害とも重なり得ます。「○○っぽい」と感じたとき、実際には複数の要素が絡み合っていることが多いのです。

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判断を急がず、「距離感」で対応する

身近に「冷たい」「共感してくれない」「話が通じない」と感じる人物がいると、不安になったり怒りを感じたりすることがあるかもしれません。しかしそのような場合も、「その人はサイコパスだ」と決めつけてしまうことは避けるべきです。

精神科では、人の行動や態度を“診断”するには、継続的な観察や詳細な情報が不可欠です。表面的な態度や一時的な言動だけでは、安易な判断はできません。

実際、「ストレスが強い」「家庭環境に問題がある」「発達特性が関係している」など、冷たく見える背景にはさまざまな要因が隠れていることもあります。

とはいえ、他者の振る舞いによって「自分が傷ついている」と感じるなら、それは無理に理解しようとするよりも、一定の距離をとることが現実的で有効な対応です。

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おわりに「言葉の印象に惑わされない視点を」

「サイコパス」という言葉はセンセーショナルな響きを持ちますが、その実態はパーソナリティの極端な偏りを含んでいることも多く、一部の人に特有の診断特性ではありません。むしろ、誰もが持っている性格傾向の“度合い”の問題と考えるほうが現実に近いと言えます。

他者の言動に違和感を覚えたとき、すぐにラベルを貼るのではなく、「なぜ自分がそう感じたのか」「どのように関わるべきか」といった視点で冷静に向き合うことが、自分の心の健康を守るためにも大切です。

精神科では、心の不調に関連する、このような「他人との関係性の悩み」にも対応しています。無理に我慢をしたり整理をつける必要はなく、「関係に疲れてしまった」「どう対応していいかわからない」「心がしんどい」と感じたときは、専門機関に相談することも選択肢の一つです。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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