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自己肯定感とは何か?心理学的意義と育み方

2025.09.212025.09.21

自己肯定感、心理面・思考

自己肯定感とは何か?

現代社会において「自己肯定感(self-esteem)」という言葉は、教育やビジネス、そしてメンタルヘルスの分野で頻繁に用いられるようになっています。しかし、この概念は単なる流行語ではなく、心理学的に深い背景を持ち、人の成長や幸福感を大きく左右する重要な要素です。ここでは、自己肯定感の基本的な意味や役割、子どもの発達段階における育み方、そして大人になってからの自己肯定感の高め方について、学術的な視点を交えて掘り下げていきます。

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自己肯定感の基本的な理解とは

自己肯定感とは、自分自身の存在を価値あるものとして受け止め、肯定的に評価する心理的感覚を指します。これは単なる「自分を好きである」という感情にとどまらず、「自分には意味がある」「自分にはできることがある」という信念や安心感を含むものです。心理学的には、自己尊重感(self-respect)、自尊感情(self-esteem)、自己効力感(self-efficacy)などと密接に関連しているとされます。

アルバート・バンデューラの社会的学習理論では、目標達成に対して「自分はできる」という確信を自己効力感と呼びます。自己肯定感はこの基盤となる概念であり、挑戦や学習、さらには人間関係の土台を形成します。

自己肯定感が果たす役割と重要性

1. 心の健康を守る働き

自己肯定感が安定している人は、ストレスや挫折への耐性が高いとされています。例えば同じ失敗を経験しても、「自分は価値のない人間だ」と考えるのか、「失敗から学べることがある」と受け止めるのかで、その後の行動や心の回復に大きな差が生じます。心理的レジリエンス(回復力)は、自己肯定感の高さと強く関連しているのです。

2. 挑戦と成長を後押しする

「どうせ自分には無理だ」と考える人は新しい挑戦を避けがちですが、「自分ならきっとできる」と信じられる人は未知の状況にも積極的に取り組めます。この挑戦意欲は、成功体験だけでなく、失敗から学ぶ姿勢を育み、長期的な成長へとつながります。

3. 人間関係を豊かにする

自己肯定感が高い人は、自分を尊重する姿勢があるため、他者の価値も自然に尊重できます。そのため、相互信頼に基づいた関係を築きやすく、対人関係のトラブルが減少します。反対に、自己肯定感が低い人は承認を過剰に求めたり、他者と自分を比較して不安定になったりする傾向があります。

4. 幸福感の向上

ポジティブ心理学の研究によれば、自己肯定感が安定している人は日常の満足度や幸福度が高く、人生全般に対する充実感を得やすいとされています。他人の評価に過度に依存せず、自分の内側から満足感を見出すことができるためです。

5. 目標達成力の強化

自己肯定感は自己効力感と連動し、「できる」という感覚を強めます。その結果、長期的な計画を実行し続ける粘り強さが生まれ、結果的に多くの成功体験を積み重ねることが可能になります。

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子どもの自己肯定感を育てるために

子どもの発達段階では、家庭や学校での関わり方が自己肯定感の形成に決定的な影響を及ぼします。以下に、その重要なアプローチを紹介します。

無条件の受容

子どもが失敗しても叱責するのではなく、「あなたの存在自体が大切だ」と伝えることは、安心感と基盤的な自己価値感を育みます。これは「条件付きの愛情」ではなく、存在そのものを受け入れるという姿勢です。

小さな達成体験の積み重ね

大きな成功を求める必要はありません。「できた」という小さな積み重ねが、子どもの自己肯定感を確実に高めていきます。例えば、絵を描き終えたこと、宿題を自分でやり遂げたことを丁寧に認めることが効果的です。

肯定的フィードバック

「すごいね」だけでなく、「最後まで諦めずに取り組んだね」といった具体的な承認が、子どもの自己評価を正しく育てます。行動や努力の価値を実感できると、内面的な肯定感が深まります。

失敗を肯定する

失敗を「次につながる学び」として扱う姿勢は、挑戦する勇気を保つ鍵となります。「挑戦したこと自体が素晴らしい」という視点を持たせることで、子どもは再び挑戦しようと思えるのです。

自己表現と自主性の尊重

意見を述べる場を与えたり、日常の小さな選択を任せることは、子どもの自立心と自己効力感を高めます。結果として「自分には選ぶ力がある」という感覚が育ち、自己肯定感の強化につながります。

大人が自己肯定感を高めるための実践

大人になってからの自己肯定感は固定されたものではなく、日々の意識や習慣によって高めることが可能です。

自己理解を深める

自分の強みや得意分野をリスト化し、定期的に振り返ることで「自分にはこういう価値がある」と認識できます。これはキャリア形成や人間関係においても支えとなります。

達成可能な小さな目標を設定する

現実的で短期的な目標を立てて達成感を味わうことは、自信を強め、次の挑戦へのエネルギーになります。自己肯定感は「できた」という実感から育まれるのです。

ポジティブなセルフトーク

困難な場面でも「大丈夫、今までやってきたことがある」と自分に声をかける習慣は、内的支えを強めます。逆に否定的な言葉が自己肯定感を削る要因になるため、意識的に言葉を選ぶことが大切です。

過去の成功を思い出す

これまでに達成した経験を振り返ることは、自己の価値を再認識する大きな助けになります。日記や記録を活用すると具体的に自覚しやすくなります。

他者比較から距離を取る

SNSなどの普及によって他人と自分を比較する機会が増えていますが、これは自己肯定感を損なうリスクを高めます。自分自身の歩みを基準にし、比較のループから抜け出すことが安定した自己感を保つ鍵です。

心身のセルフケア

適切な睡眠、栄養、運動は心の安定をもたらし、自己肯定感を高める基盤となります。身体の調子が整うと、自己評価も前向きに変わりやすくなります。

感謝の習慣

1日の終わりに感謝できることを3つ書き出す「感謝日記」は、日常のポジティブな側面に目を向ける習慣を作り、自己肯定感の向上に直結します。

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【まとめ】自己肯定感は一生を通じて育てられる力

自己肯定感は、生まれつき決まっているものではなく、子ども時代の関わり方や大人になってからの意識的な取り組みによって形作られる可変的なものです。自分の存在を肯定的に受け止める力は、精神的な安定や挑戦心、人間関係の質、さらには幸福感にまで影響します。

子どもに対しては無条件の愛情と小さな成功体験を積み重ねることが重要であり、大人にとっては自己理解やセルフケア、感謝の習慣が有効です。人生のどの段階においても、自己肯定感は「育て直す」ことができる資源であり、私たちの生き方をより豊かにする土台となりえます。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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