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ダメなところも可愛い?蛇化現象を心理学的に解説します
2024.05.252024.05.26
蛇化現象、心理面・思考
失敗や短所も、可愛いと思える時
「好きな相手から好意を向けられると気持ちが冷める」という現象は、「蛙化現象」として流行しました。最近では、蛙化現象とは逆に、恋人の失敗や短所を可愛いと思うことが「蛇化現象」と呼ばれ、SNSを中心に流行しています。
蛇化現象は、相手の悪いところも含めて深く理解しようとする心の表れとして、共感する人が多いようです。具体的にはどのような心理によって、蛇化現象が生じるのでしょうか。
本記事では、蛇化現象が起こる原因を心理学的な観点から解説します。
蛇化現象とは?
蛇化現象とは、好きな人なら短所もダメな部分もよくみえてしまう現象で、「蛙化現象」と逆の意味をもつ言葉です。「何もないところでつまずく」「髪がボサボサで寝癖がある」など、他の人なら「ダサい」と思うポイントも、可愛く見えます。
一方で、蛙化現象は、「好きだと思っていた人に好意を向けられると、気持ちが冷めてしまう」という恋愛に関する心理現象です。相手を理想化しすぎていたり、好意に応えられる自信がなかったりすることで生じると考えられます。
蛙化現象が流行するにつれて、「短所を見て冷めるだけじゃなく、可愛いと思うこともある」という意見もあり、SNSを中心に共感する人が増えました。蛇化現象は、蛙化現象の逆として、相手をポジティブに捉え、関係性を大切にしたいという言葉だといえます。
蛇化現象と蛙化現象の違いとは?
蛙化現象は、相手の欠点が目について嫌いになってしまう現象ですが、蛇化現象は、欠点も含めて深く相手を理解しようと思うものです。
恋人のことを完全な存在だと理想化しすぎるのではなく、「人間らしい存在」として付き合っていくことが、蛇化現象の特徴だといえるでしょう。
恋人の欠点を含めて受け入れるには、「自分の嫌なところを認められているか」というポイントが重要です。認められていない場合、相手の嫌なところが見えると「すごく嫌だ」と思いやすいでしょう。自分の嫌なところを相手に見てしまうことがあるからです。
深いレベルで自分をありのままの姿で認められていれば、相手の短所を含めて好きになれるでしょう。
心理学的に見た蛇化現象の3つの心理とは?
相手を深いレベルで認めようとする蛇化現象ですが、人間がもつ判断の偏りや心理現象で起こることがあります。いわゆる「恋は盲目」という状態に近いといえるでしょう。具体的には以下のような心理現象が関係していると考えられます。
- 確証バイアス:好きな気持ちの証拠集めをする
- 気分一致効果:好きなときは何でも許せる
- ポジティブイリュージョン:事実を肯定的に歪めて解釈する
【蛇化現象の心理①】確証バイアス:好きな気持ちの証拠集めをする
恋人に関する情報を、「好き」という気持ちに合うように解釈していることが蛇化現象が起きる原因の1つです。人間には「確証バイアス」という、判断の偏りの傾向があります。確証バイアスとは、自分が得たいと思っている情報だけを得る判断の傾向です。
例えば、「○○さんはA型だから几帳面な性格だ」と思っていたとしましょう。そして、机の上が整理整頓されているのを見ると「さすがA型の○○さんだ」と思うのではないでしょうか。
机の上がきれいだからといって、几帳面だと判断するのは、情報が足りないといえるでしょう。他の場面ではだらしないところがあるかもしれません。
このように、自分が思っていることを裏付けるような情報ばかりを集めがちな傾向を、確証バイアスといいます。
恋愛関係においても、相手のことを好きだと思うような情報を集めがちになるため、短所もよく見えるということが起きるのです。
確証バイアスは、自信がないときに生じやすくなります。そのため、確証バイアスによる蛇化現象は、「相手のことを好きじゃない気がするあるいは、嫌いになってしまうかもしれないので、好きだと思おう」という不安を埋めるための行動だといえるでしょう。
【蛇化現象の心理②】気分一致効果:好きなときは何でも許せる
気分一致効果は、気分が良いときには物事の良い面が見えやすく、悪いときには悪い面が見えやすいという傾向のことです。物事の判断は気分に影響されやすいという特徴をあらわすもので、以下のような例が挙げられます。
- 機嫌がいいときは許せても、悪いときは許せない
- 仕事が上手くいっていないときに仕事の話をされると不快に感じる
- 楽しい気分のときには楽しい記憶が思い出される
恋愛関係においては、相手の欠点や悪い部分も、「好き」という気分に影響されてポジティブに評価されやすいといえます。ただ、好きな気持ちが冷めてしまうと、他の人と同じような欠点にしか見えなくなってしまうでしょう。
【蛇化現象の心理③】ポジティブイリュージョン:事実を肯定的に歪めて解釈する
ポジティブイリュージョンとは、事実をありのままではなく、肯定的かつ楽観的に捉える傾向を指します。事実とは少し異なる解釈をする傾向ですが、精神的な健康に繋がることが特徴です。
恋愛関係においても、カップル同士がポジティブイリュージョンを抱きやすいことが分かっています。相手のことを自分よりも良く評価する傾向があり、とくに外見や頭の良さを好意的に捉えやすいことが特徴です (※)。
相手を好意的に捉えると、「そんな人と付き合っている自分も良い存在だ」と自信を高めることにもなります。自信を保つために、相手の短所も「可愛い」と評価しやすいと考えられるでしょう。
※大学生の親密な関係性におけるポジティブ・イリュージョンの研究結果より
蛇化現象は「幸せな偏り」
蛇化現象は、蛙化現象とは反対の意味を持つ言葉で、恋人のダメなところを好意的に捉える現象を指します。相手のことを深いレベルで受け入れようとする心の表れですが、一方で、判断の偏りや歪みから生じている可能性もあります。
しかし、蛇化現象には、「悪い部分も含めてあなただから好きなんだ」というポジティブなメッセージがあり、2人の関係を温かくするものです。判断の偏りから生じているものでも、「幸せな偏り」だといえるのではないでしょうか。
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