SNSと心の疲れ「なぜ“見ているだけ”なのに消耗するのか」について名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院が心療内科ブログで紹介

名古屋駅徒歩0分

大人のための
メンタルクリニック

公式ブログ

SNSと心の疲れ「なぜ“見ているだけ”なのに消耗するのか」

2025.05.092025.05.10

デジタルデトックス、SNS依存症・SNS中毒

SNSと心の疲れとは

スマートフォンを手に取り、何気なくSNSを開く。投稿を「見ているだけ」なのに、気がつけばなんとなく疲れている。そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。SNSは情報収集や人とのつながりに役立つ一方で、心理的なストレスの要因にもなりえます。

本記事では、「なぜSNSを眺めているだけで心が疲れてしまうのか」という現象について、心理学・精神医学的な視点から掘り下げていきます。

名古屋,名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

SNS疲れの背景にある心理メカニズム

まず理解しておきたいのは、SNSは情報の洪水であるということです。InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどは、常に新しい投稿が流れ続け、脳が次々と情報を処理する状態になります。情報処理の負荷が蓄積すると、脳の疲労感として現れます。

さらに、人間の脳は「比較」に敏感です。SNSでは、他人の成功・幸福・美しさなどが強調された投稿が多く、自分との違いに自然と目が向いてしまいます。こうした「無意識の比較」は、自己肯定感の低下や焦燥感を引き起こします。これは「比較による相対的剥奪感」とも呼ばれ、社会心理学でよく知られている現象です。

また、「自分も何か発信しなければ」という圧力や、「いいね」の数によって評価される感覚も、精神的な疲弊を生み出します。たとえ投稿していなくても、「見られている」「取り残されているかもしれない」といった感覚がプレッシャーとして作用するのです。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック

スクロールするだけで「監視社会」を内面化する

SNSは双方向のメディアですが、特に現代の日本社会では「他人の目を気にする」傾向が強いとされています。これには文化的な背景も関係しており、同調圧力や「空気を読む」価値観が日常に深く根付いています。

SNS上では、誰が見ているかわからないという不確実性が、「常に見られているかもしれない」という意識を強化します。心理学ではこれを「監視の内面化」と呼ぶことがあります。本来、監視は外部からの行為ですが、SNSではユーザー自身が“見られる存在”として自分を演出するようになり、自発的に自己検閲を行うようになります。

その結果、何気ない行動や投稿にまで気を遣い、「うっかり叩かれるのでは」と不安になる人も増えています。このようなストレス状態が続くと、慢性的な緊張感や情緒不安定につながることもあります。

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院

「楽しさ」と「疲れ」が共存するSNSの構造

SNSがやっかいなのは、「楽しいからこそやめられない」構造をしていることです。アルゴリズムによって最適化されたコンテンツは、報酬系(ドーパミン系)を刺激し、快感や興味を生み出します。しかし、脳が興奮状態を維持しすぎると、その反動で疲労や無気力が生じやすくなります。

さらに、時間感覚の喪失も問題です。5分だけ見るつもりが、気づけば30分、1時間…。睡眠前の長時間使用は、睡眠の質を下げ、翌日の気分や集中力に影響を与えることもわかっています。メンタル不調とSNSの利用過多は、相互に影響し合う悪循環に陥りやすいのです。

土日も診療の名古屋にある心療内科,精神科,メンタルクリニック

SNS疲れが引き起こすメンタル面の問題

近年では、SNSの使用と関連するメンタルヘルスの問題として以下のようなものが報告されています。

  • 抑うつ症状(特に若年層で顕著)
  • 不安感・社交不安の増加
  • 睡眠障害
  • スマホ依存・SNS依存
  • 自己評価の低下
  • 疎外感・孤独感の増加

特に思春期や20代前半では、自己形成が進む時期であるため、SNSがアイデンティティや人間関係に大きな影響を与えます。見えない比較や過剰な演出の世界に接し続けることで、「ありのままの自分」に自信が持てなくなってしまうことも珍しくありません。

名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院

心のバランスを保つためにできること

SNSそのものが悪いわけではありません。重要なのは、「どう付き合うか」です。以下のような工夫が、心の疲れを軽減する助けになります。

  • 使用時間を決める、タイマーを活用する
  • 寝る前1時間はSNSから離れる
  • フォローするアカウントを見直す(ポジティブな影響を与えるものに)
  • 自分の感情に気づく習慣を持つ(SNSのあとに「どんな気分か」を自覚する)
  • ときどきSNS断食(デジタルデトックス)を試みる

心療内科では、SNS疲れや情報過多による不調についても相談が可能です。「なんとなく疲れている」「何もしていないのに気分が落ちる」といった症状が続くときには、精神科的な評価や支援が役立つこともあります。

▶デジタルデトックスに関する紹介はこちら

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院

まとめ

SNSは、現代人の生活に欠かせないツールであると同時に、見えにくいストレスの源にもなり得ます。ただ「見ているだけ」でも、無意識のうちに比較・監視・緊張を生み出し、心を消耗させてしまうことがあるのです。

SNSと上手に付き合うには、「距離感」が鍵になります。すべてを断つ必要はありませんが、必要に応じて立ち止まり、心の反応を振り返ること。そうした習慣が、日々のメンタルバランスを整える第一歩になります。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋市栄の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋市金山の心療内科,精神科,メンタルクリニック津島市,清須市,稲沢市からも通院しやすいあま市の心療内科,精神科,メンタルクリニック

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、
まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

たくさんの方が
悩みを抱えて来院されています。

ご紹介している症状以外でも、「こんなことで受診していいのかな…」 と迷ったらまずは一度お気軽にお電話ください。