名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院が親身になりすぎると疲れてしまう?「共感疲労」の原因と対策方法とは?について解説

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親身になりすぎると疲れてしまう?「共感疲労」の原因と対策方法とは?

2024.05.232024.05.26

共感疲労、バーンアウト・燃え尽き症候群、心理面・思考、HSP

力になってあげようと関わって、疲労がぐっと高まってしまう時

  • 「頑張って友達の愚痴を聞いていたけど、つらくなってきた…」
  • 「病気になった家族を励ますことに疲れてきてしまった…」

というように、誰かを励ましていると徐々に疲れが溜まってきてしまうということはありませんか。初めは「力になってあげたい」と思っても、関わっているとストレスがたまり、心身のバランスを崩してしまうことがあるでしょう。

また、戦争や事故のニュース映像を見て、悲しい気持ちになってしまうこともあるのではないでしょうか。自分が経験したことでなくても、同じようにつらい気持ちになってしまうのです。

他人に共感して疲れてしまう現象を「共感疲労」と呼びます。相手が感じているつらい気持ちが伝染してしまい、ストレスに感じてしまうものです。SNSが発達し、情報が多い現代では、共感疲労が起きやすくメンタル不調の原因になることがあります。

本記事では、共感疲労が起きるメカニズムやメンタル不調との関係性、対策方法について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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共感疲労とは?

共感疲労とは、看護師や介護職などの対人援助職が抱えるストレスを説明する言葉として使用されている時もありました。対人援助職では、病気で不安定な状態の方を支える必要がありますが、影響を受けてストレスを抱えやすいといえます。

人手が足りずに理想とするケアができなかったり、言うことを聞いてくれない患者にイライラしてしまったりすることがあるでしょう。相手に思いやりをもって接しようとしても、思うようにいかずにストレスを抱えてしまうのです。

こういったことは、対人援助職に限らず、一般の人にも当てはまる現象だといえます。以下のように、気力がなくなったり、眠れない日が続いたりするなどの精神症状があらわれた場合は、対処が必要です。

【共感疲労による症状例】

  • 身体の不調:体がだるい、食欲が低下する、頭痛がある
  • 睡眠の問題:寝つけない、熟睡感がない
  • 気分の変化:ちょっとしたことでイライラする、すぐに落ち込む
  • 活動性の低下:仕事や外出が億劫になる、趣味を楽しめなくなる
  • 自信の喪失:自信を持てなくなる、人から必要とされていないように思う

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共感疲労を起こすメカニズムと原因とは?

共感疲労は、次のような出来事があると起こりやすいでしょう。

  • 周りの人からつらい話をたくさん聞いたとき
  • 身近な人が病気や事故などの不幸にあったとき
  • 戦争や事故などの悲惨なニュースを見たとき

自分が経験したつらい出来事ではなくても、見聞きすることで共感してしまうのが共感疲労が起きるプロセスです。具体的には、どのようなメカニズムで起きるのでしょうか。「情動感染」と「ストレスホルモンの増加」という2つのプロセスが関係しています。

情動感染:感情が「感染」して共感が起こる

共感が起こるプロセスの1つとして、相手の感情が「感染」する無意識的な働きが特徴です。「情動感染」と呼ばれる現象で、脳内の「ミラーニューロン」という神経細胞の働きが影響しています。

ミラーニューロンは、他人が行動すると自分も同じ行動をしたかのように反応する脳領域のことです。共感に影響しており、悲しい話を聞くと悲しみに関する脳領域が活動するといったプロセスが生じます。意識せずに活性化するため、無意識的に共感が生じることが特徴です。

ストレスホルモンの増加:無意識的に共感してストレスを感じる

ストレスを感じている人を見ると、26%の人が「コルチゾール」というストレスホルモンの量が増加したという実験結果があります。とくに、恋人に対しては40%の人がストレスを感じており、関係性によってもストレスの程度が変わることが特徴的です(※)。

ネガティブな感情を経験している人を目にするだけでも、ストレスによる反応が起きてしまうといえるでしょう。「相手につられて笑った」というように、ポジティブな感情だとよいのですが、ネガティブな感情が伝染するとストレスを感じやすいのです。

※参考:Veronika Engert et al.(2014)Cortisol increase in empathic stress is modulated by emotional closeness and observation modality

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HSPだと共感疲労になりやすい?

HSPとは、感受性が高く刺激に敏感な「環境感受性」という性質をあらわす言葉です。HSPは他人に共感してしまいやすく、共感疲労に陥りやすいといえます。具体的には、「感受性の強さ」と「他人に気を遣いすぎる」といった側面が共感疲労を引き起こすといえるでしょう。

特徴①:繊細で感受性が強い

繊細で傷つきやすい性質をもっていると強く共感しやすいでしょう。相手のつらかった話を聞いているうちに、過去のトラウマを思い出して同じようにつらくなってしまうことがあります。相手の体験は自分の体験と似ているところもありますが、完全に同じではありません。自分と相手の話を分けて聞くように意識することで、つらさを軽減できるでしょう。

特徴②:他人に気を遣いすぎる

自分よりも他人を優先し、思いやりを持って接する人は、「何とかしてあげたい」と思いやすいでしょう。必要以上に相手のことを考えてしまい、自分の限界以上のことをしようして疲れてしまうことがあります。自分にできる範囲のことで応えていくという姿勢が大切でしょう。

共感疲労に関係する2つのメンタル不調

共感疲労は、慢性化して放置しておくと、メンタル不調に影響する場合があります。どのようなメンタル不調と関係があるのでしょうか。

メンタル不調①:PTSD

PTSDとは、事故や災害、虐待などの命の危機にさらされた後に生じるストレス障害です。出来事が何度も思い出されたり、必要以上に警戒して心身が緊張したりするなど、つらい記憶に影響されて症状が起こります。

共感疲労は、「二次的外傷性ストレス」というPTSDに似た症状が関連していることがあるでしょう。二次的外傷性ストレスとは、命の危機に瀕したトラウマ体験をもつ人たちを援助する人にも、二次的にトラウマに関する症状が生じることです。

災害や事件の被害者をサポートする職種の人に生じるものとされていますが、日常でも起こりえます。例えば、戦争のニュースを何度も目にすると、トラウマ体験を受けた人たちと間接的に接しているような気持ちになるでしょう。

最近では、SNSをはじめとして、さまざまな媒体で情報を得られます。無意識的にショックなニュースに触れてしまうこともあり、PTSDのような症状が生じる可能性があるのです。

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メンタル不調②:バーンアウト

共感疲労と関連が深いメンタル不調として、「バーンアウト」が挙げられます。バーンアウトとは、燃え尽き症候群ともよばれ、熱心に仕事をしていた人が急にやる気を失ってしまう現象です。

「辛い状況にある家族や友達を支えたい」と思っていても、毎日のように接していると疲れてしまうことがあるでしょう。「全然良くならない」「自分が十分に世話できていないのでは」など、思うようにいかないことがあります。

ストレスを感じながら葛藤する中で、エネルギーがなくなり、バーンアウトになってしまうのです。バーンアウトになると、やる気が湧かず、食欲が落ちるなどうつ病に似た症状がみられます。心療内科や精神科を受診し、適切な治療が必要です。

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共感疲労を防ぐ「共感」とは?

共感疲労はストレスを増大させるだけでなく、メンタル不調にも関連します。できるだけ疲労しない共感を目指していくことが、心身の不調の予防になるでしょう。では、具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

人に対して共感することは、人間関係を円滑にするために必要不可欠なプロセスです。そのため、共感を止めるのではなく、負担にならない共感を身につけていくとよいでしょう。

ポイント①:共感のバランスが重要

共感には、「情動的共感」と「認知的共感」があります。情動的共感は、情動感染に近いもので、相手の感情を自分の感情かのように感じるプロセスです。一方で、認知的共感は相手の立場や視点から感情を理解するという違いがあります。

例えば、相手が悲しくて泣いているときに、自分まで悲しくなるのが情動的共感です。そこで、「悲しいから泣いているんだな」「どうして泣くほど悲しいんだろう」と感情を理解しようとするのが認知的共感といえます。

2つの共感プロセスのバランスが大切であり、情動的共感に偏りすぎることで共感疲労が起こるといえるでしょう。

ポイント②:相手の全てを理解しようとしない

共感のバランスを保つには、相手の感情との境界線を意識することが大切です。境界線があいまいだと、相手の気持ちを基準に考えてしまいがちになります。その結果、相手の全てを理解しないといけないように感じてしまうかもしれません。

相手の全てを理解する必要はありませんし、100%共感することは難しいでしょう。「相手と自分は違う存在だ」と認識しつつ、「自分が相手の立場だったらどう思うだろう?」と認知的共感を働かせていくと、距離を保った共感ができます。

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共感のしすぎには治療が必要な場合もある

共感能力は、人間に備わった大切な社会的スキルの1つです。しかし、身近でストレスを感じている人に接するときには、共感性が仇となってストレスを大きく感じて受けてしまうことがあります。

また、悲惨なニュースを見聞きするだけでも、トラウマが刺激されて、心身のバランスを崩すケースもあるでしょう。共感しすぎてしまい、うつ症状や睡眠の問題が生じている場合は、精神科や心療内科を受診して、適切な治療を受けることをおすすめします。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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