土日も診療,名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニックが大人の癇癪|怒り感情の爆発、発達特性との関連について解説

名古屋駅徒歩0分

大人のための
メンタルクリニック

公式ブログ

大人の癇癪|怒り感情の爆発、発達特性との関連とは

2025.04.042025.04.05

間欠性爆発性障害、自閉症スペクトラム・ASD、マインドフルネス、大人の発達障害・ADHD

「大人の癇癪」その怒り、ただの性格じゃないかもしれません

このような「怒り」ありませんか?

  • 「ちょっとした一言で激怒する上司」
  • 「子どもに怒鳴ったあと自己嫌悪に陥る自分」
  • 「昔はこんなに怒りっぽくなかったのに」と感じる方へ

「ちょっとした一言で激怒する上司」「子どもに怒鳴ったあと、自己嫌悪に陥る自分」そんな経験はありませんか?怒りっぽさは性格のせいだと片づけられがちですが、実はその裏に、心の状態や脳の働きが影響している場合もあるのです。

たとえば、「昔はこんなに怒らなかったのに」と感じている方、それは加齢やストレスの蓄積、ホルモンバランスの変化、あるいは発達特性による「感情のコントロールの難しさ」が関係しているかもしれません。

怒りは本来自然な感情ですが、頻度や強度が日常生活に支障をきたすほどになると、自分も周囲も苦しくなります。この記事では、大人が癇癪を起こす背景や原因、そして対処法について、心理学や脳科学の視点も交えてやさしく解説していきます。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック

癇癪とは?大人にも起こる“感情の爆発”

  • 癇癪の定義(突発的な怒りや攻撃的な行動)
  • 子ども特有と思われがちだが、大人にも見られる
  • 家庭内や職場など、安心感がある場所で表れやすい
  • 周囲との人間関係・仕事・家庭でのトラブルにつながることも

「癇癪(かんしゃく)」という言葉を聞くと、子どもが泣きわめいたり、物を投げたりする様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、癇癪とは、大人にも起こりうる“感情の爆発”です。

癇癪とは、強い怒りやイライラが突発的に噴き出し、怒鳴る、暴れる、物に当たるといった攻撃的な行動につながる状態を指します。一時的に我を忘れてしまうことが多く、本人も後で激しく後悔したり自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。

特に家庭内や職場など、安心感がある場所で表れやすい傾向があり、配偶者や子ども、部下など親しい関係にある人ほど被害を受けやすいのが特徴です。

このような癇癪は、周囲との信頼関係を壊し、仕事や家庭でのトラブルの原因にもなりかねません。単なる性格や気分の問題と片づけず、「どうしてこうなるのか?」と立ち止まって考えることが、解決への第一歩になります。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック

その怒り、発達特性が関係しているかも?

  • ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)との関係
  • 「我慢がきかない」「思った通りにならないと爆発する」などの傾向
  • 本人も「なんでこんなに怒ってしまうのか」と悩んでいることが多い

大人の癇癪の背景には、発達特性が関係していることがあります。特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)といった発達障害の特性を持つ人は、感情のコントロールが難しい場合があります。

たとえば、ASDの人は予測できない変化や想定外の出来事に強いストレスを感じやすく、「思った通りにならない」ことがきっかけで感情が爆発することがあります。一方、ADHDの人は衝動性が高く、「我慢する」「待つ」といった行動が苦手なため、イライラや怒りを一気に表出してしまう傾向があります。

癇癪を起こす本人も、「なぜ自分はこんなに怒ってしまうのか」「後悔してもまた繰り返してしまう」と、悩みや自己否定感を抱えているケースが多くあります。単なる性格の問題ではなく、脳の働きや特性に基づいた行動である可能性もあるため、早めに気づき、理解を深めることが大切です。

名古屋,名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

癇癪が「病気の可能性」もある

  • 間欠性爆発性障害(IED)との違い・類似点
  • 専門家に相談する目安とは?
  • 「怒りすぎてつらい」は相談のサイン

癇癪は性格やストレスのせいと思われがちですが、実は「病気」の可能性もあります。たとえば、間欠性爆発性障害(IED)は、ちょっとしたことで激しく怒鳴ったり物を壊したりするなど、コントロールできない怒りの爆発が繰り返し起こる疾患です。本人も後悔や苦しさを抱えることが多く、単なる癇癪とは異なる病気としての区別がなされています。

また、大人の癇癪に大人の発達障害からくる衝動性と怒りが見られることがあり、専門家でなければ判断が難しいケースもあります。さらに、双極性障害の躁状態や、うつ病のイライラ感など、発達障害(ADHD・ASD)の特性や間欠性爆発性障害(IED)以外にも様々な精神疾患が背景にある場合もあるのです。

怒りが日常生活に支障をきたし、「怒りすぎて自分でもつらい」と感じたら、それは心のSOSかもしれません。まずは精神科や心療内科など専門家に相談してみることが大切です。

▷「間欠性爆発性障害」に関する記事はこちら

▷「間欠性爆発性障害(IED)と家庭、仕事、自己理解について」の記事はこちら

怒りのメカニズムと癇癪の違い

  • 怒りの種類(認知の介在あり/なし)
  • 感情調整と行動制御の視点から見る癇癪
  • 癇癪は、怒りの「ピーク」をうまく乗り越えられないことから起こる

「怒り」は、人が何か不快なことや理不尽な状況に直面したときに自然に湧き上がる感情です。しかし、その怒りには種類があります。

  1. 瞬間的に反応する“認知の介在しない怒り”(たとえば、足を踏まれてとっさに怒鳴る)
  2. 過去の記憶や思考が影響する“認知の介在する怒り”(たとえば、「あの人にバカにされた」と考えて怒る)

です。

私たちは通常、この怒りを「感情調整」と「行動制御」によってコントロールしようとします。

しかし、癇癪とは、この調整と制御のプロセスがうまく機能しない状態を指します。怒りのピーク(多くは数秒〜数分)をやり過ごすことができず、爆発的に言動へと現れてしまうのです。つまり癇癪とは、怒りという感情そのものではなく、その感情に振り回され、適切に表現できない状態ともいえます。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック

癇癪をコントロールするためには?

癇癪を完全になくすことは難しくても、コントロールする方法はあります。まず大切なのは「怒りは自然な感情」であると認識すること。そのうえで、怒りに任せて行動してしまう前に、一呼吸置けるようなスキルを身につけることが有効です。たとえば、怒りがこみ上げてきたときには、その場から一旦離れる、深呼吸をする、6秒数えるなどの方法が有効だとされています。

また、怒りの「きっかけ」や「パターン」を振り返ることも役立ちます。「どういう場面で癇癪が起きやすいのか」を知ることで、対処の準備がしやすくなります。加えて、アンガーマネジメント(怒りの感情を適切に扱うための心理トレーニング)を学ぶことも効果的です。定期的な睡眠や食事、運動といった生活習慣を整えることも、感情の安定には欠かせません。

怒りをコントロールする力は、練習によって育てることができます。まずは「怒りの存在に気づくこと」から始めてみましょう。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック

癇癪に悩んだらどう対処すればいい?対処法について

癇癪に悩んだとき、感情を「抑え込む」のではなく「上手につき合う」ことが大切です。その鍵となるのが、怒りの感情を理解しコントロールする心理トレーニング「アンガーマネジメント」です。怒りがピークに達するのは6秒程度とされており、この「怒りの6秒ルール」に乗っ取り、まずは反射的な行動を止めることが第一歩です。

具体的な対処法としては、次の5つが効果的です。

  1. 怒りを数値化する➡0〜10段階で怒りの強さを自己評価し、冷静な視点を取り戻します。
  2. その場を離れる➡怒りの対象から物理的に距離を置くことで、衝動的な反応を避けられます。
  3. 深呼吸をする➡副交感神経を刺激し、心と体の緊張をほぐします。
  4. 意味づけ・認知の修正➡相手の言動をネガティブに解釈しすぎていないか、見方を変えてみましょう。
  5. 「今」に意識を向ける(マインドフルネス)➡過去や未来にとらわれず、今ここに集中することで感情の波に飲み込まれにくくなります。

これらは誰でも実践可能なシンプルな方法ですが、継続して取り組むことが効果のカギです。日々の中で意識して練習することで、癇癪のコントロールが少しずつ可能になっていきます。

▷「マインドフルネス」に関する記載はこちら

自分や周囲の癇癪とうまく付き合うために

  • 癇癪を責めず、まずは理解する姿勢
  • 家族・パートナー・職場でできる配慮
  • 一人で抱え込まず、心理士や支援機関を活用しよう

癇癪に悩む人を前にすると、つい「なんでそんなに怒るの?」と責めたくなったり、「また始まった」と距離をとりたくなったりするかもしれません。しかし、癇癪は単なる“わがまま”や“性格の問題”ではなく、心のキャパシティや脳の特性に深く関係していることがあります。まずは、怒りの背景にある本人の困りごとや苦しさを理解しようとする姿勢がとても大切です。

家族やパートナー、職場の同僚など、近しい人が癇癪を起こしやすい場合には、「刺激を減らす」「安心できる空間をつくる」など、環境調整が効果的なこともあります。また、当事者自身も「怒りやすい自分」を否定せず、「なぜそうなってしまうのか?」を少しずつ見つめていくことが、感情を整える第一歩となります。

そして何より、「怒りに悩んでいる」という状態そのものが、すでに支援を受ける十分な理由です。心理療法や支援機関、医療機関を利用するのは、弱さではなく「自分や大切な人を大事にする力」です。怒りをめぐる問題は、一人で抱え込まず、支え合いながら向き合っていきましょう。

名古屋,名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック

【まとめ】怒りは「敵」ではない。正しく向き合うために

  • 癇癪も“感情のSOS”ととらえよう
  • 対処法を知ることで人間関係や自己理解が変わる
  • 怒りをきっかけに、自分の心を見つめなおす機会に

大人の癇癪は、「性格が悪い」「我慢が足りない」といった単純な話ではなく、心の疲れや脳の特性、ストレスの蓄積など、さまざまな要因が絡み合って起こるものです。「また怒ってしまった…」と自己嫌悪に陥る前に、自分の怒りに気づき、向き合うことが大切です。怒りは悪い感情ではなく、適切に扱えば大切なメッセージにもなりえます。

癇癪が頻繁に起こり、日常生活や人間関係に支障をきたしている場合、自分ひとりで抱え込まず、専門家に相談することを検討してみましょう。精神科や心療内科、または発達障害を専門とするクリニックでは、怒りや衝動性に関する相談を受け付けています。癇癪の背景に発達特性やストレス、心の病気(うつ病双極性障害など)が隠れていることもあるため、正確な診断とアドバイスが不可欠です。

また、精神療法、そしてアンガーマネジメントや認知行動療法といった心理的なアプローチや環境の見直しなどによって、「怒りを感じたときの思考の癖」や「行動パターン」を見直すことも効果的です。「癇癪は性格のせい」と思い込んで苦しむのではなく、「対応できるスキルを学ぶことで変えていける」と知ることが、前向きな第一歩になります。

名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋駅の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋市栄の心療内科,精神科,メンタルクリニック 名古屋市金山の心療内科,精神科,メンタルクリニック津島市,清須市,稲沢市からも通院しやすいあま市の心療内科,精神科,メンタルクリニック

野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、
まずは一度ご相談ください

一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください

たくさんの方が
悩みを抱えて来院されています。

ご紹介している症状以外でも、「こんなことで受診していいのかな…」 と迷ったらまずは一度お気軽にお電話ください。