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「安全基地」がハイリー・センシティブ・パーソン(HSP)の生きづらさを和らげる
2021.04.132022.06.08
HSP
非常に繊細な気質のため生きていくうえでしんどい思いをすることが多いハイリー・センシティブ・パーソン。ハイリー・センシティブ・パーソンの幸せを左右する大きな存在のひとつに「安全基地」があります。
この記事では、ハイリー・センシティブ・パーソンと不安定な愛着、安全基地についてのお話をします。
心理社会的過敏性が特に生きづらさと結びつく
ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person; HSP)の過敏には、大きくは2種類あります。ひとつが大きな音が苦手、服のチクチクした肌触りが嫌という神経学的過敏性です。もうひとつは、人の顔色が気になったり、人からの言葉に傷つきやすいという心理社会的過敏性です。神経学的過敏性と心理社会的過敏性の社会への適応度との関連性は同じぐらいです。しかし、生きづらさや幸福度については、心理社会的過敏性のほうが神経学的過敏性よりも強く関連していることが分かっています。そのため、生きづらさや幸福度を改善するうえで、心理社会的過敏性は非常に重要になると言えます。
心理社会的過敏性と不安定な愛着との関連
心理社会的過敏性を考えるうえで大切なのが、愛着です。
愛着とは、特定の重要な人たちとの絆のことです。一般的に、子どもであれば親との絆になります。子どもの頃に親に助けを求めた時にしっかり守ってもらえると、親に対して安心感と信頼感を持つようになります。これを繰り返すことで、愛着の基盤ができるのです。子どもの頃は親が自分を守り支えてくれる「安全基地」でしたが、大人になるにつれて恋人や配偶者などのパートナーが「安全基地」となります。
ただ、昔は助けを求めたら助けてもらえたのに、助けを求めてもかまってもらえない状況に置かれると、愛着が不安定になります。どうにかして愛情を取り戻そうとして、しがみついたり、攻撃したり、困らせたり、とにかく必死に大騒ぎします。そうして、愛情や関心を得ようとするのです。このようなタイプを愛着不安と言います。かつて自分が愛されなくなった経験をしたため自分が相手に受け入れられているかを過剰に気にしてしまい、人の顔色や言葉に敏感なってしまうのです。
過敏性による生きづらさを和らげるには
過敏性による生きづらさを和らげるには、自分の愛着や安全基地について見つめ直す必要があります。
まず、特に大人の愛着関係に言えることですが、愛着は一方的なものではありません。自分が相手を大切に想うように、相手も自分を大切に想うからこそ、愛着関係は成立します。もし、相手が自分に関心を向けてくれていないように見えたとしても、それは自分が相手に押し付けすぎているから、相手が引いてしまっているということもあり得ます。安全基地を壊してしまう代表的な行動例が、相手にダメ出しして責めてしまう行動です
何を言ってももう相手が変わってくれないから無理だ…と思うかもしれません。特に、過敏性の人は白か黒かで考えやすいため、ちょっとでも愛情を相手から感じられなくなったらもう相手は自を嫌いになったと思いやすいです。しかし、自分の態度や考えを変えたら案外パートナーとの関係が変わるということは珍しいことではありません。
このことを抑えたうえで、まずは口癖を変えてみることをおすすめします。それというのも、返報性という言葉が心理学にはあるからです。返報性とは、親切な行動をされたら親切なことを返してあげたい、悪いことをされたら仕返ししたくなるといったお返しの原理のことです。
返報性はとても広い概念で、「イエス」と言ってくれる相手には自分も「イエス」と言う発言が多くなるという現象にも当てはまります。逆に、「違う」、「そうじゃない」という言葉を多く言われると、それが自分のことを言われたわけではなかったとしても、相手は嫌な感じを受けます。そのため、ポジティブな表現に変えると、パートナーとの関係が上手くいきやすいです。例えば、何か手伝ってほしい場合は「何でしてくれないの」ではなく、「それをしてくれると嬉しいな」という表現に変えるといった具合です。
まとめ
HSPというと音などの刺激への過敏性がすぐにイメージしやすいですが、生きづらさや幸福度に特につながるのは心理社会的過敏性のほうです。
心理社会的過敏性による生きづらさを和らげるには愛着や安全基地がキーワードとなります。パートナーとの関係が上手くいかなくなると、HSPの人は必死に相手からの愛情を取り戻そうとしがみついたり、時に攻撃的になったりすることもあります。しかし、それは逆効果となることもあるのです。相手に求めすぎているから、相手が引いてしまっているということもあります。自分の態度や考えを変えてみると、案外上手くいくことが多いです。その手始めとして、まずは話し方をポジティブなものに変えてみることをおすすめします。
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