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コロナ不安
2021.04.132022.06.08
新型コロナ感染症、不安障害・不安症
こんにちは。ひだまりこころクリニック名駅エスカ院です。
前回に引き続き、新型コロナウイルス(COVID-19)が引き起こす心の問題について、専門的な観点からわかりやすく解説していきたいと思います。
今回のテーマは「コロナ不安」。新型コロナウイルスに特有のストレスからくる不安の正体や、その対抗策についてご紹介していきます。
新型コロナウイルス感染症の心理・社会的影響
今回の感染症の流行期や、自然災害の発生時といった緊急事態はいつもストレスに満ちたものです。緊急事態で影響を受けた人々に見られる心の反応には、以下のものがあります。
・病気になることや死ぬことへの恐怖を感じる
・仕事ができなくなったり、解雇されることへ恐怖を感じる
・大切な人を失うのではないかという不安が高まる
・隔離によって生じる無力感、倦怠感、孤立感、抑うつ など
これらは、健康な人にも普通にみられる一般的な反応だと言われています。
さらに、今回の場合は、新型コロナウイルス感染症特有のストレス因も多く、上にあげた例に加え、次のような心の反応がうまれやすいと言われています。
・自分が知らない間に感染しているのではないかという不安が高まる
・相手にうつしてしまうのではないかという不安が高まる
・風邪などの症状もコロナウイルスによる症状ではないかと過度に気にする
・自身の休業による経済的な不安や自己効力感のゆらぎが生じる
・配偶者の休業による経済的な心配が生じる
・子どもの休校による学習面や子育ての心配が増す など
「コロナ不安」という、なんだかモヤモヤしたとらえどころのない言葉には、人々が抱える、行き場のない不安や心配がよく表れていると感じます。
「コロナ不安」に飲み込まれないためにできること
わたしたちは、不安や恐怖、怒りなどの不快な感情を抱くと、さまざまな方法で解消を試みるといわれています。これまでは、さまざまな不安や葛藤に直面しても、仕事に邁進したり、趣味を楽しむことで自然と気持ちの整理がついていた方も多いのではないでしょうか?仕事や遊びを通して、葛藤を解消するのは健康的な心のありようだと言われています。
ところが、コロナ禍では、日に日にストレスが増えていく一方で、行動の制限は多く、いつものやり方で不安や葛藤を解消できない状況が続いています。このような状況下では、普段は上手く解消できていた不安や葛藤が未消化のまま残りやすく、不適切な解消法を取りがちです。例えば、政府や感染者に対する過度なバッシングや差別は、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じた自身の心の葛藤を、別の人や物に向けることで解消しようとする方法です。DVや虐待はその最たるものと言えるでしょう。
また、外出自粛に協力せず出歩きを繰り返すのは、葛現実そのものから目をそむける解消法と考えられます。こうした方法は、周囲を巻き込むだけでなく、後々の罪悪感やさらなる葛藤の元になるもので不安の解消法としてはとても非効率です。
では、不安や葛藤はどう解消していけばいいのでしょう?気持ちの整理の付け方は、人によってそれぞれですが、ここではいくつかの方法をお伝えしたいと思います。
1. 正しい知識を取り入れ、知識的に状況を理解する
緊急時における多くの心理的反応や行動は、知識の欠如やデマ、誤報によって生じる、とも言われています。不確かな情報に振り回されない、不確かな情報をふりまかないことが大切です。一方で、裏を返せば、受け入れられない状況や気持ちも、ある程度は知性の働きによってコントロールすることが出来ます。そのためには、正しい情報を取り入れ、状況や見通しを理屈で理解することが大切。「コロナの感染経路や予防法について知る」「自分なりに収束の見通しを持つ」「利用できる補償や制度を調べ備える」といった行動がこれに当てはまります。
2.他人の良さに気付き、自分に取り入れる
緊急事態においては、さまざまな形で他人の新しい一面を発見することが少なくありません。感染の危険を感じながら日々私たちの健康を守ってくれる医療従事者の方々。いちはやくテイクアウトに切り替え、営業を続ける飲食店の方々。休校要請やオンライン事業の導入にも柔軟に対応している教職員の方々。挙げたらきりがありませんが、こうした報道を目にするたび、人々の職業人としての矜持を感じるとともに、人間として根本的な強さのようなものに心を打たれます。尊敬できる人々がどのようにこの不安な日々を乗り越えているのか気にしてみてみると、見えてくることも多いはずです。
3.社会的に認められる形で葛藤を昇華する
スポーツや芸術、ボランティアなど、社会的に認められる形でモヤモヤを解消する方法です。アスリートの「○○チャレンジ」などはわかりやすい例でしょう。ですが、なにも自分の活動を社会に向けて発信しなくてはいけないということではありません。不安や葛藤をエネルギーに、社会的な活動を行うという意味では、家庭でのマスク作りやブログ等での情報発信も有意義な方法だといえます。
みなさんも、自分なりのやり方でコロナ不安に対処してみてくださいね。
「一人では難しい…」と感じたらいつでもご相談ください。
今回は、「コロナ不安」をテーマに、不安の正体とその対抗策についてお伝えしました。少しでもお役に立てると幸いです。
アフターコロナに向けて
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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