名古屋の心療内科,精神科,メンタルクリニックのひだまりこころクリニック名駅エスカ院が周産期うつ病と産後うつ病(男性含む)について解説

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周産期うつ病と産後うつ病(男性含む)

2023.03.192023.05.19

周産期うつ病と産後うつ病、うつ病

周産期うつ病と産後うつ病(男性含む)

周産期から産後1年以内にうつ病を発症する確率は約10~15%と高いものです。しかし、実は男性も配偶者の周産期から産後にかけてうつ病を発症するリスクがあり、その発症率は約10%に上ります。2022年10月1日から産後パパ育休が施行された現在、さらなる積極的な育児参加が求めれているため、男性の周産期・産後うつ病はさらに増えるでしょう。

この記事では周産期・産後うつ病や、男性における周産期・産後うつ病などを説明していきます。

周産期・産後うつ病

妊娠中から産後1年以内に発症したうつ病は、周産期うつ病や産後うつ病と呼ばれます。うつ病の生涯有病率(100人のうち何人が生涯のうちにうつ病を経験するか)は6%ほどです。一方で、周産期から産後1年にかけてのうつ病の有病率は以下の通りです。

・妊娠第2三半期(妊娠 14 週 0 日~27 週 6 日。妊娠中期ぐらい)…14.0%

・妊娠第3三半期(妊娠 28 週 0 日以降)…16.3%

・産後1ヵ月以内…15.1%

・産後1~3ヵ月…11.6%

・産後3~6ヵ月…11.5%

・産後6~12ヵ月…11.5%

このように、周産期から産後1年間におけるうつ病の有病率は約10%以上と高い値を示します。またうつ病の有病率には波があり、出産前後で最も高く、その後は時間が経つにつれて少しずつ下がっていきます。

とはいえ、上記の有病率はあくまでも氷山の一角に過ぎないかもません。それというのも、精神科や心療内科の受診を妊産婦の患者さんは拒むから、あるいは受診する必要性を感じないからです。妊産婦のうつ病患者さんの気持ちとして、例えば以下があります。

・しんどい、助けてほしい

・胎児や、母乳を通して赤ちゃんに悪い影響が出てしまいそうだから、薬を絶対に飲みたくない

・他の人は育児できている。そんな普通のことが自分にはなぜできないのか

・誰でも育児にストレスを感じるものだから、病院に行くほどではない。少し休めば大丈夫なはず…

妊産婦のうつ病患者さんと相対するときには、このような矛盾する心理があることを理解することが大切です。

周産期・産後うつ病のリスクは男性にもある

周産期・産後うつ病の要因のひとつにホルモンバランスがありますが、配偶者の周産期や産後に男性もうつ病を発症するリスクが高まります。近年ではこのことに注目され、2021年2月9日に閣議決定された「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」でも「男性の産後うつ」に対しても理解を深めるべきであると明確に記されました。

配偶者の周産期から産後1年にかけての男性のうつ病の有病率は以下の通りです。

・出産前…8.5%

・産後1ヵ月以内…9.7%

・産後1~3ヵ月…8.6%

・産後3~6ヵ月…13.2%

・産後6~12ヵ月…8.2%

全体的に女性のほうがうつ病の有病率は高いです。しかし、出産前では女性のほうがうつ病の有病率が高いけれども、出産後では有病率に男女で違いはありません。産後3~6ヵ月で男性のうつ病の有病率が最も高かったことを踏まえると、赤ちゃんの首が座ったり、授乳間隔も少し時間があいたりするなど、女性にとっては少し育児に慣れた感じがしてくる時期に男性はうつ病の発症リスクが最も高くなるようです。

うつ病に典型的な症状は落ち込んだ気分や、好きなことや趣味を楽しめないことです。しかし男性の場合は、怒りや衝動性、攻撃的な行動などが症状としてよく見られます。また、落ち込んだときに女性は他の人に相談したり愚痴を言ったりする傾向がありますが、男性は相談よりも飲酒に走る傾向があります。アルコールを摂取すると自身の言動をコントロールできなくなるため、悪循環に陥る恐れがあります。

周産期うつ病と産後うつ病とコロナ禍

コロナ流行中はコロナ前と比べ、産後一か月健診時の産後エジンバラうつ病質問票(産後うつ病のチェックのために用いられるアンケート)の不安得点が有意に高くなっていたことが、済生会横浜市東部病院と東邦大学の研究グループによって分かりました 。もともと産後は抑うつや不安などのネガティブな感情が特に高まりやすい時期ですが、コロナ禍によるサポート不足もネガティブな感情を助長させていると考えられています。また、コロナ禍前後で違いが見られたものは不安だけではありません。

抑うつとアンヘドニア(ポジティブな感情をあまり抱けなくなることや、意欲がなくなることなど)については、コロナ禍のほうが有意に低くなっていました。このことから、コロナ禍という脅威事態に対して産婦は心身が常に緊張した状態になっているのではないかと考えられています。

先にお話しした男女の周産期・産後うつ病の有病率は、あくまでもコロナ禍以前のものです。コロナ禍によるサポート不足に加え、ウクライナ情勢で経済面においても非常に大きなストレスを抱えている現在の妊産婦やその配偶者がうつ病を発症するリスクは、さらに高まっていると言えるでしょう。

以下は2015年と少し古い論文ですが、妊産婦のうつ病患者さんの気持ちを考えるうえでとても参考になりましたのでご紹介します。

菊地紗耶・小林奈津子・本多奈美・松岡洋夫 (2015). 周産期に新たに生じる精神科的問題への介入─精神科医に求められる役割─ 総合病院精神医学, 27(3), 212-218.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjghp/27/3/27_212/_pdf/-char/ja

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