“自分の気持ちがわからない”は病気なのか?感情鈍麻・失感情症・うつ病との関係について名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院が心療内科ブログで解説

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“自分の気持ちがわからない”は病気なのか?感情鈍麻・失感情症・うつ病との関係

2025.05.092025.05.09

失感情症、うつ病

“自分の気持ちがわからないとは?”感情鈍麻・アレキシサイミア・うつ病との関係

  • 「何が好きかわからない」
  • 「楽しいはずなのに、心が動かない」
  • 「悲しいのか、怒っているのか、自分でも判断できない」

こうした“自分の気持ちがわからない”という感覚に悩む人は、想像以上に多く存在します。単なる気分の波なのか、それとも何か精神的な問題が隠れているのか。不安になったことはありませんか?

本記事では、「感情がわからない」という体験がどんな意味を持つのか、精神科医療の視点から整理していきます。

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「感情がわからない」は誰にでもある?

まず前提として、人間は常に自分の気持ちを明確に自覚しているわけではありません。

  • 環境の変化に疲れているとき
  • 人間関係で“感じないように”しているとき
  • 目の前の問題に集中しすぎて、内面に意識が向かないとき

こうした状態では、いわゆる「鈍くなる」「わからなくなる」感覚が生じやすくなります。つまり、「一時的な感情の麻痺」は、必ずしも病気のサインとは限りません。

ただし、それが慢性的で、日常生活や人間関係に支障をきたしている場合、以下のような心理的・精神的背景が疑われることがあります。

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アレキシサイミア(失感情症)とは?

「アレキシサイミア(alexithymia)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは「自分の感情をうまく認識・言語化できない状態」を指す心理学的な概念で、日本語では「失感情症」とも訳されます。

主な特徴は以下のとおりです

  • 感情の“名前”がつけられない(嬉しい、悲しい、などが曖昧)
  • 身体的な感覚(動悸・胃痛など)としては現れるが、それが感情と結びつかない
  • 人との共感やコミュニケーションに困難を感じる
  • 空虚感や“自分が何者かわからない”感覚を伴いやすい

アレキシサイミアは、幼少期の感情表現の機会の少なさや、愛着の問題、過去のトラウマなどと関連する場合があります。また、発達特性(自閉スペクトラム症など)と関連するケースも報告されています。

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うつ病や抑うつ状態の症状としての“感情の鈍さ”

「気持ちがわからない」という訴えは、うつ病の初期や中期にもよくみられます。うつ病の特徴は、「悲しい」よりも「何も感じない」「無感動」といった感覚です。たとえば

  • 好きだった趣味が無味乾燥に感じる
  • 人といても、楽しいと思えない
  • 喜怒哀楽の起伏が乏しくなる
  • 涙が出ない(出したいのに出ない)

これは「感情の麻痺(emotional numbness)」と呼ばれる状態で、脳がストレスから自分を守るために“感情回路”を抑制してしまっている状態とも考えられます。

そのため、うつ病の人が「自分がうつ病だと気づけない」原因のひとつにもなっています。なぜなら「つらい」と明確に感じられず、ただ“何も感じない”だけだからです。

▶うつ病に関する紹介はこちら

PTSDやトラウマとの関連

重いストレスやトラウマ体験のあと、人は「もう感じたくない」と無意識に心をシャットダウンすることがあります。これはいわば“自己防衛のための鈍麻”です。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)においても、感情の回避や麻痺がよくみられます。

  • 強烈な体験を思い出させるものを避ける
  • その記憶に触れると、心が空っぽになる
  • 感情を遮断して生活する癖がついている

こうした状態が続くと、ふだんの生活でも「自分の感情がつかめない」感覚が常態化してしまうことがあります。

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感情がわからないまま生きる苦しさ

感情は、私たちにとって“生きている実感”の源です。それが鈍ってしまうと、次第に以下のような影響が出てきます。

  • 自己理解が難しくなる(何がしたいのかわからない)
  • 対人関係がぎこちなくなる(相手の気持ちもわからなくなる)
  • ストレスのサインに気づきにくくなり、体調を崩しやすくなる

感情の鈍麻は、決して“ただの気のせい”ではありません。心の大切なセンサーが働かなくなっている状態であり、生活の質に直結する問題です。

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ではどうすればいいのか?

もし「自分の気持ちがわからない」という状態が続いている場合、以下のような対処や支援が有効です。

1. 言語化の練習をする

感情は、名前をつけることで明確になります。「怒り・悲しみ・不安」などのラベルを意識的に使い、自分の状態を言語でとらえる練習をすることが大切です。

2. ジャーナリング(感情日記)を試す

日々の出来事と、それに対して感じたことを少しずつ書き出してみましょう。「今日は何も感じなかった」と書くことも、立派な記録です。

3. 心理士や精神科医に相談する

とくに「生きづらさ」や「空虚感」が強い場合は、医療機関の受診を検討してみてください。うつ病や発達特性、愛着の課題が背景にあることもあります。

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“わからない”から少しづつ始めてもいい

感情は、常に明確である必要はありません。「わからない」という感覚こそが、自分に関心を向け始めたサインでもあります。そして、“感情がわからない自分”を責めるのではなく、少しずつ「知ろう」とすることが、心を回復させる第一歩です。

メンタルクリニックでは、あなたの「わからない」に対して、一緒に言葉を探すことができます。何も感じない状態も、立派な“相談のきっかけ”になり得るのです。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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