名古屋駅徒歩0分
大人のための
メンタルクリニック
公式ブログ
【メンタルクリニック監修】怒りをコントロールする技術|アンガーマネジメントとは?
2025.03.282025.03.29
易怒性・易刺激性、メンタルケア、心理面・思考
【アンガーマネジメント】怒りをコントロールする技術
「ついイライラしてしまう」「怒りが抑えられず後悔する」
こうした悩みを抱える人は少なくありません。怒りの感情は誰にでもありますが、うまくコントロールできないと、人間関係や健康に悪影響を及ぼすことがあります。
本記事では、専門的な視点から「アンガーマネジメント」について解説し、科学的根拠に基づいた実践方法を紹介します。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメント(Anger Management)とは、1970年代にアメリカで開発された、怒りの感情を適切に理解し、コントロールするための心理トレーニングです(Novaco, 1975)。
重要なのは、「怒らないこと」ではなく、「怒る必要のある場面とそうでない場面を見極め、適切に対処すること」です。
怒りをうまく管理できるようになると、ストレスの軽減、人間関係の改善、健康リスクの低減につながります(American Psychological Association, 2018)。
なぜ怒りをコントロールする必要があるのか?
怒りの感情を放置すると、以下のような問題が生じることが研究で明らかになっています。
1. 健康リスクの増加
怒りが頻繁に生じると、交感神経が過剰に刺激され、血圧や心拍数が上昇します。慢性的な怒りは、心臓病や脳卒中のリスクを高めることが示されています(Ting et al., 2020)。
2. 精神的健康への悪影響
怒りのコントロールができない人は、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増加し、不安やうつ症状を引き起こしやすいことが分かっています(Kassinove & Tafrate, 2002)。
3. 人間関係への悪影響
怒りを適切に管理できないと、家庭や職場での対人関係が悪化し、孤立感や対人ストレスが増大します。特に、攻撃的な言動が続くと、信頼関係を損なうことになります(Deffenbacher et al., 1996)。
アンガーマネジメントの実践方法
では、どのように怒りをコントロールすればよいのでしょうか?メンタルクリニックでも推奨される、科学的根拠に基づいた方法を紹介します。
1. 6秒ルール
怒りのピークは6秒間といわれています。この時間を乗り切ることで、冷静に対応しやすくなります(Goleman, 1995)。
実践方法
- 深呼吸を3回行う
- 6秒間、ゆっくり数を数える
- その場を離れてクールダウンする
2. 自分の怒りを「見える化」する
怒りを客観的に分析することで、コントロールしやすくなります。
実践方法
- 怒りを感じたときに「怒りの日記」をつける(状況、相手、自分の気持ちを書き出す)
- 「なぜ怒ったのか?」を分析する
- 怒りの強さを10段階評価で記録する
これにより、自分がどのような場面で怒りやすいのかが明確になります(Tafrate et al., 2002)。
3. 認知の歪みを修正する(認知行動療法)
怒りは、「相手が自分を軽視している」「バカにされている」といった思考から生じることが多いです。
しかし、このような考え方は必ずしも事実ではなく、認知の歪みが影響している可能性があります。
実践方法
- 「本当に相手は自分を軽視しているのか?」と問い直す
- 別の視点で解釈できないか考える(例:「相手も忙しかっただけかもしれない」)
このように、怒りの原因となる「思考のクセ」を見直すことで、感情をコントロールしやすくなります(Ellis, 1994)。
4. アサーティブ・コミュニケーションを身につける
怒りを感じたとき、攻撃的にならずに冷静に伝えるスキルが「アサーティブ・コミュニケーション」です。
実践方法
- 「私は~と感じた」と、自分の気持ちを主語にして伝える(例:「あなたのせいでイライラする」→「私はこの状況にストレスを感じている」)
- 相手の立場にも配慮する(例:「忙しいのは理解しているけれど、○○について話し合いたい」)
これにより、感情的な衝突を防ぎ、建設的な会話が可能になります(Lange & Jakubowski, 1976)。
アンガーマネジメントを継続するために
アンガーマネジメントは、一度身につければ終わりではなく、継続的に実践することが重要です。
継続するためのコツ
- 日々のストレス管理を行う(適度な運動、趣味の時間を持つ)
- 怒りの感情を発散する方法を見つける(日記を書く、精神療法や心理療法を受ける)
- アンガーマネジメントの専門家に相談する
「怒りに振り回されるのではなく、自分でコントロールする力を身につける」ことが大切です。
まとめ
怒りの感情は誰にでもありますが、適切にコントロールすることで、健康・精神的安定・人間関係の改善につながります。
「6秒ルール」や「認知の修正」「アサーティブ・コミュニケーション」などの実践方法を取り入れ、怒りに振り回されない生活を目指しましょう。
また、易怒性や易刺激性はメンタルの不調からくるものも少なくありません。もし上手く感情がコントロールできないなどが継続してしまう場合には、メンタルクリニックや心療内科,精神科などの医療機関までお気軽にご相談ください。
参考文献
- American Psychological Association. (2018). Managing Anger. Retrieved from https://www.apa.org/topics/anger
- Ellis, A. (1994). Reason and Emotion in Psychotherapy. Birch Lane Press.
- Goleman, D. (1995). Emotional Intelligence. Bantam Books.
- Kassinove, H., & Tafrate, R. C. (2002). Anger Management: The Complete Treatment Guidebook. Impact Publishers.
- Ting, L. A., & Glaser, D. (2020). The Impact of Anger and Aggression on Health. Journal of Behavioral Medicine, 43(5), 625-638.
一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください
一人で悩まずに、
まずは一度ご相談ください
たくさんの方が
悩みを抱えて来院されています。
ご紹介している症状以外でも、「こんなことで受診していいのかな…」 と迷ったらまずは一度お気軽にお電話ください。