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失敗や後悔の反すう思考(ぐるぐる思考)は病気?止めるための3つの方法
2024.05.212024.05.21
心理面・思考、不安障害・不安症、うつ病、強迫性障害
「もっと、こうしたらよかったかな?」「こうすべきだったかな?」という思考
「どうしてあんなことを言ってしまったのか…」「こうすべきだったのでは…」などと、反省して落ち込むことは少なくありません。
すぐに切り替えられればよいのですが、悩み続けて沈んだ気持ちが続いてしまうことはありませんか?
沈んだ気持ちの時には、考えがめぐってしまいやすい
沈んだ気持ちのときに、その原因について考え続けてしまうことを「反すう思考(ぐるぐる思考)」といいます。「考えたくないのに考えてしまう…」と思考を止められずに苦しい思いをすることもあるのではないでしょうか。
反すう思考は、うつ病や不安障害などの精神疾患の症状としても引き起こされる場合があり、注意が必要です。本記事では、反すう思考を引き起こす病気や、止めるための3つの方法について解説します。
反すう思考(ぐるぐる思考)とは?
否定的な繰り返し思考について
反すう思考とは、「自分のネガティブなところや行いについて、否定的に繰り返し考えてしまうこと」です。「ぐるぐる思考」や「ひとり反省会」とも呼ばれており、考えることを止められずに苦しい思いをしてしまいます。反すう思考の例としては以下のような思考です。
- どうしてミスをする前に、上司に聞かなかったのだろう
- 友達の誘いを断ったけど、嫌われていないだろうか
- ○○さんと話した時の自分の対応は素っ気なかったかもしれない
上記のように、ネガティブな側面にばかり目がいってしまい、抑うつ的な気分が続いてしまうことが特徴です。
考えがとまらなくなってしまうと起きる弊害は
さらに、考えることに時間を取られて他のことが疎かになったり、無理に気持ちを紛らわせようとするなどの行動上の変化も起きるでしょう。
そのため、うつ病や不安障害などの精神疾患の引き金になる可能性があります。答えの出ない問題を考え続けるよりも、できるだけ考えにとらわれないように意識することが大切です。
反すう思考と精神疾患の関係性とは?5つの病気から解説
反すう思考は、精神疾患の原因にもなりますが、病気の症状としてあらわれている場合があります。反すう思考を引き起こす病気として以下の5つが挙げられます。
- うつ病
- 不安障害
- 強迫性障害
- 発達障害(ASD、ADHD※)
- PTSDなどのトラウマ関連障害
※ASD:自閉スペクトラム症、ADHD:注意欠如・多動症
反すう思考と関連する病気①:うつ病
うつ病とは、気分の落ち込みにより、興味や関心が低下し意欲が湧かなくなる精神疾患です。うつ病では、思考力が低下して考えが堂々巡りになってしまうことがあります。考えても思考力が落ちているので、考えが前に進まず、同じことを考え続けてしまうということが起きるのです。
思考力の低下により、反すう思考が起き、さらにネガティブな気分が続いてしまうという悪循環が起きやすいといえるでしょう。
反すう思考と関連する病気②:不安障害
不安障害は、過度な不安によって日常生活に支障を及ぼす精神疾患です。とくに、不安障害の1つである「全般性不安障害」では、日常の些細な出来事を心配しすぎてしまうことがあります。そのため、準備に時間がかかったり、眠れなかったりするなど、生活を送る上での支障が起きやすいでしょう。
将来に対して、「大丈夫なのか」「大変なことが起きないか」と心配しすぎるといった思考から抜けられなくなるということが特徴です。反すう思考が過度な不安により生じている場合は、不安障害かもしれません。
反すう思考と関連する病気③:強迫性障害
「鍵を閉めたかどうかが不安」「誰かを傷つけてしまったのではないか」などと、過度なこだわりに苦しむ精神疾患です。こだわりに関する不安を「強迫観念」といいますが、強迫観念にとらわれて「○○だったらどうしよう」と考え続けてしまいます。
代表的な強迫観念の例は以下の4つです。反すう思考を引き起こしている不安が強迫観念により生じている場合は、強迫性障害かもしれません。
- 不潔恐怖:ちゃんと手を洗えているかどうかが不安で繰り返し洗ってしまう
- 確認強迫:鍵やガスコンロを閉めたかが不安で、何度も確認する
- 縁起強迫:「4」や「9」などの縁起の悪いものに触れると、嫌なことが起きるのではないかと不安になる
- 加害恐怖:自分の行いで誰かを傷つけてしまったのではないかと気にする
反すう思考と関連する病気④:発達障害(ASD・ADHD)
発達障害では「集中しすぎてしまう」「ルールが変化しても切り替えられない」という特徴がみられる場合があります。「セットシフティングの弱さ」と呼ばれるもので、状況が変わっても思考を切り替えられず、反すうが続いてしまうのです。
反すう思考と関連する病気⑤:PTSDなどのトラウマ関連障害
PTSDを始めとしたトラウマが原因となる精神疾患でも、反すう思考がみられるでしょう。トラウマになったつらい体験を思い出して、「あの時○○すべきだったのでは」「自分が悪かったのではないか」と繰り返し考えてしまいます。
辛かった経験を思い出して自分を責めたり、身体が緊張しトラウマを思いだすものを避けている場合、PTSDの可能性があるかもしれません。
反すう思考を止める3つの方法
精神疾患との関連性が深い反すう思考ですが、どのようにして止めればよいのでしょうか。
止め方①:「考えるのを止めよう」と思わない
反すう思考を「止めよう」と思えば思うほど止められなくなるため、あまり止めることを意識しない方がよいでしょう。もともと考えというのは、頭の中に浮かんでは消えるということを繰り返します。
例えば、10分前に考えていたこととは今は全く別のことを考えているはずです。浮かんできた考えに反すうしていくと、思考が膨らんでいきますが、とくに気にしなければ自然に消えていきます。
そのため、「考えを止めないといけない」と思いすぎず、自然に消えるのを待つという意識が大切です。
止め方②:別のものに集中する
「嫌な考えが自然に消えるのを待つ」ためには、別のものに集中するとよいでしょう。例えば、自分の好きな映画を見始めたり、運動を始めたりするなど、具体的な行動をすることがおすすめです。
しかし、別のものに集中し始めても、反すう思考が再び湧き上がってくるかもしれません。その場合は、「別のことに集中しないといけない」と思いすぎないことが大切です。
「また考えが浮かんできたな」とニュートラルに捉えて、集中していることに戻るというようにするとよいでしょう。
止め方③:考える時間を決める
反すう思考にとらわれてしまう場合、考える時間を決めてその時間だけ悩むという「思考中断法」もおすすめです。例えば、「10分だけ悩む」と時間を設定し、10分経ったらアラームがなるように設定しておきます。アラームが鳴ったら、「悩むのは終わり」「よく考えた」と自分を労う言葉をかけて、終えるとよいでしょう。
思考中断法は、反すう思考が抑えられ、抑うつ気分の改善が比較的持続する方法として有効とされています。手軽に取り組める方法なのでおすすめです。
過度な反すう思考は自分を苦しめる場合もある
失敗を振り返り、反省を次に生かすことは、生きる上では重要です。しかし、ネガティブな考えにとらわれすぎることは、精神疾患の引き金になるだけではなく、大切なことに目を向ける時間を失ってしまいます。
反すう思考にとらわれてしまうときは、「絶対に止めないといけない」と思いすぎず、自然に消えるのを待つことが大切です。
さいごに
今回は、はんすう思考について紹介をいたしました。しかし、これらの紹介した止め方を試しても、治らないという場合は、精神疾患の症状として反すう思考があらわれている可能性があります。メンタルクリニック,精神科や心療内科へもお気軽にご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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