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外見や体型を悪く言われたら?「ボディシェイミング」が及ぼす悪影響と対処法
2024.05.232024.05.23
ボディーシェイミング、うつ病
太った?やせた?のコミュニケーションについて
自分自身の外見や体型を批判されることを、ボディシェイミングといいます。「太った?」と聞くことは、親しい間柄でも傷つく可能性があるでしょう。何気なくいわれた言葉が、ボディシェイミングにあたり、知らない間に自信を失っているかもしれません。
本記事では、ボディシェイミングが及ぼす悪影響と、批判されたときの受け止め方について解説します。外見や体型を悪く言われて傷ついた経験のある人は、ぜひ参考にしてください。
ボディシェイミングとは?
ボディシェイミングとは、外見や体型について批判したり、からかいの対象にしたりすることをいいます。例えば、「背が低いね」「太っているね」などと、見た目に関する批判のことです。
ボディシェイミングには、広い範囲の言動が含まれます。以下のように、一見褒め言葉とされるようなことも、ボディシェイミングにあたる可能性があるため、注意が必要です。
【ボディシェイミングの例】
- 体型:「太っている」「瘦せている」「筋肉質だ」
- 髪:「髪色が薄い/濃い」
- 体毛:「体毛が薄い/濃い」
- 顔:「鼻が低い」「目が小さい
- 肌:「色白だ」「色黒だ」
価値観で決められた「美しさ」に囚われない「ボディポジティブ」とは
ボディシェイミングの原因は、「細い体型こそが美しい」「高身長が格好いい」などといった理想的な美しさの価値観が影響しています。価値観で決められた美しさから外れると、批判の対象になってしまうのです。
最近では、作られた価値観によるのではなく、ありのままの自分を認めようとする「ボディポジティブ」という運動が広まっています。外見だけで判断される社会から、一人ひとりの個性を理解する社会に変化していくことが求められているのです。
ボディシェイミングがもたらす悪影響とは?
自分の外見を批判されることは、自己肯定感を低下させ、精神的なダメージを引き起こします。具体的にはどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
影響①:うつ症状
自分自身の身体に関して恥を感じる体験と抑うつ症状は関連している とされています。うつ病の症状の1つとして、「自分には価値がない」と考える「無価値感」があります。外見を批判され続けることで、自己肯定感が低下し、やがて価値のない人間だと考えてしまうのです。
影響②:摂食障害
細い体型を求めるあまり、過剰な食事制限を課してしまうかもしれません。理想の体重を求めすぎると、摂食障害に陥ってしまう可能性があります。摂食障害とは、食事量が極端に少ないもしくは多いなど、食行動に関する異常が生じる精神疾患の1つです。
摂食障害の原因には、周囲の評価からは「太っていない」と言われても、「太っている」と考えるという「ボディイメージの歪み」があります。自分の体型について恥ずかしい思いをすると、ボディイメージが歪みやすいでしょう。
影響③:醜形恐怖症
醜形恐怖症とは、自分の身体の一部もしくは複数の部位が醜く感じられて、苦しんでしまう精神疾患の1つです。例えば、「口が大きいので見られたくない」と人前でマスクを外せなかったり、自分の姿を何度も鏡で確認してしまったりすることがあるでしょう。
成長とともに変化する自分の姿を受け入れられず、思春期に発症することが多いとされます。完璧主義的な性格の人に多く、小さな欠点が気になってしまうのです。他人からの批判で欠点を自覚してしまうこともあるため、ボディシェイミングも原因の1つだといえるでしょう。
ボディシェイミングを受けたときの対処法
自分の外見や体型の特徴を批判されると、自信を失ってしまうかもしれません。ボディシェイミングを受けた場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。
ボディシェイミングの対処①:変えられるところだけ努力する
外見や体型の特徴には、変えやすいところと変えにくいところがあります。変えにくいところとは、身長や顔の特徴など、整形などで変えられるが大掛かりな手当てが必要になる部分です。
一方、体重や筋肉などは、ダイエットやトレーニングである程度コントロールできます。変えやすいところは努力し、変えにくいところは受け入れるということが大切でしょう。
ただし、変えやすいところも変えられる範囲に限界があるので注意が必要です。例えば、体重に関して、遺伝的に肥満になりやすいことがあります。
コンプレックスに感じているところを「変えられるか、変えられないか」を仕分けして考えるようにすることが重要です。
ボディシェイミングの対処②:セルフコンパッションを意識する
女性においては、ボディシェイミングに伴う抑うつ症状が「セルフコンパッション」の高さによって緩和されることが研究で示されています。
セルフコンパッションとは、自分自身に向ける思いやりを向け、あるがままの自分を受け入れる態度のことです。失敗や欠陥は人間共通のものであり、自分の苦しみが特別なものではないと捉えます。
ボディシェイミングを受けると、自分の外見や身体に対して否定的なイメージを抱くかもしれません。「自分だけが劣っているんだ」「周りに比べてダメだ」と自信をなくし、周りから孤立したような気持ちになることもあります。
外見の欠点があると感じるのは、特別なのではなく、誰しもあることです。「完璧な人間なんていないし、他の人もコンプレックスがある」と考えることで、苦しみを和らげられるでしょう。
参考:Does self-compassion buffer the detrimental effect of body shame on depressive symptoms?
無意識的なボディシェイミングには注意が必要
外見や体型について批判するボディシェイミングは、無意識的に形成された美しさの価値観が影響して起こるものです。はっきりとした言葉で馬鹿にされることはなくても、ふとした言葉や褒め言葉もボディシェイミングにあたる可能性があります。
他人を傷つけている可能性がないか、自分が傷ついていないかを注意し、外見については慎重に発言する方がよいといえます。身体的特徴について批判され、辛い気持ちが続いている場合は、信頼できる人に相談してみましょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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