うつ病と「炎症」の意外な関係|ストレスが脳に与える影響と3つのセルフケアについて名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院が解説

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うつ病と「炎症」の意外な関係|ストレスが脳に与える影響と3つのセルフケア

2025.06.012025.06.01

抑うつ、メンタルケア、うつ病

ストレスが脳に与える影響と3つのセルフケアについて

うつ病は心の問題」と思われがちですが、実は“脳の炎症”が関与している可能性が、近年の研究で明らかになってきました。

  • 「なぜ自分だけが、こんなにつらいのか」
  • 「うまく言葉にできないけど、何かがおかしい」

そんなとき、原因が“自分の弱さ”ではなく“身体の中で起きている変化”かもしれないと知ることは、気持ちを少し楽にしてくれるかもしれません。

この記事では、うつ病と脳の炎症の関係性、ストレスが引き金となるメカニズム、そして日常生活でできる具体的な対処法について解説いたします。

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うつ病は「脳内の炎症反応」と関係している

うつ病の正体は、気持ちの問題ではなく生物学的な炎症かもしれない」

このような仮説が、さまざまな研究によって支持されつつあります。

◯ 炎症性サイトカインがカギ

炎症とは、本来は体内で異物やダメージに対抗する免疫反応ですが、近年注目されているのが「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質です。これらは、免疫細胞から放出され、体内の炎症状態を高める働きをします。

うつ病患者の血液を調べると、インターロイキン-6(IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)といった炎症性サイトカインの値が上昇している例が多く報告されています。

また、C型肝炎の治療に用いられるインターフェロンαは炎症性サイトカインを強く誘導するため、治療中に約半数の患者がうつ症状を示すという臨床データもあります。

このことから、うつ病の発症と脳内炎症の間には明確な相関があるとも考えられています。

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なぜストレスが炎症を引き起こすのか?

では、なぜ心的ストレスが身体の「炎症」という反応につながるのでしょうか。

◯ ストレスとインフラマソームの関係

ストレスは単なる心理的な現象ではなく、脳内の免疫システムに影響を及ぼします。特に、「インフラマソーム」と呼ばれる細胞内タンパク質の複合体は、心理的ストレスを炎症反応へと変換する重要な役割を担っているとされています。

この仕組みは、私たちが精神的に追い詰められると、脳が「危険」と判断し、身体を守るための炎症モードに切り替えるという、ある意味で合理的な反応です。

しかし、ストレスが慢性的に続くと、炎症反応が長引き、逆に脳機能に悪影響を及ぼしてしまうのです。

「うつ病=炎症」という視点が治療のヒントに

現在、うつ病の診断は主に問診に基づいており、「眠れない」「意欲が出ない」といった自覚症状が中心です。しかし、炎症との関連が分かれば、より客観的な評価や個別化治療の可能性が広がります。

◯ 抗うつ薬が効きにくいケースにも希望

従来の抗うつ薬は、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスを整えるものが主流です。しかし、近年の研究では「炎症反応が強いタイプのうつ病」は、こうした薬剤が効きにくい傾向にあることが指摘されています。

そのため、今後は「抗炎症薬」を含めた新たな治療アプローチが模索されています。

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脳の炎症を和らげるためにできる3つのこと

医学的治療と並行して、日常の中で炎症を悪化させない工夫も重要です。以下の3つは、脳のストレス反応を和らげるために効果が期待される方法です。

1. 軽い運動でセロトニンを活性化させる

ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、炎症を抑えるだけでなく、セロトニンという脳内の神経伝達物質を活性化させます。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、心の安定に深く関わっています。1日20分程度のリズム運動を目標に、無理のない範囲で継続してみてください。

2. 誰かに「話す」ことでストレスの外在化を

悩みを言葉にして話すことは、心の中に閉じ込めていたストレスを外に出す行為です。

話す相手は、家族や友人でも、専門家でも構いません。重要なのは、「わかってもらえた」という実感を得ることです。それが脳の安心反応を引き出し、ストレスホルモンの過剰な分泌を防ぐことにつながります。

3. 書き出して感情を整理する「ジャーナリング」

言葉にできない不安や怒りをそのままにしておくと、無意識のうちに脳のストレス負荷が高まります。

ジャーナリング(書く瞑想)は、感情を紙やスマートフォンのメモにそのまま書き出す方法です。自己洞察が進み、「何がつらかったのか」が明確になることで、炎症の引き金となる慢性的な心理的負荷を緩和する効果があります。

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うつ病は“こころ”だけの問題ではない

うつ病は甘え」…そんな誤解は、今では明らかに間違いです。

私たちの身体は、ストレスに対して“見えない炎症”という形で反応している可能性があります。

うつ病が「心だけでなく、脳や身体の状態とも関係している」と知ることは、自分を責める気持ちから少し距離を置き、「どう向き合っていくか」という視点を持つきっかけにもなります。

つらさを感じたら、以下の3つを試してみてください

  • 軽い運動を取り入れる
  • 話せる相手に言葉を向けてみる
  • 気持ちを文章にして書き出す

それでもつらさが続くときは、専門の医療機関に相談することも大切です。自分の苦しみを、脳や身体が発する“サイン”としてとらえてみてください。

ひだまりこころクリニック名駅エスカ院では、心と身体のつながりに配慮した診療を大切にしています。ひとりで抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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