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フロイトの夢分析とは?夢が作られる4つのプロセスを紹介
2024.06.012024.06.01
心理面・思考
夢から分かる無意識とは
夢には、普段の生活では意識していない思いや考えが表現されることがあります。意識していないからこそ、夢を見た後に以下のような疑問を抱く場合があるのではないでしょうか。
- 「あの夢ってどんな夢だったの?」
- 「今関係していない人が急に夢に出てきた」
- 「夢の意味がよく分からなかった」
意識されない思いや考えは、そのまま夢に表れるとインパクトが強すぎるため、違う内容に変換されて出てくることがあります。そのため、「よく分からない夢だった」と感じることが多いでしょう。
ただ、夢には重要なメッセージが隠されており、内容を分析することで自己理解を深められます。心の問題は、無意識の領域に存在する思いが原因になっている場合もあるため、夢を分析すると悩みが解消に役立つこともあるでしょう。
今回は、夢の分析を創始したフロイトの「夢分析」の考え方を紹介します。夢がどのように作られるのかを理解して、その内容を分析してみましょう。
夢分析とは?
夢分析とは、精神分析学を成立させたフロイトによる夢を用いた治療法を指します。1900年ごろに出版された「夢判断」という本で、夢の研究について論じたのが始まりです。
フロイトは、人間がもつ無意識的な願望や欲求が、夢に表現されると考えました。無意識的な願望や欲求とは、普段の生活では考えないようにしているものです。例えば、過去にあったつらい出来事や子どものころに体験した満たされない思いなどがあります。
無意識的な願望は、自分にとって都合が悪いものであることが多く、意識されると普段の生活に支障を及ぼすため、無意識の領域に抑圧しようとするのです。心のバランスを保つために意識にのぼってくるものをコントロールする防衛的な機能が備わっており、そういった機能を「検閲」と呼びます。
しかし、睡眠中には検閲の機能が緩められ、無意識の願望が表れやすくなります。そのため、夢の内容には普段意識されない隠れた気持ちや考えが出てくるのです。
フロイトは、夢の内容から無意識的な願望や欲求に気づく夢分析を用いて、無意識を意識的に理解することを重視しました。
夢が作られる4つのプロセス
夢には、無意識的な願望や欲求が表れやすいと考えられますが、直接的に表現されるわけではありません。夢の中であっても、意識したくない思いがダイレクトに表れると睡眠の妨げとなります。そのため、理解しやすいように変換された形で表れるでしょう。
無意識的な願望や欲求が変換されるプロセスを「夢の作業」といいます。夢の作業で生じる代表的なプロセスは以下の4つです。
- 圧縮
- 置き換え
- 象徴的表現
- 二次加工
4つのプロセスによって構成され、実際に見る夢の内容として体験されます。4つのプロセスについて具体的に解説します。
①圧縮:いくつかの願望が1つの夢になる
圧縮とは、無意識的な願望や欲求のいくつかが、圧縮されて1つの夢として体験されることです。無意識の内容は非常に豊富で、それを全て夢の中に表現することは難しいでしょう。そのため、1つの形にまとめられて夢として出てくることが多いのです。
例えば、子どもの夢に出てくるお化けは、父親や母親に抱いている印象や子ども自身がもつ敵意、怒りなど複数の気持ちを表します。夢に出てくるものや人物は、1つの欲求だけでなく複数の欲求が絡み合って表現されているものなのです。
②置き換え:欲求を向ける対象をずらす
置き換えとは、無意識的な願望を向けたい対象をずらして表現することです。例えば、母親に対する過度な愛情であれば、見知らぬ女性に置き換えられ、その女性と恋に落ちるような内容として表れます。
置き換えられる対象は、中立的で刺激にならない存在であることが多いでしょう。心の中では強い関心を抱いていることでも、別の対象に置き換えてうまくごまかすのです。この働きは、無意識の欲求をダイレクトに感じないようにする心の防衛機能だといえます。
また、二次的な感情が形を変えて夢に表れることがあります。二次的な感情とは、相手への怒りを我慢して好意的に対応するような、本来の感情とは別の意味づけをしたものです。我慢した怒りは、軽い苛立ちや強い愛着へと形を変えて表現されることがあります。本来の感情とは異なる表れ方をするのが特徴です。
③象徴的表現:目に見える形で表現される
無意識的な願望や欲求は、感情が複雑に絡み合っていたり、抽象的な考えであったりすることがあります。夢は「見る」ものであるため、抽象的なものは夢には表現しにくいでしょう。そのため、目に見える形に変換されて表現されます。そこで表現されたものは無意識的な欲求の表れであることもあります。
④二次加工:つじつまが合うように夢を構成する
二次加工とは、夢の内容のつじつまが合うように、物語として夢を構成する働きです。圧縮や置き換え、象徴的表現の3つのプロセスで変換された夢は、物語として一貫性がなく、つじつまが合いません。
3つのプロセスで変換された内容にまとまりを持たせ、1つの物語とすることで、現実に起きていることのように体験できるのです。二次加工は、他の3つのプロセスとは異なり、最も意識に近い合理的な機能だといえるでしょう。
夢は自己理解を深めるための手がかりになる
夢の中には、普段は意識しないでいる願望や欲求が表れると考えられています。ただ、無意識の願望がそのまま夢に表現されるとインパクトが大きいでしょう。そのため、圧縮や置き換え、象徴的表現、二次加工といった夢の作業によって変換され、夢に表れます。
夢の意味を解釈することは、自己理解を助け、心で起こっている問題の解決に役立つことがあります。印象に残る内容や繰り返し見る夢の内容があれば、夢を分析してみると、自己理解が深まるでしょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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