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F30.2 精神病症状を伴う躁病

2021.07.092022.06.08

ICD-10、双極性障害・躁うつ病

F30.2 精神病症状を伴う躁病

●概要

躁病エピソード(F30)に分類されるもっとも重症な躁病です。精神病を伴わない躁病(F30.1)より重症で、種々の妄想や、観念奔逸による疎通性の減退、攻撃や暴力といった精神病症状を伴う場合もあります。精神病症状を伴う躁病は、患者自身だけでなく、周囲の他者の安全も脅かしかねないものです。

●症状

精神病症状を伴う躁病で表れる特徴は以下の通りです。

・重篤で持続的な身体的活動性と興奮の増加

・攻撃や暴力

・妄想(誇大妄想、被害妄想、宗教妄想など)

・観念奔逸

・談話促迫

・摂食や飲水、睡眠欲求の減少

重度の躁病では、気分の変化がより大きくなり、根拠のない妄想的な考えに支配されていきます。自分の力を過大評価し、なんでもできると思い込む誇大妄想や、他者が自分に敵意を向けていると信じ込む被害妄想などが多く見られます。

また、思考が止められなくなる観念奔逸、頭に浮かんだことをしゃべり続けてしまう談話促迫といった症状がより激しくなり、疎通性の乏しさにもつながっていきます。

さらに危険なのは、飲食や睡眠欲求の減退により、患者自身健康に支障が生じるケースです。あるいは、妄想的な考えや過度な精神活動を背景とする攻撃性が他者に向けられる危険も生じてきます。

●診断

精神病を伴う躁病の診断におけるもっとも重要なポイントは、統合失調症(F20)との鑑別です。現在の症状をみると、広がった妄想や了解不能な会話等類似する部分も多い両者ですが、経過を見たとき、軽躁病から徐々に症状が悪化していったような場合では、統合失調症ではなく躁病と診断するのが適切です。

統合失調症との違いとは

また、統合失調症の妄想は「気分と一致しないで認められる」ことが特徴です。妄想や幻覚、幻聴のあるケースでは、それらが患者の気分と一致しているものなのか確かめることも両者の鑑別に役立ちます。

参考文献:融道男,中根允文,小見山実,岡崎祐士,大久保善朗 監訳(2005)『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版』医学書院

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