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ギフテッドと発達障害の3つの違いとは?特徴や併存するケースを解説
2024.05.182024.05.18
ギフテッド、大人の発達障害・ADHD
高い知能や才能を兼ね備えた子ども
「小学生なのに高校レベルの数学ができる」というように、高い知能や才能を兼ね備えた子どもを「ギフテッド(gifted)」と呼びます。生まれつき知能が高く、さまざまな領域で高い能力を発揮することが特徴です。
しかし、知能が高いから良いのではなく、周囲とレベルがあわずに馴染めないこともあります。とくに、発達障害を併発したり、似たような特徴を持っていたりすることがあり、特徴に合わせた支援が必要です。
本記事では、ギフテッドと発達障害の違いを説明します。2つの状態は表面的に似ていますが、根本の性質は異なっていることが多いでしょう。違いを理解し、自分自身の生きづらさの原因を知るための参考にしてください。
ギフテッドとは?
非常に高い知能や才能をもち、年齢相応レベルよりもはるかに高い成績をあげる子どものことをいいます。特定の学問領域や芸術、リーダーシップなどで優れたパフォーマンスを発揮できることが特徴です。
日本では明確な定義はありませんが、ギフテッド教育が進んでいるアメリカでの1つの基準は、「IQ130以上」です。ただ、検査で計測できる知能は限定されているため、行動や考え方の特徴を含めて判断されます。
高い知能は類い稀なる才能だと捉えられることが多いですが、子どもの頃は不適応の原因になるケースがあるでしょう。
例えば、算数の授業を聞いていても簡単すぎて、先生の説明の矛盾点を指摘して空気が悪くなるというようなケースです。
クラスでも浮いた存在になりやすく、酷いケースではいじめに発展し、精神的な症状の引き金になることもあります。高い知能という周りと異なる特徴を持つがゆえに、生きづらさを抱えてしまうことが多いのです。
ギフテッドの特徴とは?
ギフテッドとは、どのような特徴を持つ子どもたちなのでしょうか。「学習面」「思考や感情面」「興味関心の特徴」の3つについて、以下のような特徴がみられます。
【学習面】
- 幼いころから並外れた集中力があった
- 小学校に上がる前に独学で読み書きを身に付けた
- 学習の飲み込みが非常に速く、記憶力が優れている
【思考や感情面】
- 感受性が豊かで、ときには激しい感情や反応を示す
- 洞察力が高く、論理的な思考が得意だ
- 子どものころから正義感が強い
- 自分の考えで頭がいっぱいになる
【興味関心の特徴】
- 基本的な練習や単調な作業を好まない
- 子どものころから社会問題や政治など幅広い興味をもっていた
- 興味のある物事には長時間集中できる
ギフテッドと発達障害の違いは?
ギフテッドは特定の分野に高い集中力を発揮するという特徴があります。興味関心の偏りがみられる発達障害に似たような傾向ともいえますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。発達障害の中でも多い、ASD※やADHD※との違いについて解説します。
※ASD:自閉スペクトラム症
※ADHD:注意欠如・多動症
ギフテッドと発達障害の違い①:興味関心の幅が広い
ギフテッドもASDも、興味関心のある物事に対して高い集中力を発揮できるという点は、共通しています。「周りが止めないと何時間でも集中できる」というほど、高い集中力を発揮できることが多いでしょう。
しかし、「興味関心の幅」は異なっています。ギフテッドは、さまざまな物事に関心を示しますが、ASDは比較的1つの物事にこだわって興味を持つ傾向があります。どちらの特徴が強いかを見極めて、適度な関心の持ち方を考えていくとよいでしょう。
ギフテッドと発達障害の違い②:感情の起伏や衝動的な行動をある程度コントロールできる
ギフテッドにおいては、ADHD傾向の1つである「多動・衝動性」に似た状態が起こることがあります。例えば、緊張した場面で貧乏ゆすりをしたり、相手の発言を待たずに被せて言ってしまうなどの様子が特徴です。
ギフテッドは、感情の閾値が低く、少しの刺激で興奮しやすい、または人によってはむしろ多感であるという傾向があるため、一見「多動・衝動性」のような行動がみられるのです。ADHDは、衝動などのコントロールに関連した「多動・衝動性」が起きます。
また、ギフテッドの場合は、場面によってある程度抑えることが可能です。ただ、負担なく抑えられるわけではなく、制御するのにストレスがかかることが多いでしょう。
ギフテッドと発達障害の違い③:「できない」ことの理由が違う
ギフテッドの人のうち、「ぼんやりしていて話を聞いていないように見える」といった、ADHDのような様子がみられることがあります。ADHDの場合、聞いているうちに別のことを考えてしまうのですが、ギフテッドは「話の内容が簡単すぎてつまらない」と感じることが原因であるということもあります。
その他にも、「課題を最後まで終えられない」「同じ作業を繰り返すのが苦手」といったことも、つまらなく感じて興味を持てないことが影響しています。発達障害の人が「できない」と感じることの理由が、ギフテッドの場合は異なっているのです。
そして、ギフテッドの方に対して、”雰囲気もどこか大人びている”といった印象を周囲の方も抱きやすいのが特徴です。
発達障害が併存するギフテッド「2E」とは?
『発達障害』+『ギフテッド』の方
根本的な性質が異なるギフテッドと発達障害ですが、ギフテッドの方にもASDやADHDなどの発達障害を併発している人もいます。ギフテッドでありながら、発達障害の特性も併せ持つ人が「2E」です。
2Eとは、「twice-exceptional=二重に特別」という意味であり、ギフテッドと発達障害という2つの特別性を持つことを表します。
潜在的には高い能力を持っていても、社会性が低かったり、落ち着きがなかったりすることで、集団生活に馴染めず、苦しい思いをすることがあるのです。
「ギフテッド=知能が高いから生きやすい」ではない
ギフテッドは、高い知能を生かして社会で活躍できることもある一方、周りに馴染めず困ってしまうことがあります。とくに、発達障害の特徴をあわせ持つケースもあり、潜在的には高い能力を持っていても、うまく発揮できない場合があるでしょう。
ギフテッドは大人になってから気づくケースもあります。現在、周囲のレベルと合わずに集団生活に馴染めない方もいたり、それにストレスや疲労を感じて、心の不調をきたしてしまう方もいらっしゃいます。お一人で悩んでしまう前に、心の不調や相談についてお気軽に、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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