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非認知能力とは?数値では測れない「人間力」が未来を左右する
2025.09.042025.09.04
非認知能力
数値では測れない非認知能力とは?
「勉強ができること」と「人生でうまくいくこと」は、必ずしも一致しません。近年、学力やIQといった数値化しやすい能力だけでなく、目には見えにくい「非認知能力(social emotional skills)」が注目されています。
非認知能力とは、テストや偏差値で測れる「認知能力」とは異なり、人間関係の築き方、感情のコントロール、最後までやり遂げる力、創造的に考える柔軟さといった数値化が難しい力を指します。教育の分野だけでなく、キャリア形成や人生の満足度とも深く関わることが明らかになってきています。
ここでは、非認知能力の具体的な中身や重要性、認知能力との違い、さらにどうすれば日常生活や教育の場で伸ばすことができるのかを詳しく解説します。
非認知能力と認知能力はどう違うのか?
まず整理しておきたいのが「認知能力」との違いです。
認知能力(Cognitive Skills)
読み書きや計算、記憶力、論理的思考といった学力に直結する能力。テストの点数やIQで数値化しやすい。
非認知能力(Non-cognitive Skills)
自制心、やり抜く力、協調性、創造性など、性格や行動特性に近い側面。数値化は難しいが、社会適応力や幸福度に直結する。
たとえば、計算が得意でもチームで協力できなければ仕事はうまく進みませんし、知識が豊富でも途中で投げ出す癖があると成果は出にくいでしょう。逆に学力が平均的でも、粘り強く努力を続けたり、人と円滑に関わる力を持つ人は大きな成果をあげることができます。
非認知能力の具体的な要素
非認知能力は多岐にわたりますが、教育心理学や発達研究の分野で特に重視されている代表的な要素を紹介します。
1. 自制心(自己コントロール)
欲求や感情をコントロールし、長期的な目標に向けて行動を調整する力。
例➡SNSやゲームの誘惑を抑えて勉強を続ける、怒りを冷静に処理する。
2. やり抜く力(GRIT)
途中で投げ出さずに最後までやり遂げる力。
例➡苦手な課題を地道に続ける、失敗から立ち直って再挑戦する。
3. コミュニケーション力
相手の話をきちんと聞き、自分の考えを適切に伝える力。
例➡チームで役割を分担しながら成果を出す、取引先に誠実に対応する。
4. 共感力(エンパシー)
他者の立場や感情を理解し、思いやりを持って行動できる力。
例➡友人が落ち込んでいるときに寄り添える、同僚の意見を尊重する。
5. 創造性・柔軟性
既存の枠にとらわれず、新しいアイデアを生み出す力。
例➡仕事の課題に対し新しい解決策を考える、学び方を工夫する。
6. 目標設定と計画性
長期的な目標を立て、段階的に行動できる力。
例➡試験までのスケジュールを立てて学習する、キャリアのロードマップを描く。
7. 協調性
集団やチームで協力しながら行動する力。
例➡会議で相手の意見を尊重しつつ建設的に意見を述べる。
8. レジリエンス(心理的回復力)
逆境やストレスに直面しても立ち直り、再び挑戦できる力。
例➡仕事の失敗から気持ちを切り替え、改善して再チャレンジする。
なぜ非認知能力が重要なのか?
① 学力やIQだけでは不十分
知識は豊富でも、それを活かす力がなければ成果につながりません。非認知能力が不足していると「計画倒れ」「人間関係のトラブル」「モチベーションの維持が難しい」といった問題が生じやすくなります。
② 職場で必要とされるのは「人間力」
現代の職場では、単に知識を持っているだけではなく「協調性」「リーダーシップ」「柔軟な発想」が求められます。とくに営業やサービス業では共感力やコミュニケーション力が成果に直結します。
③ 良好な人間関係を築ける
共感力や協調性が高い人は、家族・友人・職場の人と信頼関係を築きやすい傾向があります。結果的に、対人ストレスが少なく、安定した生活基盤を持つことにつながります。
④ ストレスに強く、精神的に安定する
レジリエンスが高い人は、失敗や困難を経験しても回復が早く、精神的な健康を保ちやすいことが知られています。
⑤ 長期的な成功と幸福度に直結する
心理学の研究では、自制心ややり抜く力の高い子どもは、成人後も学業・仕事・人間関係で成功しやすく、人生の満足度も高いことが示されています。
非認知能力を育てるには?
非認知能力は生まれつきの性格だけで決まるものではなく、環境や経験によって伸ばすことが可能です。家庭、学校、職場それぞれの場で工夫できることがあります。
小さな成功体験を積み重ねる
目標を細かく設定し、達成を繰り返すことで「やり抜く力」と自信が育ちます。
感情を言葉にする習慣を持つ
「今イライラしている」「少し不安だ」と意識化することで、自制心や感情調整力が高まります。
チームでの活動を取り入れる
学校でのグループワークや、職場での共同作業は協調性やコミュニケーション力を鍛える場となります。
失敗から学ぶ経験を重視する
失敗を責めるのではなく「次にどう活かすか」を一緒に考える姿勢が、レジリエンスを育てます。
マインドフルネスや自己内省の習慣
瞑想や日記など、自分の心の動きを客観的に見る練習は、感情コントロールやストレス対処に効果的です。
まとめ
非認知能力は、テストの点数やIQのように数値で測れない一方で、人生の成功や幸福度を大きく左右する力です。自制心、やり抜く力、共感力、創造性、レジリエンスといったスキルは、学業・仕事・人間関係すべての基盤となります。
私たちは「学力」ばかりを重視しがちですが、未来を切り開く本当の力は、数値では測れないこうした人間的な力にこそあります。日常の中で少しずつ意識して育てていくことで、より豊かな人生につながるでしょう。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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