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推し活は心に効く?心療内科の視点で“推し”の効果を考察してみた
2025.04.252025.04.28
推し活とメンタルヘルス、自己肯定感、不安障害・不安症、うつ病
推し活とメンタルヘルス
最近、SNSやメディアを通じて、「推し活」がますます注目されています。アイドルや俳優、アニメのキャラクターなど、さまざまな「推し」を応援する活動が、心の癒しや生きる力になると感じる人も多いでしょう。しかし、心療内科の観点から見たとき、この「推し活」が心に与える影響はどのようなものなのでしょうか?
今回は、心療内科の視点で「推し活」が心に与える効果を深掘りしてみたいと思います。
推し活とは?
まず、「推し活」とは、特定の人物やキャラクターを応援する活動のことを指します。アイドルのライブに行ったり、アニメや映画のグッズを集めたり、SNSで応援メッセージを投稿したりと、その方法は多岐にわたります。推しの存在は、単なる趣味を超えて、日々の生活において心の支えとなることがあります。
推し活が心に与えるポジティブな影響
(1) 自己肯定感の向上
推し活をしていると、自分が応援する人物やキャラクターに対して、「自分が支えている」「自分の応援が力になっている」と感じることが多くあります。このようなポジティブな感情が、自己肯定感を高める助けになります。心療内科では、自己肯定感が低い状態が続くと、うつ病や不安症を引き起こすことがあるとされていますが、推し活によって自己価値感を実感できることは、心の健康に良い影響を与える可能性があります。
(2) ストレス解消
推し活には、推しのパフォーマンスを見たり、ファン活動に参加したりすることで、ストレスを解消する効果があります。心療内科では、ストレス管理がメンタルヘルスの重要な要素として取り組まれており、推し活のような楽しみを持つことが、ストレス解消やリラックスの手段になることが指摘されています。特に、推しに対して抱く熱い感情や応援の気持ちが、自分自身をリフレッシュさせることに繋がります。
(3) 感情の解放とポジティブな感情の促進
推し活では、感情を積極的に表現することが多いです。SNSで喜びをシェアしたり、イベントで熱狂したりすることで、普段抑えている感情を解放できる場面が多くあります。これにより、ポジティブな感情の波動が高まり、心のバランスを取る助けになると言えるでしょう。心理学的にも、感情を解放することは、心の健康を維持するために重要な要素とされています。
推し活が心に与えるネガティブな影響
一方で、推し活に没頭しすぎることで、心に悪影響を与える可能性もあります。心療内科では、以下のような点を注意深く見ています。
(1) 過度な依存
推し活が過剰になりすぎると、他の人間関係や日常生活が疎かになることがあります。例えば、推しに過度に依存し、現実世界での人間関係や仕事に支障をきたす場合です。このような状態は、引きこもりや社会的孤立を引き起こす原因となり得ます。
(2) 現実逃避としての利用
推し活が過剰になりすぎると、現実から目を背けるための「逃避手段」になってしまうこともあります。現実の問題から逃げるために、推しの世界に浸り続けることが、心の健康を損なうことに繋がることがあります。これが長期間続くと、うつ病や不安障害のリスクが高まる可能性もあるため、適度なバランスを保つことが重要です。
(3) 過剰な期待や自己否定
推しを応援する過程で、あまりに高い期待を抱きすぎたり、推しが自分の思う通りにならないことで自己否定的な感情が強くなったりする場合もあります。このような場合、推しに依存する気持ちが強くなりすぎ、現実とのギャップでストレスを感じることがあります。
推し活と心療内科でのケア
心療内科の視点では、推し活がメンタルヘルスに与える影響をどう活用し、どのようにバランスを取るかが大切です。以下のようなアプローチが効果的です。
(1) 推し活のポジティブ面を活かす
推し活は、感情を表現する場や、自己肯定感を高める手段として活用できます。自分が推しに対して感じる喜びや感動を大切にし、その感情を健康的に表現することは、心のバランスを保つために有益です。
(2) 依存のリスクを避ける
心療内科では、推し活が依存的にならないようにサポートすることが重要です。生活全般のバランスを取り、現実世界との接点を保つことが大切です。過度に推しに依存するのではなく、社会生活を充実させながら楽しむ方法を見つけることが求められます。
(3) 他の趣味や活動とのバランスを取る
推し活だけでなく、他の趣味や興味を持つことも心の健康に役立ちます。多角的な活動を通じて、推し活だけに偏らないようにすることで、心のバランスを取ることができます。
まとめ
推し活は、心の健康にポジティブな影響を与えることがありますが、過度に依存したり、現実から逃避したりすることもあるため、そのバランスを取ることが重要です。心療内科では、推し活が心に与える影響を肯定的に捉えながら、適切な範囲で楽しむことが大切だと考えています。
推し活が心の癒しとなり、日々のストレスを解消し、自己肯定感を高めることができるなら、それは立派なメンタルヘルスケアの一環と言えるでしょう。しかし、健康的な心を保つためには、推し活を楽しみつつ、生活全体のバランスを取ることもポイントとして重要です。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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