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F34持続性気分(感情)障害の診断基準
2024.02.082024.02.08
ICD-10、気分変調症・持続性抑うつ障害
F34持続性気分(感情)障害の診断基準
落ち込みやすい、後ろ向きに考えやすいなど、憂うつな気持ちになりやすい人もいます。これは性格の問題だと片付けられやすいですが、年単位で慢性的に憂うつな気持ちになるとしたら、持続性気分(感情)障害のひとつである気分変調症の治療をすすめたほうがよいでしょう。
この記事では、ICD-10をベースにして持続性気分障害の診断基準を説明します。
F34持続性気分(感情)障害の診断基準の概要
持続性気分障害の特徴は、以下の2つです。
・軽躁病エピソードや軽症うつ病エピソードよりも、気分の高揚や抑うつの程度が小さい
・持続性(少なくとも年単位)、波動性(気分循環症の場合のみ)
持続性気分障害の抑うつ状態は軽症うつ病エピソードより軽いです。しかし、日常生活で必要なことは何とかやっていけるけど努力を要す、楽しいことが何もない、不眠がち、不全感(自分に満足できない)という状態が何年にもわたって続きます。
成人期早期から持続性気分障害の症状が出ることが多いですが、早発性の場合は10歳代後半からこの疾患を抱え続ける患者さんもいます。いずれにしろ、成人期の長期間にわたって無力感や苦悩を患者さんは抱き続けることになるので、軽症うつ病エピソードよりも抑うつ気分が軽度といっても、患者さんの苦しみは決して軽いものではありません。しかし、躁状態については軽い高揚気分と言える程度です。患者さんにとっては楽しいものに感じられるため受診されず、医療の対象とはならないことが多いです。また、軽度の高揚状態とは別に、正常で安定した気分が数カ月続くこともあります。これらのことから、患者さん自身は病気ではなく自分の性格や考え方の問題と捉えてしまうことが多いです。
持続性気分障害はパーソナリティ障害ではなく気分障害のひとつに分類されます。それは、家系研究から持続性気分障害は遺伝的に気分障害と関連することや、持続性気分障害には気分障害と同じ治療が有効だからです。また、持続性気分障害だからといって、症状の悪化が見られないとは限りません。稀なことではありますが、躁病やうつ病の症状と言えるほどのエピソードが見られることもあります。
F34持続性気分障害の各診断基準
持続性気分障害は、双極性感情障害よりも症状が軽く持続期間の長い気分循環症と、反復性うつ病性障害よりも症状が軽く持続期間の長い気分変調症の2種類に大きくは分かれます。
F34.0気分循環症の診断基準
・気分の不安定さ(軽い高揚気分や軽い抑うつ気分が何回も見られる)
・気分の不安定さが長期間持続する
※ICD-10では持続期間の診断基準について明確には言及されていないが、数年単位で症状が持続する
概要でも説明した通り、軽度の双極性感情障害の診断基準を満たすほど、高揚気分や抑うつ気分が重度になることは稀です。とはいえ遺伝的に関連するということから、気分循環症から双極性感情障害の診断に変わるほど症状が悪化することもある点には注意しなければなりません。
F34.1気分変調症の診断基準
・軽い抑うつ気分(軽症の反復性うつ病性障害の診断基準を満たさない程度)
・軽い抑うつ気分がきわめて長期にわたって続く
※ICD-10では持続期間の診断基準について明確には言及されていないが、少なくとも数年間、長い場合は終生続く
気分変調症も成人早期に発症することが多いですが、晩年に発症する患者さんもいます。そういった場合は何らかのストレスによって発症したうつ病エピソードの結果であることもあります。
ほか、これまでのカテゴリーに該当しないものとして、「F34.8他の持続性気分(感情)障害」や「F34.9持続性気分(感情)障害、特定不能のもの」があります。「F34.8他の持続性気分(感情)障害」は、以前は神経症性うつ病と呼ばれるものが含まれるものです。気分循環症や気分変調症よりもさらに重症度が低く、持続期間も短い症状のためのカテゴリーとされています。
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