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ポジティブ心理学とは?自分を知るヒント
2025.04.122025.04.13
ポジティブ心理学、心理面・思考、不安障害・不安症、うつ病
ポジティブ心理学とは?
「問題」ではなく「可能性」に光を当てる心理学とも
これまでの心理学は、心の病や問題行動の解明・治療に重点を置いてきました。うつ病、不安障害、トラウマなど、心の「マイナス」部分に焦点を当てることで、苦しむ人の支援をしてきたのです。
もちろんそれはとても大切な役割ですが、「人はどうすればもっと幸福になれるのか」「充実した人生を送るためには何が必要なのか」といった“心のプラス面”に注目する動きが、21世紀に入ってから広がりを見せています。
その中心にあるのが「ポジティブ心理学」です。
ポジティブ心理学のはじまり
ポジティブ心理学は、アメリカの心理学者マーティン・セリグマン博士が1998年に提唱した新しい分野です。彼は、当時の心理学が「精神疾患の治療」に偏りすぎていると感じ、「人間がよりよく生きるための科学」が必要だと訴えました。
この分野では、幸福感(ウェルビーイング)、楽観性、希望、レジリエンス(逆境から回復する力)、感謝、自己効力感といった、前向きな心理的資源に注目します。
ポジティブ心理学が問いかける「幸せとは何か」
ポジティブ心理学では、幸せは「ただ楽しい」「ストレスがない」ということや追及ではなく、「意味のある人生を送っていると感じられること」が重要だとされています。セリグマン博士は、以下の5つの要素を満たすことが、真の幸福につながると提唱しました。これを「PERMAモデル」と呼びます。
PERMAモデル
Positive Emotion(ポジティブな感情)
喜びや感謝、安らぎ、愛情など、日常の中で感じる前向きな感情。
Engagement(没頭・フロー体験)
時間を忘れるほど夢中になれる活動。仕事、趣味、学習など。
Relationships(良好な人間関係)
信頼や共感で結ばれたつながりは、幸福感の根幹をなす。
Meaning(意味や目的)
「自分は何のために生きているのか」という実感や、社会とのつながり。
Accomplishment(達成)
努力を通じて何かを成し遂げることから得られる満足感や自信。
このように、幸福を構成する要素を科学的に分析し、それをどう増やしていけるのかを探るのが、ポジティブ心理学のアプローチです。
「前向き」であればいいわけではない?
「ポジティブ」と聞くと、「何があっても明るく元気に!」というイメージを持つかもしれませんが、ポジティブ心理学は“無理に前向きになること”を推奨しているわけではありません。
大切なのは、ネガティブな感情を無視するのではなく、それを受け止めながらも、自分の価値や強みを見つけ、それを人生の指針にしていくことです。つまり、楽観的すぎる考え方ではなく、「現実を受け止めた上で、より良い方向へ進もうとする力」を育てるのがこの学問の目的でもあります。
実生活への応用:教育・医療・ビジネスの場で
ポジティブ心理学の成果は、さまざまな領域に応用されています。
教育現場では…
子どもの自己肯定感やレジリエンスを高めるプログラムが導入されています。例えば「自分の強みを認識し、それを日常でどう活かすか」を学ぶ授業が行われています。
医療・福祉の現場では…
慢性疾患の患者に対して、希望や意味を見出す支援を行うことで、生活の質(QOL)を向上させる取り組みが進んでいます。
職場・ビジネスの現場では…
社員のウェルビーイングを高めることで、生産性や創造性を向上させる取り組みが注目されています。たとえば、「感謝を伝える文化」や「達成感を共有する仕組み」が導入されている企業もあります。
ポジティブ心理学は「自分を知る」ヒントにも
人は誰しも、ストレスや失敗、不安にさらされながら生きています。そんななかで、ポジティブ心理学は「どうすれば自分の力を信じ、日々の中で意味や喜びを感じられるのか」を教えてくれるきかっけになります。
日常の中で、今日感じた“ありがたいこと”を3つ書き出す「感謝日記」や、自分の「強み」を分析するワークなど、すぐに始められる実践方法もたくさんあります。
さいごに
ポジティブ心理学は、心の“マイナス”を埋めるものではなく、“ゼロからプラスへ”と人生を豊かにしていくためのアプローチです。急激かつ大きな変化でなくて大丈夫なのです。小さな幸せ、ささやかな喜びに気づく習慣が、心の在り方を少しずつ変えていきます。「幸せになりたい」と願うその気持ちに、ポジティブ心理学はそっと背中を押してくれるはずです。
▶うつ病に関する記載はこちら
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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