名古屋駅徒歩0分
大人のための
メンタルクリニック
公式ブログ
10月10日は世界メンタルヘルスデー|心の健康を考えるきっかけに
2025.09.252025.09.25
精神科・心療内科、心理面・思考
10月10日は世界メンタルヘルスデー、心の健康を考えるきっかけに
私たちの生活のなかで「心の健康」を意識する機会はどれほどあるでしょうか。体調不良や病気には敏感でも、心の疲れや不調には気づかずに過ごしてしまうことは少なくありません。
毎年10月10日は「世界メンタルヘルスデー」として、世界中で心の健康をテーマにした取り組みが行われています。この国際的な記念日は、心の病に関する正しい理解を広め、偏見やスティグマをなくし、支え合える社会をつくることを目的としています。
本記事では、世界メンタルヘルスデーの背景や取り組み、日本で広がっているシルバーリボン運動、さらに私たちが日常でできるセルフケアや心の健康への向き合い方について解説します。
世界メンタルヘルスデーとは?
世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)は、1992年に世界精神保健連盟(WFMH: World Federation for Mental Health)によって提唱され、のちに世界保健機関(WHO)も公式に協賛するようになった国際的な記念日です。
毎年10月10日に設定されており、世界各地で講演会、啓発キャンペーン、ライトアップイベント、映画上映、SNSキャンペーンなど多彩な活動が展開されます。国や地域によって内容は異なりますが、共通するのは「心の健康を社会全体の課題として考えよう」という呼びかけです。
設立当初は、精神疾患への理解を広めることが主な目的でしたが、現在では「働き方」「子どもの心の発達」「高齢者の孤立」「災害後の心のケア」など、テーマがより広く扱われるようになっています。
2024年のテーマと取り組み
2024年のテーマは
「今こそ職場でメンタルヘルスを優先しよう(Mental health is a universal human right: Prioritizing at Work)」。
近年、仕事に関連するストレスや職場環境の問題が、心の不調の大きな要因として注目されています。過労や長時間労働、ハラスメント、リモートワークに伴う孤立感など、働く人々のメンタルヘルスは世界的に課題となっています。
日本国内でも、東京タワーがシルバーにライトアップされたり、メンタルヘルスに関する映画上映会やオンライン講演会が行われました。とくに2024年は、人気キャラクター「リラックマ」が公式サポーターとして参加し、幅広い世代に関心を広げる工夫もなされています。
こうした活動は「心の健康は誰にとっても関係がある」というメッセージを社会に発信する役割を担っています。
シルバーリボン運動とは?
世界メンタルヘルスデーに関連する取り組みの一つが、シルバーリボン運動です。
この活動は1993年、米国カリフォルニア州で始まりました。当初は統合失調症への理解を広げることを目的に、シルバーリボンを配布したのがきっかけです。やがて活動は拡大し、うつ病、不安症、発達障害、認知症など「脳や心に関連する疾患や障害」全般への理解を深める象徴となりました。
シルバーの色には、雲間から差し込む太陽の光をイメージして「困難な状況の中でも希望を見出す」という意味が込められています。日本では2002年に福島県で活動が始まり、現在では全国に広がっています。
世界メンタルヘルスデーに合わせ、東京タワーをはじめとするランドマークがシルバーにライトアップされるのは、このシルバーリボン運動の一環です。光の演出を通じて「心の病を抱える人への理解と応援」を社会に呼びかけています。
日本におけるメンタルヘルスの現状
厚生労働省の調査(令和2年)によると、日本の精神疾患を有する患者数は約614.8万人にのぼります。その中でも「気分障害(うつ病など)」「不安症」「認知症」などが大きな割合を占めています。
外来患者数は年々増加しており、心の病は決して特別なものではなく「誰もがかかりうる身近な病気」といえるでしょう。
にもかかわらず、精神疾患やメンタルヘルスに関しては、いまだに偏見や誤解が残っているのも事実です。
「気の持ちよう」「根性がない」といった言葉は、本人をさらに追い詰め、相談や治療をためらわせる要因となります。こうしたスティグマをなくすためにも、世界メンタルヘルスデーやシルバーリボン運動といった啓発活動は大きな意味を持っています。
心の健康を守るセルフケアの工夫
世界メンタルヘルスデーをきっかけに、自分自身の心の状態に目を向けることはとても大切です。セルフケアは大きな特別なことではなく、日常生活の中で少しずつできるものです。
以下の方法は研究でも効果が示されているシンプルなケアの一例です。
- 身体を動かす➡ウォーキングやストレッチは気分を安定させる脳内物質を分泌します。
- 感情を書き出す➡頭の中の不安やモヤモヤを紙に書くことで、客観的に整理できます。
- 音楽や芸術に触れる➡音楽を聴いたり歌うことは、リラクゼーション効果が高いとされています。
- 小さな達成を意識する➡「できなかったこと」より「できたこと」に注目する習慣は自己肯定感を高めます。
- 人とつながる➡信頼できる人に気持ちを話すことは、孤立感の軽減に役立ちます。
これらは誰にでもできる「心の健康を守る生活習慣」です。
専門家に相談することの大切さ
セルフケアで改善が見られない場合や、不眠、強い不安、気分の落ち込みが長引くときは、早めに専門家へ相談することが大切です。
メンタルクリニックや心療内科では、医学的な診断や治療だけでなく、精神療法や環境調整のアドバイスなど、多面的な支援を受けることができます。
心の不調は「一人で抱え込む」ことが一番のリスクです。周囲や専門家とつながることで、症状の悪化を防ぎ、安心して暮らせる環境を整えていくことができます。
【まとめ】世界メンタルヘルスデーを日常に活かす
世界メンタルヘルスデーは、単なる記念日ではなく、「心の健康を守る社会をつくるための出発点」です。
シルバーリボン運動や各地の啓発イベントは、メンタルヘルスを誰もが考えるべき共通のテーマとして広める大きな役割を担っています。
心の健康は、誰にとっても欠かせないものです。日常生活の中でセルフケアを実践しつつ、必要に応じて専門家に相談する ― その積み重ねが、私たちの人生の質を守ります。
「最近なんとなく心が疲れている」と感じたとき、それは休息や支援が必要だというサインかもしれません。ぜひ、今年の世界メンタルヘルスデーをきっかけに、自分自身や周囲の人のこころに目を向けてみてください。
心の不調に気づいたとき・相談したいとき、また一人で抱え込んでしまう前に、心療内科,精神科,メンタルクリニックへもご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
一人で悩まずに、まずは一度ご相談ください
一人で悩まずに、
まずは一度ご相談ください
たくさんの方が
悩みを抱えて来院されています。
ご紹介している症状以外でも、「こんなことで受診していいのかな…」 と迷ったらまずは一度お気軽にお電話ください。