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ミスが増えたのはなぜか?脳の疲労による認知機能の低下が背景にあるかもしれません
2025.06.062025.06.06
適応障害、うつ病、クリニックお知らせ、大人の発達障害・ADHD
ミスが増えたのはなぜか?脳の疲労による認知機能の低下が背景にあるかもしれません
仕事や日常生活の中で、ミスや物忘れが目立つようになったと感じる方は少なくありません。「気をつけているのに」「以前はこんなことなかったのに」と戸惑い、自己嫌悪に陥るケースもあります。
こうした現象の背景には、脳の認知機能の一時的な低下、すなわち“脳の疲れ”が関係している場合があります。
「注意力が落ちている」は、脳のリソース不足のサイン
人間の脳は膨大な情報を処理していますが、その処理能力には限界があります。とくに注意・記憶・判断などを担う前頭前野が疲弊すると、以下のような変化が生じます
- 複数の情報を同時に処理しづらくなる
- ミスを意識しても同じことを繰り返す
- 優先順位の判断が曖昧になる
つまり、努力してもカバーしきれない“処理落ち”状態に陥っているのです。
これは「怠けている」や「集中力が足りない」といった精神論ではなく、神経心理学的な現象として捉える必要があります。
情報過多と慢性的ストレスが、脳の処理能力を低下させる
近年では、働き方の変化やスマートフォンによる常時接続、マルチタスクの常態化により、脳への入力が過剰になりやすい環境が続いています。加えて、以下のような要因が脳の疲労に拍車をかけます。
- 睡眠不足や不規則な生活
- メール・チャットなどの断続的な刺激
- 緊張状態が続く人間関係
- 終わりの見えない業務負荷
こうした状況では、交感神経が優位な状態が長引き、自律神経系にも負荷がかかります。結果として、集中力・作業効率・判断力の低下が起きやすくなります。
ミスが続いたときに、自分を責める必要はない
ミスが続くと、「自分は向いていないのでは」「もっと頑張らなければ」と考えがちですが、こうした自己批判は回復を妨げることがあります。
むしろ、ミスが増える=脳のパフォーマンスが落ちているという視点で捉え直し、体調管理やタスク調整を検討するほうが建設的です。
認知機能の低下に関連する症状のチェックポイント
以下のような兆候がある場合、単なる疲れではなく、心理的・神経的な問題が関与している可能性もあります。
チェックポイント | 説明 |
---|---|
寝ても疲れが抜けない | 睡眠の質が低下している可能性 |
食欲がない、または過食気味 | 自律神経系の乱れが疑われる |
作業に集中できない | 注意の持続が難しくなっている |
予定や締切を忘れる | ワーキングメモリの低下 |
物事への関心が薄れる | 抑うつ傾向の可能性 |
これらの兆候が複数ある場合には、一度医療機関での相談を検討する価値があります。
根本的な対策は、「脳の余力」を取り戻すこと
認知機能のパフォーマンスを回復させるには、以下のようなアプローチが有効です。
- 睡眠の確保➡理想は7〜8時間。起床時間の固定がポイント
- 刺激の制限➡通知オフ、SNSやメールチェックの頻度を制限
- マルチタスクの排除➡作業は1つずつ。切り替え時に小休止を挟む
- 短時間の散歩やストレッチ➡交感神経と副交感神経のバランスを整える
- 思考整理の習慣化➡ToDoリストや日記で頭の中を「可視化」する
これらは一見地味な方法ですが、脳の処理負荷を軽減し、結果的にミスの減少にもつながると考えられています。
医療機関でできる評価や支援
ミスや不注意が長期化・慢性化している場合、以下のような視点から専門的な評価や治療を受けることができます。
観点 | 内容 |
---|---|
抑うつ・適応障害 | 認知機能や意欲に影響するため見逃されやすい |
発達特性(ADHD等) | 社会人になってから気づかれるケースもある |
睡眠障害 | 睡眠の質の低下が集中力に直結 |
自律神経の不調 | 身体的不調と精神的な集中困難がリンクする |
適切な治療や支援によって、本人が感じている「違和感」や「つまずき」が軽減されることは少なくありません。
ミスが増えた時は、「調子が落ちている合図」として客観的に捉えてみることも
重要なのは、ミスや物忘れを単なる“失敗”として捉えるのではなく、脳や心の状態の変化を示すサインとして認識することです。
「いつもと違う」と感じたときにこそ、生活習慣やストレス要因を見直すタイミングです。努力ではカバーできないレベルの疲労が蓄積している場合には、医療の力を借りることも合理的な選択肢です。
ミスが目立つようになったとき、自分を責めるより先に、脳の状態を客観的に見直すことが大切でもあります。多くの場合、ちょっとした環境調整や生活習慣の改善、必要に応じた専門的支援によって、緩和が見込めることも多々あるのです。
もしあなたが、「なぜこんなにミスが増えたのか」と悩んでいるときには、まずは一度、自分の脳と心のコンディションを見直す機会を持ってみてください。また、遠慮なさらず、精神科や心療内科,メンタルクリニックまで相談されることもご検討くださいませ。
名古屋ひだまりこころクリニック名駅エスカ院は、名古屋駅から徒歩1分の心療内科,精神科,メンタルクリニックです。お気軽にご相談くださいませ。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など
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