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関係性から問題を解決する「家族療法」とは?特徴と3つの技法を紹介

2024.05.272024.05.30

精神療法

本人に限定しない治療とは

精神療法や心理療法は、治療者と1対1で対話して行うイメージが強いのではないでしょうか。個別で行うものだけではなく、家族を中心として複数人を対象に治療を行うことがあります。家族などの集団を対象とする心理療法や精神療法が「家族療法」です。

家族療法では、家族をつながりを持った「システム」とみなして、システムが安定的に機能することを目標に治療を行います。扱う対象は家族だけに限らず、学校や職場などの集団にも適しており、さまざまな悩みを解決可能です。

家族療法は、治療法の基礎にある考え方がやや複雑であったり、技法が複数あったりするなど、初心者には少し理解しにくいところがあるでしょう。本記事では、家族療法を初めて耳にした方でも、理解できるように解説しています。家族療法に興味がある方や、治療を受けたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

家族療法の特徴

家族療法は、問題や悩みが起きている原因を1人の個人にあるとは考えず、その人を取り巻く「関係」に存在すると考えます。関係を改善して、悩みを抱えている本人や周りの人たちが本来持っている問題解決能力を発揮できるようにするのが目標です。

家族療法では、悩みの原因を個人や本人に求めずに、家族間で起きている悪循環に注目して考えてみます。例えば、以下のような悪循環が生じているかもしれません。

  1. 父が子どもに「学校に行きなさい」と叱る
  2. 父を避けるようになり、母に甘えるようになる
  3. 母が「強く叱らないで」と父に心配する
  4. 父が「お母さんに甘えるな」と子をさらに叱る
  5. 子は父に反発し、学校に行こうとしなくなる

たとえば、子どもの反発により、学校に行かなくなり、さらに父が叱るという悪循環に陥っていたとします。家族療法では、悪循環を明らかにして、変化できそうなところを変えるのが主な流れであり、悪循環がなくなれば、問題は自然に解消されるというのが家族療法の基本的な考え方だといえます。

家族療法の3つの学派

家族療法は、1950年代から登場した治療法です。代表的な精神疾患の1つである「統合失調症」が、遺伝的な原因だけでなく家族も影響しているのではないかと疑われ、家族に焦点を当てた研究が行われました。

その後、さまざまな家族療法の理論が登場し、発展していきました。代表的な学派として3つを紹介します。

多世代派家族療法

精神科医のボーエンが提唱した家族療法で、家族メンバー間の「境界線」に重点を置くことが特徴です。境界が曖昧で個人が独立していない家族は、アルコール依存やギャンブル、摂食障害などの問題につながりやすいと考えます。したがって、家族メンバーが個別に自立できるように取り組むことが治療目標です。

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コミュニケーション学派

「一般システム理論」という考え方を基礎として、独自のコミュニケーション理論をもとに家族療法を行う学派です。家族を1つの「システム」とみなして、家族メンバーの行為は他のメンバーに何らかの影響をもたらすと考えます。

そして、家族の問題はメンバー同士が影響し合った結果として起こったものと考えることが大きな特徴です。例えば、問題行動を繰り返す子どもがいるとした場合、その行動を改善すればよいと考えるかもしれません。しかし、父と母の仲が険悪なため、問題を起こして子どもが怒られることで、2人の衝突を避けていることもありえます。

現在起きている問題を、家族同士が影響し合った結果として捉え、悪循環を改善していくことが、コミュニケーション学派での治療目標といえるでしょう。

戦略的家族療法

戦略的家族療法は、ヘイリーにより提唱されたもので、家族が悩んでいる問題に対して現実的な解決を目指すことが特徴です。家族がこれまでに行ってきた解決方法は、逆に問題を持続させていると考えます。

そして、これまでの解決方法とは異なるアプローチを試してみることで、コミュニケーションの質を変化させるように取り組みます。

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家族療法の技法

家族療法には、さまざまな技法が存在しますが、どのようなものがあるのでしょうか。代表的な3つのテクニックを紹介します。

ジョイニング:治療者が家族に溶け込む

ジョイニングとは、治療者が家族の中に入り、メンバー同士の交流に参加することをいいます。家族の中には、特有の文化ややり方が含まれていることがあるため、治療者がそこに溶け込み、信頼関係を築くための方法です。

信頼関係を築くだけでなく、治療者という新たな存在が入ることで、これまでの家族同士の結びつきを見直し、再構築する効果もあります。

具体的には、以下の3つの方法を意識しながら、治療者が関わっていくことが特徴です。

  • マイム(模倣):家族同士が用いる言葉や関わり方をまねる
  • トラッキング(伴走):家族同士のやり取りに逆らわず従う
  • アコモデーション(調節):家族が持つ文化やルールに順応する

リフレーミング:問題を捉えなおす

リフレーミングは「再構成」ともよばれ、ネガティブな感情や行為に対してポジティブな意味づけを付け替える技法です。

例えば、親が子どもに対して「この子は、問題ばかり起こすどうしようもない子だ」と感じていたとしましょう。子どもが問題を起こすケースでは、問題が起きることで両親が不仲にならずにいることがあります。そうすると、「子どもは両親の関係を守るために問題を起こしている」という捉え方をすることもできるでしょう。

1つの視点からではなく、さまざまな視点から考えて捉え直していくことがリフレーミングの特徴です。

家族造形法:家族関係を可視化する

家族造形法は、家族同士の距離感や関係性などの交流パターンを可視化する方法です。視覚的に理解しやすい状態にすることで、家族関係の理解が進み、問題解決の助けになることがあります。話し合うだけでは分からない、体験的な理解が得られるでしょう。

家族を粘土に見立てて、それを並べたり、表情や視線、姿勢を指定したりする方法や、家族に実際に並んでもらう方法などが用いられます。

家族療法は個人ではなく「関係性」に焦点を当てる

家族療法は、個人ではなく周囲の関係性に焦点を当てて問題解決を目指します。特定の誰かや本人だけを原因だとしないので、問題解決時にありがちな「悪者探し」になりにくく、抵抗が生じにくいことが大きなメリットです。

もし長年同じ問題で苦しんでいる方は、家族療法を受けてみると解決のヒントが見つかるかもしれません。

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野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など

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