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F33反復性うつ病性障害の診断基準

2021.05.092022.07.02

ICD-10、うつ病

精神疾患のなかで最も割合の高いうつ病は繰り返しやすく、再発率が60%と高いです。そのため、反復性うつ病性障害の診断基準も必ず把握しておかなければなりません。

この記事では、ICD-10をベースにして反復性うつ病性障害の診断基準を説明します。

F33反復性うつ病性障害の診断基準の概要

反復性うつ病性障害の基本的な診断基準は、以下の通りです。

・軽症、あるいは中等症や重症といったうつ病エピソードを2回以上繰り返している

・各エピソードは2週間以上持続している

・躁病と診断されるほどの気分高揚や過活動性はない

持続期間が2週間に満たない短期間のエピソードを過去1年間に1ヶ月に1回ぐらいの頻度で何度も繰り返す場合は、「F38.1他の反復性気分(感情)障害」と診断すべきです。なお、PMDD(月経前に生じる心身の不調)のように月経周期に関連してエピソードが生じることもあります。その場合は「F38.8他の特定の気分(感情)障害」と診断して、基礎にある原因のための二次コードとして「N94.8女性の生殖器と月経周期に関連した他の特殊な状態」を記載します。

なお、エピソードを何回も繰り返しているからといっても、躁病エピソードにはならないというわけではありません。躁病エピソードが現れた場合は「F31双極性感情障害(躁うつ病)」に診断を変えるべきです。なお、気分高揚や過活動が軽度であれば、反復性うつ病性障害の診断のままです。

反復性うつ病性障害の平均発症年齢は40歳代と言われています。1回1回のエピソードは3~12ヶ月ほどと言われており、持続期間の中央値は6ヶ月ほどなので短くはないことが多いです。エピソードではないときは完全に回復している状態であることが多いですが、特に高齢者の患者さんの場合はうつ病状態が長引くこともあります。反復性うつ病性障害の原因にはストレスフルな出来事や性別(女性のほうが男性より罹患率が2倍高い)、季節などが挙げられます。季節性うつ病である冬季うつは、反復性うつ病性障害の代表的なものの1つです。

身体症候群の有無について

身体症候群の有無を診断の5桁目の数字に示すことがあります。身体症候群の内容については、『F32うつ病エピソードの診断基準』を参考にしてください。なお、身体症候群については記載しなくても問題はありません。

「F33反復性うつ病性障害、現在軽症エピソード」で身体症候群の有無を記載する場合、以下のようになります。

身体症候群を伴わない反復性うつ病性障害、現在軽症エピソード:F33.00

身体症候群を伴う反復性うつ病性障害、現在軽症エピソード:F33.01

F33反復性うつ病性障害の各診断基準

反復性うつ病性障害の診断は、以下の3点から行われます。

①反復性うつ病性障害である(つまり、うつ病エピソードを2回以上繰り返している)

②今のエピソードの重症度

③1つ1つのエピソードの期間が2週間以上であり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が続いていたこと

また必要に応じて、十分な情報が得られる場合には軽症、中等症、重症、不詳のどのエピソードが以前に優勢であったかを判断することもあります。

以下の各診断基準は、『32うつ病エピソードの診断基準』を確認しながら読むと分かりやすいでしょう。

F33.0反復性うつ病性障害、現在軽症エピソードの診断基準

・反復性うつ病性障害の診断基準を満たしている

・今の症状が軽症うつ病エピソード(F32.0)の診断基準を満たしている

・持続期間が2週間を超えるエピソードが2回以上あり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が数カ月は続いている

F33.1反復性うつ病性障害、現在中等症エピソードの診断基準

・反復性うつ病性障害の診断基準を満たしている

・今の症状が中等症うつ病エピソード(F32.1)の診断基準を満たしている

・持続期間が2週間を超えるエピソードが2回以上あり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が数カ月は続いている

F33.2反復性うつ病性障害、現在精神病症状を伴わない重症エピソードの診断基準

・反復性うつ病性障害の診断基準を満たしている

・今の症状が精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード(F32.2)の診断基準を満たしている

・持続期間が2週間を超えるエピソードが2回以上あり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が数カ月は続いている

F33.3反復性うつ病性障害、現在精神病症状を伴う重症エピソードの診断基準

・反復性うつ病性障害の診断基準を満たしている

・今の症状が精神病症状を伴う重症うつ病エピソード(F32.3)の診断基準を満たしている

・持続期間が2週間を超えるエピソードが2回以上あり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が数カ月は続いている

F33.4反復性うつ病性障害、現在寛解状態にあるものの診断基準

・反復性うつ病性障害の診断基準は満たしている

・今の状態が全てのうつ病エピソードの診断基準や他の気分(感情)障害の診断基準を満たさない

・持続期間が2週間を超えるエピソードが2回以上あり、エピソード同士の間には気分障害のない状態が数カ月は続いている

F33.4は、うつ病の再発予防のための治療を受けている患者さんに用いられます。

ほか、これまでのカテゴリーに該当しないものとして、「F33.8他の反復性うつ病性障害」や「F33.9反復性うつ病性障害、特定不能のもの」があります。特定不能の単極性うつ病がF33.9には含まれます。以上のように、エピソードが2回以上繰り返されていることと、現在何らかのうつ病エピソードにあることが、反復性うつ病性障害と言えます。

特に、反復性うつ病は繰り返す症状のために、双極性障害の症状とも鑑別が難しかったり、また適応障害などの短期での症状を特徴とした疾患とも鑑別が重要となります。

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